2015年1月16日金曜日

「体と心と言葉」の勉強会

このたび、三人の仲間で40代以上の方を対象にして、「体と心と言葉」についての勉強会を立ち上げました。

その中で、私は「言葉」についての分野を担当します。

大きく言えば「体と心と」とくれば「知」と言ってもいいのかもしれませんが、「知」はあまりにも広すぎる概念で受け取る人によってかなりの開きがあると思われたれたので、あえて「言葉」としてみました。


実はこの三つの要素で、人のすべてを網羅しているのです。

更に40代になると、勢いで走ってきた30代とは異なって、自分の人生について改めてリセットを考えるタイミングとなります。

その時に、できるだけ人としての普遍的なものを知ることによって、これからの人生の考え方の一助になって欲しいと思ったからです。


一面では、言葉と言ってしまうと、その意味するところが狭すぎる気もしますし、言語と言うとさらに漠然とした感じではないかと思いました。

本心では、「体」や「心」に対応する適当な言葉が見つけられなかったというところです。

それぞれの専門分野で探求を続けてきた者たちが、「人」という究極のテーマで結び付いた形となっています。


この三つの要素は微妙な関係にあり、結果としてのアウトプットはこれら三つの要素のうちの一番弱いものに引きずられることになります。

どんなに言葉(知)が高いレベルにあろうとも、どんなに心が何物にもとらわれないレベルにあろうとも、風邪をひいていてはそれらの力が発揮できません。

それぞれの要素としての力を鍛えることは大切なことですが、それよりも三つの要素が持っている本来の自然なバランスをいかに維持するかの方がはるかに大切なことになってきます。


一つひとつがとても大きくて深いテーマですし、それぞれの分野でも更に専門性が多岐に渡っているものです。

今回三人が一緒に取り組もうと思ったきっかけは、それぞのの持っているモノや追及している内容が一般的にその分野の専門家が携わっていることと異なっているからです。

しかも、そこには人としての活動における本質的なものをお互いに感じることができたからです。


更には、日本人という特殊性や独自性についての観点がそこにあったからです。

独自の文化や歴史が築かれて継承されてきている背景には、その文化や歴史が存在してきた自然環境が大きな要因となっています。

その自然環境に対応するために文化が生まれ、変化する自然環境に対応していくことによって歴史が刻まれていきました。

現在存在しているどんな理論や技術も、このことを抜きにしては生まれてこなかったものということができると思います。


ほとんど外部からの侵略を受けたことのない日本は、四方を海に囲まれたうえに自然の変化がとても激しい環境にあります。

さらに、新大陸に属する日本列島は、地形そのものがまだ安定しておらずに火山活動やプレートの変化・浸食が続いており、アフリカやユーラシア中部のような落ち着いた状態にはなっていません。

そこで他者の侵略による生命の危険をほとんど意識する必要がなく築かれてきた文化は、同じ大陸のなかで目に見えない国境を越えた侵略の歴史を繰り返して常に生命の危険にさらされてきた文化とは全く異なったものとなっています。


自分たちが生きるためには、他者を侵略しなければならなかった文化と、生きるためには自然と共生することをしなければならなかった文化の違いは、あらゆることについて本質的な違いを含んでいます。

人間として異なるものと言ってもいいのかもしれません。

これは日本の特徴でありながら、他の世界から見たら日本だけの特殊性として映ることになります。

競争の環境に文化的に馴染んでいる世界の先進文化の担い手である彼らと、先進文化圏に属しながらも共生という感覚を基本に持つ日本とは、あらゆることに対しての対応が違って当たり前なのです。


日本の環境だけを見ていたのでは、気がつきにくいことでもあります。

また、自分が意識しなくとも世界と触れる機会が増えてきた環境では、自分たちの特殊性を知ることがきわめて重要なことになってきます。

文化歴史が具現化したものが、そこで使われている言語です。

侵略された経験のない日本は、独自の言語を育てて継承してきました。

他者の言語を借りたり模倣したりすることは自らの意思で行なったことであり、決して押し付けられたものではありません。


他の言語の取り込みにおいても、すべて日本語として融合させてきており、日本語としての基本は1500年以上前と変わらずに継承されているのです。

全ての知的活動の基本が言語である以上、私たちは母語である日本語によってしか知的活動をすることができません。

外国語を理解することも、外国語を使用することも、すべて日本語による活動によって行なわれているのです。


「体と心と言葉」、この三つの要素がどのように展開していくのかとても興味があるところです。

感覚的に近い言葉を探してみると、「心・技・体」がすぐ頭に浮かびました。

あえて、言うならば「心・知・体」とでもなるのではないでしょうか。

しばらくは目の離せない活動になりそうです。


2月には、勉強会のお披露目のセミナーが開催される予定です。

期待を持って見守っていきたいと思います。