過去、現在、未来、をどのように表現するかと言うことですね。
英語について見てみればよくわかるのではないでしょうか。
動詞の変化については、散々覚えさせられましたよね。
過去形や過去分詞形について、規則変化や不規則変化などありますね。
また未来形についても用法が決まっていて、文章の構成を見れば未来形であることが理解できるようになっています。
英語の授業でも、時制の一致についてはことあるたびに指摘されていたことを思い出します。
英語に限らず、フランス語、イタリア語などは、過去、現在、未来、と言う3時制を備えています。
さて、日本語における時制はどうなっているでしょうか。
過去形においては、動詞の語尾変化に過去形を表す助動詞である「た」があることで、過去の時制については明確なものがあります。
しかし、現在時制と未来時制についての明確な区別はありません。
現在形と未来形を動詞の形で区別できないことは、不便なように感じられますが、実際に使用してる私たちは不便さを感じたことはないと思います。
これは、過去、現在、未来という時系列を言語として(文化として)の感覚としてどのように持っているかということの裏返しだと思われます。
ほとんどの言語において、過去時制においては動詞の変化や助動詞の活用などによってすぐにわかる明確なものを持っています。
中国語は、時制を表す動詞の変化を持っていないために、時制を表す言葉である、昨天(昨日)や明天(明日)などと一緒に使われない限りは時制がつかみにくくなっています。
それでも、生活上や言語の使用上における問題が発生していないわけですから、明確な時制の区分が意識されていないと思われます。
日本語においては、現在形と未来形の違いがありませんので、その感覚は意識されていないのかと思いがちですが、そうではないことがわかりました。
表現形は現在形と同じなのですが、その言葉自体が持っている意味が未来を表しているモノがあります。
動詞の状態が「いる」を表しているのか、未来の行動を表しているのかで区別をしているのです。
「彼が、私の家にいる。」は「いる」の現在形であり、「彼が、私の家に来る。」は「来る」という動詞が本来持っている未来の行動を表しているモノになっているのです。
意識せずに、知らない間に使っていると思われます。
表現の形式として、特に未来を意識したい場合には、未来を表す副詞などを使用して強調していることになります。
英語は、特に時制を意識した言語だということができます。
過去、現在、未来、の3時制に加えて、完了形による表現や進行形による表現などによって、時制に対して細かなニュアンスの違いを持っています。
持っている母語によって、時間に対する感覚も異なっているのではないでしょうか。
日本語と同じように、未来時制に対して明確な表現を持たないか、あるいは持っていても使用頻度の少ない言語が、ロシア語、ドイツ語、朝鮮・韓国語などとなっています。
これらの言語においては、日本語と同じように、動詞そのものが持つ行動の意味で自然に未来の感覚が含まれていることで区別されているようです。
日本語の動詞の行為をよく見ていくと、ほとんどの動詞が未来の行動を示していることがわかります。
それを補うために現在形の表現として、英語で言うところの現在進行形に近いニュアンスとしての「・・・いる」で強調することが行なわれていると考えることができます。
未来を意識しないで使っている現在時制の表現のほとんどが、細かく見ていると未来のことを語っていることはよくあることとなっています。
そのために確認することの重要事項として常に言われることが、「いつまでに」と言うことになるわけです。
過去は明確に区別されるのが、日本語の特徴と言うことができます。
その代り、現在から未来にかけては、過去ほどの明確な区別ができないことになっています。
この特徴を理解したうえで、「いつまでに」を明確にした方がいい場面かどうかを考えていきたいですね。
決して日本語だけに限った特徴ではないのですが、普段使っている言葉の特徴はそのままその人の知的活動や行動に反映されていきます。
現在から未来にかけての表現は、英語に比較すると明確な時制を表すものがありません。
それでも明確な未来を表す動詞の数は豊富にあるために、その使い方によってははっきりとした未来を表現することも可能になっています。
しかし、意識して誤魔化すことも可能であり、意識しなければ曖昧にしなってしまうこともあります。
言語の特徴を理解しておくことは、知的活動や行動のためにもとても有効なことです。
ネットの上でも、世界と触れる機会が増えています。
自分ではその気はなくとも、世界から見られている時代となっています。
言語による特徴は、使っている人の行動に出ます。
世界の言語から見たら孤立した言語となっている日本語であるからこそ、その特徴を理解しておく必要があるのでしょうね。
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