2014年7月29日火曜日

文字の認識と言語について

音声としての言語については、ほとんど場合は左脳にある言語野が反応していることがわかっています。

稀に、右脳に言語野がある人もいるそうですが、一般的には左脳が言語についての中枢となっています。

一説では、右利きの人の95%、左利きの人の65%が左脳に言語野があるとされています。

左利きの人は世界人口の約8%~15%(1977年)と言われており、とても曖昧な数字となっています。

それでも全体では約10%近くの人が、言語野が右脳にあることになりますので、常に例外として考慮しておく必要はあると思われます。


したがって、より詳細に言葉を聞き取ろうとするときには、左脳への入力に大きな役割を占めている右耳で聞き取ろうとする行為が行われるのです。

聞き取りにくい言葉を聞き取る場合には、無意識のうちに右耳を近づけていたり、右耳に掌でカバーを作ったりするわけです。

左脳でにある言語野に対しての入力をより鮮明にしようという、無意識の行動がこのように行われることになります。


聴覚情報による音の中から言語に関する物であることを認識する場合には言語野が活動します。

視覚情報においてもその情報が文字であるかどうかを認識する場合には言語野が活動しています。

ところが同じ文字であっても、その文字を頻繁に見ていると言語野の活動が少しずつ弱くなっていくようです。


言語としての認識をする前に、視覚情報の段階でその形によって認識してしまうことが起こるようになるそうです。

これを利用したのが速読です。

ですから、速読が効果的にできるためには、もともとの言語野が認識して意味を分かっている言葉がたくさんあることが必要になります。


速読にも、二つの方法が認められています。

書かれている内容を把握しながらする速読と、とにかく写真のようにインプットするだけの速読です。

どちらとも記憶能力も要求されます。


小学生の低学年の子どもが、内容もわからずに速読してしているのは、後者の方ですね。

書かれている内容を把握しながらの速読は、すべての言葉が事前に慣れ親しんでいる言葉であれば、言語野の活動は極めて少なくほとんどの場合は視覚野での活動が中心になります。

視覚上で親しんでいない言葉に出会うと、言語野が活発に活動を始めますので、速読としてのスピードは鈍ることになります。


また、視覚の場合は聴覚ほどはっきりと左右の器官で左右の脳と結びついているわけではないので、片目の中でも左右の脳にほぼ均等に情報が伝達されています。

ただし、以下の図のように、両目で見ていても、正面に向いて左側の情報は右脳へ伝達されることが多く、正面を向いて右側の情報は左脳に伝達されることが多くなります。

言語野が左脳にある人にとっては、外国映画の字幕はスクリーンの右側にあったほうが文字としての理解はしやすいことになります。



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どちらの目で見ても、視覚情報は左右の脳に伝達されますので、片目をふさいでテストをしてみても大きな違いは現れません。

しかし、左右二つのスクリーンを少し離して設置して、それぞれに消したり映したりすると左右の脳の活動を調べることができます。

同じ言語であっても、日本人がやった時の日本語は両方のスクリーンに同じ文字が映っていた場合が一番素早い反応を示します。

その次は、右側のスクリーンのみに文字が映った場合で、左側は何も映さなかったときです。

一番反応が遅いのが、左側のスクリーンのみに文字を映したときだったようです。

両方に移したときの反応の速さは、他の言語話者の反応を超える速さだそうです。


これは、普段日本語を使っている日本人がやった場合には、英語やアラビア語などどんな言語の文字を映しても同じ結果になったそうです。

これを、英語のネイティブにやってもらうと、両方のスクリーンに映した場合でも、左右どちらかのスクリーンしか映さなかった場合でも、結果は変わらないそうです。


どうやら日本人は、文字を見ているときでも左右両方の脳が活動しているようです。

英語のネイティブは、文字の認識は言語野のある方の脳でほとんど活動していることのようです。


日本語を母語として持っている人は、自然の音にも言葉を聞くことができますし、邦楽においては音楽においても言葉を聞くことができます。

音楽の世界で師弟関係があることはわかっていますが、口伝で音楽技術そのものを伝承していくことは日本人ならではの方法のようです。

「チントンシャン」「テケテンテン」は音楽を言葉として共有していなければ使えるものではありません。


他の言語話者であれば、自動車の騒音と同じように雑音として聞いてしまうもののなかに言葉を聞き分けてしまう能力は、左右の脳が活発に活動していないとできないことです。

文字情報に対しても、言語野側の脳だけが反応している他の言語話者に比べると、明らかに左右両方の脳が反応していることが多いのが日本語話者の特徴です。

どうやら日本語は、それを使っているだけでも左右の脳をバランスよく活動させているようですね。

もしかすると、他の言語話者よりも、脳全体の中での活動部分が多いかもしれませんね。


一般的には、脳は5%程度しか活動していないと言われていますが、日本語話者はもっと活動しているのかもしれませんね。

日本語を使いこなしていることは、他の言語を使うことよりも脳の機能をよりたくさん使うことができるのかもしれません。

知的活動のための唯一の道具が言語ですので、その言語によって知的活動の質や効率が異なるのは当たり前のことです。

私たちが知らないだけで、日本語は知的活動のためには世界最強の言語かもしれないですね。




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