2015年3月13日金曜日

お母さんになる準備としての日本語教室(1)

人が持っている言語が伝承言語である母語、学習言語としての国語、環境言語である生活語の三つの要素からできていることについては、幾度となく触れてきました。

その中でも自分では選択することもできなく、ほぼ本能的に身につけていく母語によってほとんどのことが決まってしまうことについても数多く触れてきました。
(参照:知的活動と言語について など)

幼児期の4歳半ごろもまでに取得を完了してしまう母語については、その後に起こる現象である幼児期健忘とともに分からないことが多く残されていることでもあります。
(参照:幼児期健忘について

しかし、現象面から確認できることや過去の研究などによって、人の生涯の基礎感覚になる言語であることは分かってきています。


母語の伝承は、生まれてきた子どもにはまったく本能的なことしかできませんので、親がその環境を整えてあげることしかできません。

それほど大切なものであるにもかかわらず、子どもの本能としての習得活動にまかせっきりになっているのが現状ではないでしょうか。

母親になることが分かった日からでも遅くはないので、少なくともお母さんになる準備として身につけておいてもらいたいことがあります。


子どもに言語を伝えることができるのは母親だけです。

伝える方が、その環境について意識しなければ誰も意識することはありません。

子どもが生まれてからのお母さんは、毎日の育児のなかで大変な負担がかかりますので、言語の環境について考えている余裕などありません。

子どもを持つことが分かった時から、心穏やかに過ごすことが求められます。

その時に、習得しておくべきこととして、生まれてからの言語環境について考えておくことは、精神安定上もとても良いことではないでしょうか。


何はともあれ、お母さんになることがわかっときには、母語について知っておく必要があります。
(参照:母語について知っておこう など)

母語の伝承は生まれた瞬間から始まっています。

考え方によっては、おなかにいる時から始まっているとする説すらあります。


母語は、子どもが成長していく過程におけるすべての知的活動のための基礎となる言語です。

あらゆる知識の取得や思考を行なうための、一番基本的な力になるものです。

しかも、子どもが自分の力で知的活動を行なえるようになるまでは、すべて母親との間で行われる活動によって習得されるものとなります。


ここで習得される母語が、その子の生涯に影響を与える基礎言語となるのです。

実際に子どもが言語としての対応ができすようになるには1歳半頃まで待たなければなりませんが、その時にはそれまでに子どもの中では蓄えられて発達してきたものが発現しているにすぎないのです。

生まれた瞬間から、語り掛けれられた母親の言葉がそのまま子どもの母語を形成していくのです。

実際に言語として発現して来るためには、それ以前に理解できている言語をたくさん持っていなければなりません。

それは、生まれる前のおなかにいる時の語りかけから始まっていると思っていいのではないでしょうか。


まずは、母親になる準備として、母語という言語についての理解が絶対的に必要になります。

そして、本当に生まれてからわずか4年半という期間でしか身につかない母語という言語が、人の一生を左右するものであることを理解しておくことが必要になります。

とくに、母親としては一番興味があり他者との比較や情報において惑わされる元となる幼児教育との関係において、自分のなかであるいは家族として母語についての理解をしておく必要があります。


本当に意識をして環境を整えない限り、多くの言語に触れる機会は簡単にあるからです。

テレビや雑誌だけではなく、日常の生活の中や子どもの周りのも多くの言語が飛び交っています。

時としては、家族の中でも夫婦であっても、持っている言語が違っていることさえあります。

そんな時にはさらに意識をして、子どものための言語環境をしっかり整えてあげる必要があります。


母語というものがどういうものであるのか、母語はどんな役割を持っているのかを理解することが最初にすることになります。

その次にすることが、子どもに伝承する母語をどの言語にするかということになります。

日本人同士の両親が、日本の社会のなかで、日本語だけで生活をしているような環境においては全く考える必要もなかったことになります。


両親の持っている母語が異なっていたり、海外で子育てをする環境にあったり、常に多国語が飛び交う生活環境であったりするときは、とても注意が必要になります。

子どもに伝えることができる伝承言語は、母親が持っている言語だけです。

しかも、最大限でも母親が持ている言語が限界ですが、すべてが伝わることはあり得ません。

母親が持っている言語以外の言語を子どもの母語にしようとするときは、日常生活において母親を子どもと接することから遠ざけなければなりません。

将軍が大奥で生まれた子供を、母親から取り上げ乳母によって育てるのと同じことをしないとならなくなります。


自然な形であれば、母親と子供はあらゆる面で接点が一番多いわけですから、母親の持っている言語が子どもの母語として伝承されていくことになります。

母親が、バイリンガルであったらどうなるでしょうか。

どんなに優秀なバイリンガルであっても、子どもの言語は絶対にバイリンガルにはなりません。

子どものなかで言語の区別がつかないからです。


母親がバイリンガルであり、日常的に二つの言語を使って子どもと接することは気をつけなければなりません。

母親自身は、二つの言語を区別できますが、子どもの母語としてはそれが混ざり合ったものとしての一つの言語として身についてしまうからです。

しかも、その混ざり方はどんな混ざり方になるのかわかりません。

世の中に存在しない言語を母語として持ってしまうことになります。

そうなった時の悲惨さは、想像すらできないものとなるでしょう。


母親にも母語があるのです。

バイリンガルの第二言語は、母語で理解して身につけて使えるようになっているのです。

幼児期の子どもとの接触における語りかけや会話は、単一言語である母語に徹した方がいいのです。

そこで母語としての言語を選ぶときに、母親の持っている母語以外の言語を選ぶことはとても危険な行為となります。

母語習得の4歳半までの間は、母語とする言語以外の言語には触れさせないほうがいいことになります。


幼児期に、母親との接触時間が少ないにもかかわらず、英語教室で教え込まれた子供たちの知的活動は、一般的な子供たちよりも劣っていることが報告されています。

特に4歳以前においての他の言語の教え込みは、致命的な結果を招くことが多いようです。

そんなことも、母親になるための準備としては必要なのではないでしょうか。

次の機会には、母親の持っている言語について触れてみたいと思います。


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