2013年12月3日火曜日

流行語大賞に思う

今年の流行語大賞が決まりましたね。
まさか、4つも選ばれるとは思いませんでした。
過去に2つはあったそうですね。

更に審査委員特別賞で「楽天、日本一をありがとう」までありました。

流行語大賞も30周年だそうです。
俵万智委員はまれにみる豊作の年だと言いましたが、だからこそしっかりと選び切るほうがよかったのではないかと思っています。


去年までの流行語は選ばれた時点でピークを越えており、定着するまではいきませんでした。
まさしく一発屋芸人的なものでした。

今年の流行語は新語や造語ではなく、方言や日常で普通に使っている言葉が使用された場面によって注目を浴びるようになったことが大きかったと思います。

「じぇじぇじぇ」は朝の連続テレビ小説のヒットも手伝って全国区になった方言ですね。
それ以外の「お・も・て・な・し」や「今でしょ」、「倍返し」は場面を意識することなく使っている、普通の言葉です。

去年の大賞である「ワイルドだろ」に比べたら、芸人がオチとして使ったものではないために、今回の大賞のすべては意味があると思います。


特にテレビ番組ではないところから出てきて、メディアに乗ることによってブレイクしたのが「お・も・て・な・し」と「今でしょ」です。

一つはオリンピック招致のために日本の良さを語る言葉として選んだものが、招致の成功とそのアクションとともに広まったものです。

もう一つは、予備校というどちらかと言えばネガティブなイメージの世界で、受験生を励まし続ける言葉として使っていたものが、メディアが取り上げたことでブレークしたものですね。

どちらとも、もともとはメディアを全く意識しなかったところから出てきたものです。

室井滋委員のコメントがよかったです。
今までの大賞は受賞時がピークで、その後は一気に引いて行ってしまった。
今回の流行語はこれからも日常に根差して使われていく言葉だろうと言っています。


私としては一番うれしいのは「じぇじぇじぇ」です。
言葉とか背景というよりも、地方の方言が取り上げられて注目をされたことがうれしいことです。

濁点と小さなひらがなを含みますので、「やまとことば」の流れの言葉ではないと推測できますが、その由来は興味のあるところですね。

内陸部では「じゃじゃじゃ」とも言うそうですが、方言に対して興味を持ってくれる人が増えると、言葉に対しての理解が深まると思います。

日本語がいかに広い言語であるか、またそれによって多様性が保たれていることにつながると思います。
一つの言語としての多様性は世界の他のどんな言語も及ばない圧倒的なものであることが、意外と知られていません。



個人的には今回の流行語大賞の言葉の出自は、どれも好ましいものだと思います。

一番メディアらしいものは「倍返し」でしょうか、次が「じぇじぇじぇ」ですかね。
メディア側の人間は、自分たちが光を当てて作り出した位に思っているんでしょうね。

「今でしょ」「お・も・て・な・し」のような流行語の広がり方はとても好ましいと思います。

メディア側でも「じぇじぇじぇ」のように方言に光を当てながらも、物語としてのキーワードとして際立たせた脚本家の腕を評価したいですね。

松本清張の「砂の器」を思い出してしまったのは私くらいですかね。