人の持っている気質や傾向を形成してものには、先天的に持って生まれたものと後天的に身につけてきたものがあると思われます。
先天的に持って生まれたものについては、自分自身ではどうすることもできませんので変えることができない基本的なものと思われます。
これに大きな影響を与えるものは生まれてくるまでの親の環境ではないでしょうか。
およそ10ヶ月という期間そのおなかの中にいることになる母親の影響は一番大きなものと言えるのではないでしょうか。
似たような環境にあれば似たような気質や傾向になるであろうことは想像に難くないことです。
現代のように生活するための環境を自分で選択したり作ったりすることができなかった時代においては、より生活するための自然環境の与える影響は大きかったと思われます。
それは周りの人が与える影響よりもより生命にかかわりが深かったものと思われます。
そのために自然環境の同じような地域においては生まれた時期によって同じような傾向を示す基本的な気質が形成されていたものと思われます。
その自然環境によって、周りにいる人たちの心情的な動きも同じようなものでありその中で生まれた者たちには同じような傾向が形成されたと思われます。
自然環境を決める最大の要因は地球の動きであり宇宙における地球のポジションです。
古代よりこのことに気がついていた人類は、最古の文明においても天文学を大きな拠り所としてきました。
それぞれの文明の地域における自然環境の変化とそのサイクルを発見してきました。
やがて、それが暦となって定着していくことになります。
したがって、それぞれの地域にはその地域独特の暦とサイクルがあります。
日本は、暦ごと中国の文明からの恩恵を受けました。
地域的に近いとはいえ、自然環境のサイクルと変化は異なっています。
そのために日本としての調整がなされてきましたが、それでも基本形はかなりの部分残ったものとなっています。
地域的な特徴と暦を基準とすることよって、多くの統計が可能になりました。
人の持って生まれた気質や傾向にこれを当てはめたものが、西洋占星術であり四柱推命学です。
したがって、これらの分類は統計がおこなわれた時点での地域的や暦が基準となっているものとなっています。
勝手に自分の生活している場所で利用しようとしても、地域的なズレや暦のズレによる誤差が生じるものとなっているのです。
拠り所とする統計データも全てが同じ時期の同じ地域で集められたわけではないので、採取された時期によっては暦上の調整が必要なものが存在していると言われています。
現代の生年月日時間をそのまま利用して当てはめればよいものとは大きく違ったものとなっているようです。
全く同じ時期の環境であったとしても、ヨーロッパと中国と日本では大きく異なったものとなっています。
地域と時間が大切な軸となっており、その時点での地形と天候が人の持って生まれたもの対して大きな影響を与えているということになるのでしょう。
後天的に影響を与える最大の要素が言語だと思われます。
あらゆる知的活動のツールとなっているのが言語です。
思考活動や表現活動ができない幼児期であっても認知活動が最初にできるようになります。
これもすべて言語によるものです。
それ以降あらゆる影響を言語によって受けていくことになります。
言語化されていない影響であっても、それを受取っているのは自分のなかで言語化して受け取っているからです。
したがって、どの言語を使用しているのか、母語としてどの言語を持っているのかは自分が形成されてきた大きな要素となっているのです。
言語の大きな分類でいえば、英語、フランス語、ロシア語、中国語、アラビア語のようにある国の民族が使用する言葉としてのものもあります。
しかし、同じ英語であったとしても一人ひとりの個人が持っている英語は微妙な違いを持ったものとなっています。
それは、すべての人が全く同じ母語を持っているわけではないからです。
母語は基本的には母親から子供に伝えられる伝承言語です。
母親自身が持っている言語がすべての人で異なったものとなっています。
同じ日本語であっても一人ひとりの日本語が違っているのと同じことになります。
(参照:「母語」を伝える)
義務教育では日本語の共通語としての国語を身につけてますが、国語だけで日本語が成り立っているわけではありません。
社会に出ていけば様々な環境によって異なる言語があります。
それらの言語によって自分の言語が出来上がっていくことになります。
その個性的な母親の持っている言語が子どもに伝承されていくのです。
しかも母親の持っている言語のすべてが伝承されるわけではありません。
同じ日の同じタイミングに生まれた双子であっても、母親から伝わる母語は違ったものとなっているのです。
そうでなければ、学校と家庭という環境でほとんどすべてを共有している一卵性双生児はもっと同じような気質的な傾向を示していなければならないはずです。
後天的に形成されるあらゆる要素は言語によって最大に影響を受けていると思われます。
個人的な言語の差も必要かもしれませんが、大きな分類として日本語という言語の特徴を知っておく必要があるのではないでしょうか。
自分を知るための一番の近道ではないでしょうか。
世界の現存する言語の中でもきわめて特殊な言語として存在している日本語は、言語の持っている感覚においても数多くの特徴を有しています。
世界と触れる場面が増えてきています。
同じ現象や事象に対してどのように受け止めるのかは、それぞれの言語が持っている基本的な感覚に大きく依存します。
理屈抜きの感覚な認知活動になるからです。
その感覚が他の言語とは大きく異なっているのが日本語です。
特に先進文化圏の言語とはその感覚が対極にあると言ってもいいものとなっています。
対立を確認することから交渉が始まる言語の感覚と、対立を作らないように自分が適応して共生をしようとする言語の感覚は本質的には相容れるものとはなりません。
共生しようとする側が一方的に何とか適応しようとしますが、対立から始めたい側にとって曖昧さの塊となってしまいます。
双方がストレスを抱えてしまうことになるのです。
世界においては日本語の持っている感覚の方が特殊になります。
その分、自分を知るにはもってこいの要素でもあります。
同じ日本語のなかでの感覚の違いでしたら気がつきやすいですが、他の言語との比較における感覚の違いはなかなか気がつきにくいものです。
それでも、自分を知るための一番の近道ではないでしょうか。
恐らく、知れば知るほど面白くなると思いますよ。
そこから気がつくこともたくさんありますし、思わぬ発見もたくさんあると思います。
持って生まれた撰的要素プラス後天的な言語の要素で自分ができているとわかると、既成概念や固定概念などもこだわらなくなりますよ。
一度試してみませんか。