その資料は文部科学省のホームページに掲載されている「現代仮名遣い」です。
(参照:→現代仮名遣い)
この資料は内閣告示として公開されておりその目的は最初に書かれているとおり、「一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを、次のように定める。」ことにあります。
つまり、ひらがなで表記するときの方法を示したものになります。
昭和61年に改定されており現代ひらがなの使い方の基本となっているものになります。
そこではひらがなを音で五つに分類していますので日本語の音を考えるときに参考になります。
その五つは、1.直音、2.拗音、3.撥音、4.促音、5.長音となっています。
1.直音は一般には五十音表にある清音と濁音・半濁音を合わせた呼び方ですが、五十音表にある文字で「ん」は4.撥音として個別に扱われています。
2.拗音は「きゃ」「ちょ」などのように小さな「ゃ」「ゅ」「ょ」を持つ音となります。
「きゃ」という音は単独で独自の音ではなく「き」と「や」を短く合わせた音であって直音の使い方の一つであるとする考え方があります。
一方では直音とは全く異なった別の音であるとする考え方もあります。
前者を取れば直音の音と区別される別の音は存在していないのであくまでも直音の音数の中での言い方のバリエーションとして音数としてはカウントしないことになります。
別の音だとした場合には36文字で33音が加わることになります。
3.撥音は「ん」だけになります。
「撥(は)ねる音」として呼ばれたために撥音(はつおん)となったとされています。
言葉の初めには使われなかったり母音を伴わなかったりと特殊な文字であり音なのですが、直音にはない音ですので別の音としてカウントすることにします。
「ん」の特殊性に興味のある方は特殊な仮名「ん」を参考にしてください。
4.促音は「たった」「きった」などで使われる小さな「っ」で表されるつまった音になります。この文字自体には音がありません。
直前の音から次の音へのつながりを短くつまった音として発するための記号にしかすぎませんので音数としてはカウントしません。
5.長音は直前の音を伸ばす場合の表現方法について説明しているものであり、今まで出てきた音以外の音として存在しているわけではありません。
「ん」以外は音を伸ばすとすべて母音が残りますのでその言い方を文字で表したものとなっています。
したがって、日本語の持っている音としての合計は直音67音プラス撥音の「ん」1音の68音がすべてとなります。
多めにカウントをして拗音を含めたとしても101音ということになります。
世界にある言語の中でも圧倒的に音数の少ない言語であるということができます。
そのために非常に多くの同音異義語を持つことにもなっており日本語の特徴を決めている要因となっています。
この「現代仮名遣い」は決して長い資料ではありませんが、日本語の特徴を端的に表すものとなっています。
特に文字ととして表記される仮名と実際の音とが異なる場合の例が多く取り上げられていて面白く見ることができます。
国語の授業の中でこの資料をしっかりと学ぶ時間があったらもっと日本語に対しての興味の持ち方が変わっていたのではないかなと思うくらいです。
もっとも改定された時期を見てみれば私が就職した後からのことですので、それ以前の内容がどうであったかわかりませんので何とも言えませんね。
仮名表記による音の表し方が実際の音と違っている例については今後も取り上げる機会があると思います。
とくに「言う」「行く」については前にも書いたことがありますが、今回の資料によって新たな発見もあったので近いうちに書いてみたいと思います。
(「行く」について、「言う」について)
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