クライアントとの打ち合わせのなかで「このコストだけは可視化できるようにしておかないと効果が見えなくなりますよ。」と言っている自分がいました。
その場では気にならなかったのですが、そういえば最近よく可視化という言葉を使うなと帰り道で思ったものです。
ところが、時間ができた時に思い浮かんできてしまったのが運の尽きというやつでしょうか、すっかりこの言葉が気になって離れられなくなってしまいました。
そもそも可視化という言葉自体が素直に意味を考えてみれば「視(み)ることができるようにすること」ではないでしょうか。
そうなると、「可視化できるようにする」とは「「視(み)ることができるようにすること」ができるようにする」となっているではありませんか。
一体いくつ同じことがかぶっているのでしょうか。
しかも、そのことに気づかずに当たり前のように抵抗もなく使っている自分がいるではありませんか。
なぜ、それほど違和感を感じていないのかを考えてみました。
これはどうやら「〇〇化」という言葉に原因がありそうだと思い当たりました。
「〇〇化」とは【〇〇(に)する、〇〇(に)なる】ということを短い言葉で言い表したものです。
ところが実際に使われている例としては「〇〇化する」ということの方が多いと思われます。
この時点ですでに「する」がかぶっているのではないでしょうか。
「実現化することを目指して・・・」という使い方にもすっかり慣れてしまっていますが、本来は「実現化を目指して・・・」となるものではないでしょうか。
「〇〇化」という言葉は「〇〇にする」という意味にもかかわらず動的な感覚の極めて少ない言葉となっています。
「〇〇化する」と「〇〇する」のニュアンスの違いはどこにあるのでしょうか。
「実現化する」と「実現する」ですね。
「可視化する」と「可視する」ですね。
この「〇〇化」の「化」は極めて日本語の感覚に合っているもので直接「〇〇」ということを婉曲に言っているニュアンスがあります。
しかも直接に「〇〇」という言葉を含んでいますので意味としては分かりやすいものとなっています。
この「化」の使い方は、「〇〇的」や「〇〇風」などと同じように厳格さや限定することを避けながらも意図を柔らかく伝えるためにとても使いやすいものとなっています。
これは漢字だけではなく「システム化」や「ネット化」のような使い方や「OEM化」「POS化」などの外来語に付け加えるにはもってこいの機能となっています。
万能薬的な使い方が可能ではないでしょうか。
ニュアンスとしては〇〇っぽいものとして捉えることも可能であり、〇〇として断定することを避けたいときにも使うことができます。
この使い方はいつごろから始まったのでしょうか。
恐らくは明治以降の使い方だと思いますがとても日本人的な感覚に合った使い方ができているものだと思います。
そう思って意識してみると世の中には「〇〇化」が溢れていますね。
可視についても基本的な問題についてはよく使う言葉となっていますね。
とくに専門的な問題であればあるほど可視化が大切なってくるのはいたるところで焦点になっていることです。
可視化がされていないから専門分野に携わっている人しか理解できないことになっているだけであり、可視化ができればあらゆる人の知恵を動員することが可能となりより効率的な解決策が見つけられるからです。
私の場合は「かし」と入力すると変換のいの一番の候補に「歌詞」が出てくるのは仕方のないことだと思っています。
「かしか」と入力しても「歌詞か」と変換されてしまいます。
そんなことを思っていたら、「歌詞化」という言葉が思いうかびました。
「現代やまとことば」の練習には「歌詞化」がとても効果的なことを発見しました。
(参照:「現代やまとことば」を経験する(1))
何のことはない、自分が「現代やまとことば」を提唱し始めたきっかけが曲つくりの歌詞にあったことを思い出しました。
その原点と同じことが練習になるのは当たり前のことですね。
話しをしようと思った内容を書き留めてみてから、それを歌詞として表現するにはどのような言葉を使ったらいいのかを考えてみることです。
歌詞ですから基本的には文字としては伝わりません。
曲に乗せた言葉として伝わるだけです。
その時にどのような言葉を使ったらいいのかを考えることになります。
自分の好きな曲や聞きこんだ曲の歌詞を参考にしてみてください。
どんな言葉が使われていますか。
「ひらがなことば」がたくさん出てきませんか。
話しことばとしての基本は「ひらがな」なんですね。
自分の曲を作るつもりでやってみませんか。
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