このブログは「現代やまとことば」を推奨して使いましょうと言っている割には、具体的な「現代やまとことば」を一度もお目にかけていませんでした。
概念的な定義的なものとしては数限りなく触れてきているのですが、結果としてのこれが「現代やまとことば」ですというものは提示できずにいました。
ここからしばらくは、実際の文章を題材として「現代やまとことば」として表現するとどのようになるかを見ていきたいと思います。
なかには「現代やまとことば」に置き換わらないものも出てくる可能性がありますが、それはその言葉に対する私の解釈がきちんと出来上がっていないからです。
また、目に触れた題材をえり好みせずに取り上げたいと思いますので、すべてがすんなりと置き換わるとは限りません。
その方が、「現代やまとことば」を理解するうえではより現実的ではないかと思いますので、敢えて無作為に選んでみたいと思います。
実際には話し言葉としての意識の方が強い「現代やまとことば」ですがここでは書き言葉としてしか表現できませんので、ぜひ話しことばとして思い描いたり実際に声に出してみたりして欲しいと思います。
まずは、「現代やまとことば」の定義をあらためて見直してみましょう。
- 「ひらがな」ことばで表現できる話しことば
- 訓読みで表現できる漢字を用いたことば
使い方や効果については何度も触れてきているので早速試してみましょう。
まずは、例文を設定してみます。
「IT技術の進展により、様々な知的資源、文化資源をデジタル化して保存、発信する「デジタルアーカイブ」が脚光を浴びています。」
慣れてくればそのまま単語を置き換えていくだけですので簡単ですが、ここではまず対象としての単語をわかり易くするために文節に区切ってみたいと思います。
IT技術の/進展により、/様々な/知的資源、/文化資源を/デジタル化して/保存、/発信する/「デジタルアーカイブ」が/脚光を/浴びています。
文節の区切りも読み方によっては絶対的なものではなくなりますが、一つの区切り方の例として11の要素に分けてみました。
まず、一つずつの要素の中に漢字で書かれているものを一目見て「ひらがなことば」であるものがすぐにわかるのではないでしょうか。
そうです、訓読みの漢字で表現されているものです。
話しことばとしては「ひらがなことば」としてそのまま使えるものになります。
「様々な」=「さまざまな」と最後の「浴びています」=「あびています」です。
この二つの要素は既に「現代やまとことば」になっているということができます。
「さなざまな」も「あびています」も誰が聞いても同じ解釈ができる言葉になっていると思います。
それ以外の言葉については「現代やまとことば」に置き換えていくことが必要になります。
そのためのヒントは助詞や語尾変化に使われているひらがなを消してしまって単語を丸裸にすることが有効です。
前にも触れましたが、ひらがなは単語同士の関係を明確にするための役割を持っているために、まったく意味が分からない単語に出会っても助詞や副詞・語尾変化などのひらがなのおかげである程度の推測ができてしまうのです。
(参照:「ひらがな」を使いこなせ)
そのために、実際にはよく理解できていない言葉であっても何となくわかったような気がして流してしまい後で考えたら分かっていなかったということが起こるのです。
ひらがなを消してしまうことによって裸の単語が現れてきます。
その単語を「現代やまとことば」に変換することになります。
既に「「現代やまとことば」になっている言葉を除いて、ひらがなを外した言葉を並べてみましょう。
IT技術/進展/知的資源/文化資源/デジタル化/保存/発信/「デジタルアーカイブ」/脚光
漢字とカタカナ言葉だけになりました。
漢字については全てが音読みばかりですが実際には音訓混ざったものもあることがあります。
訓読みは話し言葉としてはそのまま「現代やまとことば」(=ひらがなことば)になっていますのでとても簡単に解釈できることになります。
さて、「IT技術」を置き換えてみましょう。
そのまま置き換えできるひらがな言葉はパッとは浮かばないのではないでしょうか。
国語辞典的にあるような「IT技術とは」は必要ないのです、自分の言葉として発するわけですから自分がどのような意味を持たせたいのかを表現しなければなりません。
分析的に考えれば「IT技術」=information technology 技術になりますので直訳してしまえば「情報技術技術」となって「落雷が落ちた」「頭痛で頭が痛い」などと同じ重複表現となっていることになります。
