自分で使っている言葉を、自分でどの程度理解しているかを確認してみたことはあるでしょうか。
この作業は、一人で行なうにはなかなか難しいものがあります。
言葉を認知して、自分としての理解をするところまでであれば、他の人が理解できるかどうかを考慮しなくてもいいことになります。
他の人には理解出来ない、自分だけの方法で理解しても何も問題にもなりません。
どんな言語を使おうとも、自分で一番理解しやすいものであれば構わないからです。
ところが、外に対して表現することになるとそうはいきません。
表現することの目的が、相手に理解をしてもらうことにあるわけですから、自分だけが分かっていればいいという訳にはいきません。
自分だけで理解すればいいということがインプットであり、理解してもらうために表現することがアウトプットになります。
自分で理解できていない内容を相手に伝えてても、理解してもらうことはできません。
言葉も同じです。
自分で理解している言葉でなければ、その言葉を相手に理解してもらえません。
また、自分では理解している言葉であっても、表現の仕方によっては相手に理解されないことも起こります。
まずは、自分でその言葉を理解していないと、相手が理解できたかどうかすらわからないのです。
さて、それでは言葉を理解しているとはどのようになっていることを言うのでしょうか。
どのようなことができれば、その言葉を理解していると言えるのでしょうか。
私たちの母語は日本語です。
一人ひとり異なる日本語持っている中で、共通語としての位置付けが明確になっているのが国語です。
国語は全ての日本語話者にとっての共通語として定められたものです。
誰もが知っている国語はひらがなです。
そして日本語の基本となる文字も音も、全てはひらがなになります。
自分の中で言葉を理解するとは、その言葉を自分の言葉でひらがなで説明できることだと思われます。
自分がその言葉を理解できているかを確かめるためには、その言葉をひらがなで表現してみるとよく分かります。
特に、アルファベットやカタカナの外来語、音読み熟語の翻訳語や専門用語などは、ひらがなの言葉で説明ができるかどうかで、本当に理解しているかどうかが分かります。
日本語を使う人に共通の一番わかり易い言葉がひらがなですので、ひらがなで説明できれば、誰にでも理解できるものとなっているはずだからです。
ひらがなで説明したものに、音を変えることなく漢字を当てたものが訓読みの表現になります。
話し言葉だけで無く、文字による表現ができる場合には訓読み漢字で表現するとさらにわかり易いものとなります。
漢字は、ひらがなよりもはっきりとした意味を持った表現方法だからです。
まずは、すべてひらがなで表現することを試みてください。
特に、難しい言葉や表現については、できるだけひらがなで表現しようとする努力が理解をより確実なものとします。
更に相手によりしやすい表現とするためには、ひらがなをできるだけ訓読み漢字に置き換えていくことが効果を上げることになります。
実際にやってみると、ひらがな言葉で表現することがいかに難しいことかよく分かると思います。
ひらがな言葉は、日本語の基本中の基本であり、そのほとんどは歴史文化を継承してきたものとなっていることがほとんどです。
ひらがなを使い始めた子供たちから、企業生活を引退した高齢者までのすべての人が共通して持っている言葉です。
または、日本語を習い始めた外国人にとっても、ひらがなは最初に身につける言葉です。
ひらがなで表現をするということが、日本語を持っている人にとっては一番理解が共通してできることにつながっているのです。
立場や年齢、経験や環境を越えて、共通理解のための日本語としての共通語がひらがななのです。
アルファベットの3文字略語や専門用語は、何げなく使ってしまっている言葉の典型ですが、どれだけの言葉がひらがなで説明し切れるでしょうか。
ぜひ、普段使っている言葉をひらがなで説明してみてください。
同じ言葉についても、人によってかなり説明が違っているものが出てきますよ。
ひらがなで表現することで、その違いがよりわかり易いものとなってきます。
ひらがなだけでうまく説明できなかったり、思わず音読みの漢字の熟語が出てきてしまったりする場合は、人に伝えられるレベルでは理解できていないことになります。
その言葉を伝えてみても、相手は自分と同じ理解をしているとは限らないことになるからです。
それでも、すべての言葉をひらがなで表現できる場面はないでしょう。
難しい言葉や分かりにくい言葉を使った時に、言い換えとしてひらがなでの表現を加えることが理解の正確さを産むことになります。
話しの上手な人は、意識せずともこれを行なっていますね。
日々の生活の中で、思わず使ってしまっている音読み熟語をひらがなで説明してみてください。
思った以上にできないことに驚くと思います。
友達と一緒にやってみると、それぞれの思い込みの違いがはっきりしてきますよ。
それだけの違いが、気づかずにコミュニケーションしているんですね。