(参照:外国の言語教育)
幼児期の伝承言語である母語習得から、学習言語としての国語習得への移行期は、ちょうど義務教育の始まる時期に当たります。
世界各国の義務教育における言語教育を見ることによって、言語や言語の持つ感覚についての特徴をより鮮明にすることができたと思います。
他の言同士の方が、日本語よりもはるかに多くの共通性を持っていることも見ることができました。
ここでは、先進国の言語のなかでの日本語の孤立性を確認することができたと思います。
日本語話者にとって、日本語の存在は当たり前のものであり、国語としての試験でもなければ言語を意識することはないと思います。
したがって、日本語の特徴をいくら知ったところで、普段の生活においてはそれほど役に立つことにはならないと思います。
しかし、先回触れた知的活動と言語の関係を理解してくると、日本語の特徴を知っていることが知的活動の質の向上につながりそうだということが分かります。
更に、日本語は世界においては全く役に立たない言語です。
日本語話者同士、日本でしか役に立たない言語です。
世界での言語の中心は欧米型言語であり、その中でも英語が世界の公用語としての地位を確固たるものとしています。
英語と日本語との違いを理解しておかないと、世界の公用語との理解が異なってしまうことになり、世界で活動することが難しくなってしまいます。
英語と日本語の違いについて、いくつかの視点から切り込んでみたものが「日本語 vs 英語」の6回にわたる扱いでした。
特に意識したのが、世界の公用語として英語を使うことは避けて通れなくなっている現代において、日本語と英語をどのように位置づけたらいいのかということでした。
ここでも原典の戻るような形で、母語がクローズアップされてきました。
そして、この前後ではバイリンガルについても何度か扱ってきました。
(参照:バイリンガルの知能は低い?)
結果としては、すべて母語に帰結することになりました。
バイリンガルにおける第二言語は、第一言語である母語によって理解されて使いこなされていることが分かりました。
母語の性能が、直接バイリンガルとしての性能に影響することがわかりました。
母語として持っている言語には、現実の具体的な言語だけではなくその言語が成り立ってきた文化歴史に基づく感覚的なものが備わっています。
その感覚的なものを理解できないと、その言語の持っている本当の意味を理解することができないのではないと思います。
自分の持っている言語の特徴を理解することは、知的活動の質を高めることにつながります。
しかし、自分の持っている言語だけを見ていたのでは、何が特徴であるかを知ることは困難です。
特徴というのは、比較する対象の存在があって初めて成り立つものです。
ここに、世界の公用語である英語という、格好の対象があります。
この公用語を理解することなく生きていくことは、これからは不可能となるでしょう。
比較対象としてこれ以上のものはないと言えるでしょう。
英語を使いこなせるようになる必要は全くないと思います。
日本語と比較したときの英語の特徴を理解していれば十分なのです。
翻訳などはすべて自動で行われるようになってきています。
翻訳される先の言語について理解していることによって、持っている言語を使いこなして相手の言語感覚に合わすことができればいいだけなのです。
母語として持っている言語は使いこなすこなすことができる上に、日本語は世界の言語のなかで最も豊かな表現力を持った言語です。
日本語の特徴を知ることによって、改めて日本語の魅力の大きさに気がついた次第です。
言語の比較するうちに見えてきた、その言語が生まれてきた歴史文化的な背景は、言語の本質ともいうべきものでした。
ここに触れることは、宗教についても触れなければならなくなります。
ある種の覚悟が必要なことですが、それ以上に興味の方が勝ったと言えると思います。
「日本語 vs 英語」がなければ、ここまで踏み込むこともなかったように思えます。
いいきっかけになったテーマでした。
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