もともとが抽象的で意味が分かりにくい言葉となっていますので自分なりのことばで表現する必要が出てきます。
そもそも「IT技術」という言葉自体が使う人によって意味がみんな異なるような言葉になっているのではないでしょうか。
誰かに何かを伝えるための言葉というよりはこの言葉を口にすることを自慢したいだけの言葉になっていないでしょうか。
十人十色の解釈ができるこの言葉を言いたいことに沿った意味を持った言葉で置き換える必要があるのです。
この文章では、コンピューターや情報通信などの一般的な技術のことを意味していますのでよりわかり易い言葉にする必要があると思われます。
ITのようなアルファベットの略字やカタカナ文字で表現される言葉は、外来語であることが多く日本語としての表現として的確な言葉を持っていないことがよくあります。
あるいは何かしらの特別な意味を持たせたいために使用されることがあります。
そのために「現代やまとことば」に置き換えるには、自分がどんな意味を持たせて使っているのかを明確にする必要がある言葉となっているのです。
ひとことで置き換えができない場合もたくさん出てくることになりますがそれでもかまわないのです。
わたしが使いたい意味としては「すぐに使える形で残しておくことができるようになってきたやり方」とでもなるのではないかと思います。
文字では漢字も含まれていますがすべてが訓読みでありひらがなことばです。
わたしの中でも「IT技術」についてきちんと理解できていないことがよく分かる表現ですね。
こんな見直しもできることになります。
それでも「IT技術」を使いたいのであればその後に「すぐに使える形で残しておくことができるようになってきたやり方、いわゆるIT技術」として伝えれば伝えたい意図が明確になると思います。
無作為に取り上げた例題の最初の要素がいろいろな検討内容を含んでいました。
また、文字として表現するために書かれた例題ですので話し言葉として使用するにはかなり手を入れる必要があるものでもあります。
例題の文章を話して伝えようとする場合にこのまま読む人もいないと思いますが、敢えてやってみることで見えてくることもありますね。
今回は「IT技術」のみで終わってしまいましたが、少なくとも次の「進展」までは意識して考えてみたいものですね。
話しことばはあらかじめ用意しておいた原稿を読むことでない限りはその場での瞬時の言葉選びが大切になります。
緊張したり条件が厳しくなればなるほど自分の持っている使い慣れた言葉しか出てこないわけですね。
その言葉が自分でもしっかり解釈できていない言葉であったらきちんと伝わるわけありませんね。
「現代やまとことば」で表現することは自分の持っている言葉がしっかり解釈できており人に伝わることばかどうかを確かめることにも役に立ちます。
次回は、もう少し同じ例題で挑戦してみたいと思います。
「現代やまとことば」を経験する(2) につづく
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「IT技術の進展により、様々な知的資源、文化資源をデジタル化して保存、発信する「デジタルアーカイブ」が脚光を浴びています。」
慣れてくればそのまま単語を置き換えていくだけですので簡単ですが、ここではまず対象としての単語をわかり易くするために文節に区切ってみたいと思います。
IT技術の/進展により、/様々な/知的資源、/文化資源を/デジタル化して/保存、/発信する/「デジタルアーカイブ」が/脚光を/浴びています。
文節の区切りも読み方によっては絶対的なものではなくなりますが、一つの区切り方の例として11の要素に分けてみました。
まず、一つずつの要素の中に漢字で書かれているものを一目見て「ひらがなことば」であるものがすぐにわかるのではないでしょうか。
そうです、訓読みの漢字で表現されているものです。
話しことばとしては「ひらがなことば」としてそのまま使えるものになります。
「様々な」=「さまざまな」と最後の「浴びています」=「あびています」です。
この二つの要素は既に「現代やまとことば」になっているということができます。
「さなざまな」も「あびています」も誰が聞いても同じ解釈ができる言葉になっていると思います。
それ以外の言葉については「現代やまとことば」に置き換えていくことが必要になります。
そのためのヒントは助詞や語尾変化に使われているひらがなを消してしまって単語を丸裸にすることが有効です。
前にも触れましたが、ひらがなは単語同士の関係を明確にするための役割を持っているために、まったく意味が分からない単語に出会っても助詞や副詞・語尾変化などのひらがなのおかげである程度の推測ができてしまうのです。
