2013年6月7日金曜日

残れるか濁点ルール

日本語の特徴の一つに濁点があります。

もともと持っている基本の音が48音しかないわけですから、どうしても同音語が出てきてしまします。

言葉として発せられれば全く同じ音ですから、前後のつながりから類推するしかありません。

書かれた文字である漢字は、初めてみても意味が想像できるくらいの表現力を持ちますので、話し言葉と書き言葉はお互いを補完し合っていることになると思われます。

濁点が付けられものは「か」行、「さ」行、「た」行、「は」行の20音に限られています。



濁点のルールをいくつか考えてみましょう。


一つ目は連濁です。

二つの言葉が繋がった時に前の言葉に影響されて後ろの言葉が濁るのが連濁です。

同じ言葉が続いた場合でその音が濁音を持つものであれば、繰り返しの2回目が濁ることが典型です。

言葉で書いてもわかりにくいので具体例でいきますと、「ひとびと」「しなじな」「さめざめ」「しみじみ」的なものです。

井上ひさし先生によると連濁の問題は面白いこともたくさんあって、これだけで本が書けるようですが、ここではあっさりと触れておきます。

いずれにしても、非常に日本的な音で私の好きな音の一つです。

この濁点の使い方は今後も残るのではないでしょうか。


次は、建物の「三階」です。

一階「いっかい」、二階「にかい」。さあ三階。

これは「さんがい」ですね。最近はよく「さんかい」と聞くことがあります。

PCの日本語変換でも「さんかい」でも「三階」と変換されます。

これはもう崩れているといっていいですね。

一階から十階まででの中で唯一濁るのが「三階」だけですので、そのうち「がい」はなくなると思いますね。


今度は「田畑」と「茶畑」です。

音は「たはた」と「ちゃばたけ」です。

なんで茶畑は濁るのでしょうか?

細かいルールはあるようですが、二つの言葉「田」と「畑」、「茶」と「畑」の関係によって濁ることになっているようです。

二つのものが主従の関係にあるか、並列に関係にあるかで変わるようです。

「田畑」=「田」と「畑」=並列=濁らない

「茶畑」=「茶」の「畑」=主従関係(茶は形容で畑は主)=濁る

これは感覚として身についていると思いますね。

「ちゃはたけ」は音でいうと「は」にものすごく無理がかかるので、「ちゃばたけ」と言ったほうが音も自然ですので残っていくのではないでしょうか。


次は、ちょっとわかりにくいですがこれも連濁です。

「弾きがたり」と「弾きかたる」です。

「がたり」は「かたる」の名詞として使用されています。

「弾き」+「語る」で用言(動詞)がつくと濁りませんが、「弾き」+「かたり」と体言(名詞)がくると体言のほうに連濁が起こります。

これも「弾きかたり」と言うほうが「弾きがたり」よりも音が言いにくいので残るでしょう。


いろいろなルールはありますがほとんど習ったことはありません。

私たちは感覚として自然にこなしているのです。

その時の音に含まれている微妙なニュアンスを母語として何か感じているとしか思えません。


太鼓の音で小さな太鼓はトントン、大きな太鼓はドンドン。

汗がタラタラ、ダラダラ。ポタポタ、ボタボタ。

濁音になると力ができきますね、強くなってきます。

澄んだ音は、優しい、弱い、低い、細いものを模写していることがわかります。

母語というもののありがたさでしょう、いろいろな法則や使い分けを自然の間にいつの間にかこなすことができるようになっています。

母語は言葉だけではないんですね、文化であり歴史であり、思考であり感性であり・・・

何とか大切に伝え続けていきたいですね。




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