2013年12月2日月曜日

「尻馬に乗る」と「揚げ足を取る」

久しぶりにビジネストレーニングを受けてきました。

ビジネストレーニングもかなり心のありようの方にシフトしてきていますね。
一時はノウハウ的な詰め込みの研修が多かったと思いますが、最近ではマインドセッティングについての方が多いのではないでしょうか。

少人数(5~6人)グループに分けてのチーム活動を通じて、互いの気づきと成長の糧を見つけていく手法が増えています。

元の理論が欧米のチームマネジメントやコーチングに基づいたものになっているようです。

そのまま持ってきても日本企業に馴染まないことは経験的に分かっているのでしょう、かなりの部分が日本流にアレンジされていないと効果は薄いようですね。
特にマインドに関する部分については、メンバーが素直に心情を吐露できる環境を作れないと狙った効果が得られなくなります。

微妙な表現が影響を及ぼしたりしますので、説明者やコンダクターが使用する言葉一つにも注意が必要になります。

この部分に配慮が足りないものが数多く見受けられます。
論理の流れや人の心の動きの説明は、そこで使われる言葉の選択も含めてまだまだ馴染にくいものが多いようです。

世界で言語学上の孤児と言われる日本語による思考が独特の感性を生んでいる我々日本人は、他の国の理論や感性がなかなか当てはまらないことが多いです。

業種的にも世代的にも大きな傾向はありますが、実際は個人的な環境や経験によっても日本的な独特の感覚や感性を持っている度合いが異なります。


今回のトレーニングの目的はトレーニングの内容を経験することと、それを運用する側の実際を味わうことでしたので、本来は3日間の内容を圧縮して2日間で行われました。

内容に集中して真っ白な感覚で受けてみようと思って参加したことは正解でした。
この手のものは先入観を持ってしまうと、最初から壁を作ってしまうため素直に加われなくなりますね。


今回参加しながら試してみたことがあります。
「尻馬に乗る」と「揚げ足を取る」でどれだけ人の反応が変わるかを試してみました。

「尻馬に乗る」は気軽に使うと、自分の考えを持っていない軽いお調子ものだなと思われますね。
使い方に注意が必要です。

雰囲気が最高によかったのは「今の〇〇さんの話に触発されました。」と言って乗っていく場合ですね。
名前を出された本人は、自分が門を開いてやったとして気分がいいですね。
周りのメンバーは、こいつは人の話を聞くやつだなと感じて私の話も聞いてくれます。

尻馬の乗り方も「そうそう、あるある。私の場合はね・・・」と言ってしまうと、聞いてる方がよほど私のことを知りたがっている場合しか役に立ちません。
言い出すことの結論は、前に言った人と同じであることを既に宣言していますので、よほど個別の事情に興味がなければほとんど聞きません。

チームでのワークショップの時にこれをやられるとたまったものではありません。
同じことを自分のことして言い直しているだけですので、時間の無駄使いになります。
「それ、賛成です」の方がいい場合も多いと思われます。


もっとも慎重を要したのが「揚げ足をとる」の実験です。

早い段階で私が揚げ足を取りいったことが、チーム全員に感じられてしまうと、その後が大変になってしまいます。
チームの中の誰か一人でも揚げ足をとることがわかると感じると、途端に心が閉じられてしまいます。

面白い結果が得られたと思います。

ほんの些細なことで、チーム全員にまでは分からないように揚げ足を取ってみました。

発言者のネガティブな表現に対して、さらにネガティブな方へ揚げ足を取ってみました。
発言者自身はすぐに気がついて、目線を向けてきました。
何人かは、雰囲気が悪くなったと感じたようです。

次に、発言者のポジティブな表現に対して、ネガティブな方へ揚げ足を取ってみました。
それまで笑顔交じりで話をしていた何人かの顔つきが、スッと変わりました。
最後には揚げ足をとることになってしまったことを詫びて、ポジティブな方へ話を戻しましたが、瞬間はあまりの激しい変化に自分でもドキッとしました。

同じ揚げ足とりでも、とったあとの落ちがよりポジティブな方へ向けば笑顔でさらに話が進められます。
しかし、ネガティブな方へ向けてしまうと一気に場を凍らせる力があります。
気を付けたいですね。

実は、そんなことをやっていやたものですから、2日間でずいぶんポジティブになったと言われてしまい恥ずかしい思いをしました。


「尻馬に乗る」は頻繁に使うと軽はずみな行動と思われますが、うまく使うとチームの雰囲気を一気に溶解させる力があります。
同じ意味ですが気持ちとしては「尻馬に付く」の方が、自分の意志が感じられるかもしれないですね。

尻馬に乗ってしまってはどこまでも同じところへしかいけませんが、尻馬に付いていれば自分の意志でいつでも変えることができますね。

「揚げ足をとる」は決して禁じ手ではありません。
結論や落ちをよりポジティブな方に向けることは、チームに対していい刺激になります。

特にマインドに関して傷のなめ合い的な雰囲気にあるときに喝を入れるにはいい武器です。
それでも場の空気を一気に換えてしまう力がありますので、使い方には気をつけたほうがいいですね。

どちらも上手に使いたいものですね。