今回は日本人の大好きな「三」についてみてみたいと思います。
同じ漢字を使用している中国では、一番人気のある数字は「8」だと言われています。
日本人のように、漢数字での「八」の形から、末広がりで縁起がいいという見方はしないようです。
中国語での「8」の発音は、財を成すという言葉や発展するという意味の言葉と似ているために縁起がいいと言われているようですね。
結婚式やお店のオープンの日に「8」のつく日を選んだり、電話番号や車のナンバーに「8」を入れたがる人が多いようです。
「8」のぞろ目以上のナンバーがついている車は、間違いなく高級車となっているようです。
「8888」の番号を手に入れるためには100万円以上のお金が動くこともあるようです。
三大○○というと、あたかもそのことに関するすべての物の中から選ばれた「BEST 3」という感覚を持ちます。
海外の人たちから見ると、日本人は無類のランキング好きであり、またそのランキングを何の抵抗もなく受け入れている自分の意見のない者だと見えるようです。
彼らがランキングを見る時は、まず疑ってかかるのが当たり前となっており、どういう機関がどういう対象に対してどんな方法で調査した結果であるかを注目するそうです。
そして、自分の感覚と違う順位でもあれば、そのランキングそのものを信じることはないし、話題にすることすらないようです。
ランキングと言うだけで、必ず何らかの裏があり、ある意図によって作られたものと感じる彼らと、ランキングであればとりあえず受け入れてしまう日本人では大きな感覚の違いがあるようです。
日本人をだますのは、根拠がなくとも数字やランキングを用いると簡単であると思われていることも一面にはあるようです。
日本人は「三」が大好きです。
「三」に対して安心感を持っています。
「三」が付くと何かしら動かしがたいきっちりとしたものであるという感覚を持っています。
熟語やことわざなどに使われている数字で一番多いものは「三」だと思われます。
そこで使われている「三」には大きく二つの意味があります。
一つ目は、大きな数を表す代表としての「三」の使い方です。
一でも二でもなく、もっとそれ以上の多い数のことを現わしているものです。
ことわざでは、最初は正確に「三」であったかもしれませんが、それが多いという意味に転じていったものだと思われます。
三顧の礼(三回である必要はない)、三国一(三つの国である必要はない)、石の上にも三年(長いことを表している)、三度目の正直(1回や2回ではダメという内容)などの例です。
反対に、おなじような用法で少ない(短かい)ことを現わしていることもあります。
三日天下、三日坊主、などがそうですね。
二つ目は、何かの基礎や基軸となることを設定する時において、安定したものであることを示すものです。
代表例は「三本柱」ですね。
一や二に比べると、点や線と言った発想から面の発想として捉えることができ、しっかりと全体をカバーしている感覚が伝わります。
また、四や五などに比べると、本当に大切なことに絞られた、原理原則的なものであるという感覚もついています。
三権分立、三位一体、三種の神器、三段論法、などがこれに当たります。
この場合には「三」の中のひとつひとつが、しっかりと確立されており、ただ単に「三つの」という感覚を越えたものとなっています。
「三」と言うと長嶋茂雄を思い出す人も多いのではないでしょうか。
彼の一番人気があった時は、「3番、サード長嶋、背番号3」の時だったそうです。
語呂合わせではないのですが、日本人の好きな要素がいっぱいに入ったアナウンスだったんですね。
さて、この「三」をうまく生かすことによって、自分の見え方・評価を変えることができます。
これは私が実際に経験したことです。
プロジェクトの立上げ早々のミーティングへ出席するときです。
前の打ち合わせが長引いてしまったために、使用したファイルを何冊か抱えたままで参加しました。
遅刻をして目立ったわけではないのですが、私が持ってきていたファイルをテーブルの上に置いた時にいくつかの視線を感じました。
このミーティングには関係のない資料ですので、背表紙が見えない様にそっと置きました。
やがて、ミーティングが始まり、プロジェクトの方向性とか目的とかの話だったと思います。
真面目に聞いていましたが、そのうち前の打ち合わせの内容を確認したくなり、ファイルを何回か開いたりしていました。
いわゆる、内職と言うやつですね。
そのうち、話が煮詰まってきたらしく、おなじような内容の発言が続いていました。
自分も何か言わなければいけないので、2~3人前からは少し真面目に聞いて、簡単なメモを取ったりしていました。
わたしの番になった時に発した一言目が以下の内容だったと思います。
「意見も出尽くした感じがありますね、おなじような話が出るようになってきました。ここまでのご意見としては、以下の3点に集約されるようですね。」
で始まって、直前の2~3人の話を簡単にまとめて、自分としては目の前で話した人の3番目の意見に賛成したいと加えて終わりました。
何が起こったでしょうか。
まずは、私の後ろに数人これらから話す予定の人がいたのですが、進行役が「どうやら、意見も出そろったようです、以降の方で今までと違った意見のある方はいらっしゃいますか。」と言い出しました。
挙句に、私が賛意を表した意見を出した人に向かって、「○○さんの意見を中心にしてまとめたいと思います。」
「ご異論のある方はいらっしゃいますか。」となってしまいました。
結果として、私が賛同した人が自分の意見を中心に次回までにまとめる来ることとなりました。
ミーティングの終了時間まで20分以上残していたと思います。
ミーティング終了後、進行役が私のところにやってきて、「本当に助かりました、どこまで話が広がるのか危ないところでした。事前検討の資料をあれだけ見せられては誰も何も言えませんね。」ときました。
そのあとも何人かから声を掛けられました。
さて、私がやったことはなんだったんでしょうか?
内職と、直前に話した人の内容をまとめただけです。
ポイントと言えるのは「三」の話くらいです。
実はこの時に、抱えている仕事がたくさんあったので、このプロジェクトで厄介な役割を与えられないようにしたいと思っていたところでした。
一旦こうなるとあとが楽になりますね。
このプロジェクトの以降のミーティングがほとんど私のペースでやれたことは、想像できるのではないでしょうか。
「三」は上手に使うと大きなチカラを持った言葉になります。
うまく切り抜けながら、悪い評価を受けないようにするのは、身につけたい技術ですね。
「三」が応援してくれると思いますよ。
ブログの内容についてのご相談・お問合せを無料でお受けしています。
お気軽にご連絡ください。