2014年1月8日水曜日

気づかなかった日本語の特徴(1)

母語の大切さついては何度か触れてきましたが、その母語を日本語で身に付けることのメリットについてはほとんど触れてきませんでした。

日本語の特徴については思いつくままに断片的には述べてきましたが、ほとんどが母語との関係において触れてきたことでした。

ここでは世界の他の言語と比べながら、今までわかってきた日本語の特徴について何回かに分けながら確認していきたいと思います。


まずは、これまでに分かってきた特徴を挙げてみます。
  1. 世界のどの言語体系にも属さない孤立言語
  2. 文字のない時代の言葉をそのまま受け継ぐ言語
  3. 自然の音を「言葉」として受け取る感覚を持つ言語
  4. 比類なき多彩な表現力を持つ言語
  5. 世界の最先端文明を取り込んだ言語
  6. 使いこなすことが世界でも最も難しい言語のひとつ
それぞれが個別の特徴というよりは、微妙にそれぞれが影響し合って様々な特徴として表れているということだと思います。

見方によってはまだまだ挙げられると思いますし、見つけられていないこともあると思います。
なるほどというものが見つかったら、また付け足していきたいと思います。


まずは、一つずつ見ていきましょう。

1.世界のどの言語体系にも属さない孤立言語
日本語についても色々な人が言語の系統についての研究結果を報告しています。

文法的な面から、または語彙的な面から、あるいは発音の面や民俗学的な面からなど様々な研究がされています。

決定的な定説はないようです。
言語学上は世界の言語の系統のどこにも当てはまらない孤立した言語となっていることが多いようです。


一般的に、言語の成り立ちは文明の侵略や導入によって一緒に入ってくることがほとんどです。
その文明の恩恵にあずかるためには、その文明が持っている言語を使わざるを得ないからです。

したがって、文明が広がることによって言語が広がっていくことになります。

自発的あるいは人の流れに乗って文明を導くこともあれば、植民地のように強制力をもって文明を移していくこともあります。

もともと使われていた言語は、文明の広がりに伴って放射線状に辺境へと追いやられていきます。



日本が取り込んだ言語を伴った最初の文明は中国文明です。
政治の仕組みとしての律令の導入と仏教の導入がその中心でした。

この時に一緒に導入された言語が漢語です。

そのまま漢語が日本の言語として定着する素地は充分にあったのです。

漢語は国の正史や記録としての公用語としての地位を獲得していきます。
皇統を中心として役人・エリートたちはこぞって漢語を身につけました。
漢語ができないと職に付けないからです。

本来ならば、この段階で日本の言語が漢語になっていてもおかしくなかったのです。
そうであれば、
日本語は、まぎれもなく中国語文化圏として漢語の系統に属することになります。


ところが、この漢語をもとにして、文字の無かった話し言葉だけの原日本語(古代やまとことば)に対応する文字を発明してしまうのです。

理由はわかりません。
様々な推測はありますが、決定打はありません。

話し言葉としての原日本語と漢語の音があまりにもかけ離れていたため、文字としての漢語は定着する方向にいきましたが、話し言葉としての漢語は広がり切らなかったともされています。

また、
原日本語の言葉の並び(文法)があまりにも漢語と離れていたため、漢語を直接理解することができませんでした。
理解するためには原日本語への変換が必要になり、そのための変換ツールとして仮名が発明されたとも言われています。

漢語→変換語(仮名)→原日本語(文字なし)ということですね。

結果として、漢語を使いながらも原日本語に対応する文字を生み出し、全く新しい言語としてどこの系統にも属さない日本語仮名を作り出してしまったのです。

ある種の奇跡ということができるのではないでしょうか。


世界には文字を持たない言語が沢山あり、未発見の言語もたくさんあります。
文字を持たない言語の系統整理は、さらなる困難を伴うようです。

原日本語の系統についても様々な説がありますが、文字を持った日本語よりも更に漠然としたものとなっています。

それだけに、楽しく想像することはできますが、定説とはならないですね。
(参照:やまとことばとイスラエル語

いずれにしても2000年以前のことですので、検証は難しいことです。


その後の日本語の変遷については、以降の特徴に触れていくときに一緒に見ていくことになると思います。

ひらがなの定着やヨーロッパやアメリカの文明の取り入れ方など、他の国の言語とは異なった日本独特の発展をしてきたことが日本語の特徴をより強固なものとしていきます。

言語としての特徴は思考の特徴となります。

日本人の独特の思考が研究対象になってきています。

もっと日本語について知っておくと面白くなっていきますね。