物流・ロジスティクス・SCMどれも最終消費側(需要側)からの視点で、該当商品における一番効率いい流通を考えるものであることは先回ご案内した通りです。
物流・ロジスティクス・SCMは結局は同じことを言っているのですが、言葉の使い方によってニュアンスが違って聞こえます。
表記の方法にもそれが現れます。
物流(漢字)、ロジスティクス(カタカナ)、SCM(アルファベット)の様に表すことによって以下のようなニュアンスを持つようになります。
物流(漢字)・・・かなり古くからある概念。物を流す(運ぶ)ことについての事柄
ロジスティクス・・・輸入され、日本において定着してきた概念。保管や配送を最適化
すること
SCM・・・海外より最近導入された新しい概念。流通全体(調達~消費)を最適化しよ
うとすること
漢字、カタカナ、アルファベットで表記するだけで右側の下線部のニュアンスが自然と含まれてしまいます。
これは私たちが日本語を母語としていることによって、学ばなくとも持っている感覚なのです。
英語がこれだけ浸透してきている現在では、SCM(Supply Chain Management)と言えば何となく物の供給についての連鎖を考えることだなくらいは思いつきます。
そして、的確な日本語表現がないことからも新しく海外から導入された考えかな?
最近よく聞くからどうやら役に立つありがたい考え方のようだな。
マネジメントというからどうやら情報システムによって構築されるのかな?
こんなことから立派なお化けが出来上がります。
そうなるとお化けはどんどん大きくなってしまいます。
いつの間にかマーケティングやマーチャンダイジングまでを取り込んだ一大流通コンセプトのようなたいへんな化け物が出来上がってしまいます。
やがて新し物好きが部門名や役職にまでSCMを使用するようになってくると、そこいらじゅうにSCMがあふれてきます。
日本にはもともと企業同士の協業や並行パートナーになじみにくい環境が存在します。
上下関係、元請け下請け関係のほうがすんなりといきます。
そこで生まれる利益は元請け企業がほとんどを得ることになります。
原価構成やコストを互いに開示し、全体で得る利益を適正な配分で獲得するゲインシェアリング的な活動には不向きなのです。
物流の世界での新しい取り組みはカンバン方式やJIT(ジャストインタイム)など日本で醸成されたやり方から改善・改革されたものが多いです。
一番力のある大きな企業が自社の最大効率化を図るために、取引先に自社に一番都合のいい条件で納品するように仕向けたものです。
海外の文化に合わなかったことと、いち早く全体最適に取り組んだ海外での発展系が日本に逆輸入されてきました。
そのまま取り組もうとしたって合うわけありませんよね。
どうも規模の大きいところほど「お上のお達し」が残っているようですね。
今のままで行くとSCMは流通強者のための印籠みたいなものになってしまうでしょね。
中途半端にその中で下請けとして生きる道を選択するのか、小さくても物流としての役割を全うできる場所を選ぶのか。
少数の限られた流通強者たちはますますそのポジションを確固たるものにしようとするでしょう。
SCMというお化けに脅かされることなく、お化けを使って押し付けのシステムを売り込まれる
ことなく物流・ロジスティクスの役割を担っていきたいですね。
物流・ロジスティクスの影響力って生産・販売と同じくらい大きいんですよ。