(参照:「ひらがな」を使いこなせ)
そのために、実際にはよく理解できていない言葉であっても何となくわかったような気がして流してしまい後で考えたら分かっていなかったということが起こるのです。
ひらがなを消してしまうことによって裸の単語が現れてきます。
その単語を「現代やまとことば」に変換することになります。
既に「「現代やまとことば」になっている言葉を除いて、ひらがなを外した言葉を並べてみましょう。
IT技術/進展/知的資源/文化資源/デジタル化/保存/発信/「デジタルアーカイブ」/脚光
漢字とカタカナ言葉だけになりました。
漢字については全てが音読みばかりですが実際には音訓混ざったものもあることがあります。
訓読みは話し言葉としてはそのまま「現代やまとことば」(=ひらがなことば)になっていますのでとても簡単に解釈できることになります。
さて、「IT技術」を置き換えてみましょう。
そのまま置き換えできるひらがな言葉はパッとは浮かばないのではないでしょうか。
国語辞典的にあるような「IT技術とは」は必要ないのです、自分の言葉として発するわけですから自分がどのような意味を持たせたいのかを表現しなければなりません。
分析的に考えれば「IT技術」=information technology 技術になりますので直訳してしまえば「情報技術技術」となって「落雷が落ちた」「頭痛で頭が痛い」などと同じ重複表現となっていることになります。
もともとが抽象的で意味が分かりにくい言葉となっていますので自分なりのことばで表現する必要が出てきます。
そもそも「IT技術」という言葉自体が使う人によって意味がみんな異なるような言葉になっているのではないでしょうか。
誰かに何かを伝えるための言葉というよりはこの言葉を口にすることを自慢したいだけの言葉になっていないでしょうか。
十人十色の解釈ができるこの言葉を言いたいことに沿った意味を持った言葉で置き換える必要があるのです。
この文章では、コンピューターや情報通信などの一般的な技術のことを意味していますのでよりわかり易い言葉にする必要があると思われます。
ITのようなアルファベットの略字やカタカナ文字で表現される言葉は、外来語であることが多く日本語としての表現として的確な言葉を持っていないことがよくあります。
あるいは何かしらの特別な意味を持たせたいために使用されることがあります。
そのために「現代やまとことば」に置き換えるには、自分がどんな意味を持たせて使っているのかを明確にする必要がある言葉となっているのです。
ひとことで置き換えができない場合もたくさん出てくることになりますがそれでもかまわないのです。
わたしが使いたい意味としては「すぐに使える形で残しておくことができるようになってきたやり方」とでもなるのではないかと思います。
文字では漢字も含まれていますがすべてが訓読みでありひらがなことばです。
わたしの中でも「IT技術」についてきちんと理解できていないことがよく分かる表現ですね。
こんな見直しもできることになります。
それでも「IT技術」を使いたいのであればその後に「すぐに使える形で残しておくことができるようになってきたやり方、いわゆるIT技術」として伝えれば伝えたい意図が明確になると思います。
無作為に取り上げた例題の最初の要素がいろいろな検討内容を含んでいました。
また、文字として表現するために書かれた例題ですので話し言葉として使用するにはかなり手を入れる必要があるものでもあります。
例題の文章を話して伝えようとする場合にこのまま読む人もいないと思いますが、敢えてやってみることで見えてくることもありますね。
今回は「IT技術」のみで終わってしまいましたが、少なくとも次の「進展」までは意識して考えてみたいものですね。
話しことばはあらかじめ用意しておいた原稿を読むことでない限りはその場での瞬時の言葉選びが大切になります。
緊張したり条件が厳しくなればなるほど自分の持っている使い慣れた言葉しか出てこないわけですね。
その言葉が自分でもしっかり解釈できていない言葉であったらきちんと伝わるわけありませんね。
「現代やまとことば」で表現することは自分の持っている言葉がしっかり解釈できており人に伝わることばかどうかを確かめることにも役に立ちます。
次回は、もう少し同じ例題で挑戦してみたいと思います。
「現代やまとことば」を経験する(2) につづく
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