2014年11月1日土曜日

日本人の議論・交渉

日本語はとても豊な表現を持っていることは、何度も触れてきました。

このこと自体は、とても素晴らしいことなのですが、場面によっては豊かすぎる表現によって誤解を生じることがあります。

特に、議論や交渉の場において、問題解決をする場合は、利害の対立する関係者同士の場合が多くあります。

互いの主張が対立状態から抜け出せなくなって、平行線のまま終始することが起こります。


こんな場合の解決策として有効なのが、「共通認識領域」をしっかりと再確認することです。

もともとの議論や交渉は、「共通認識領域」に基づいて行われているはずなのですが、実際の場面では軽視されていることが多くなっています。


古くは、議論や交渉は、より力を持った方が自らの問題を解決けるするために相手にその解決策を押し付けるために行われました。

やがて、議論や交渉は一方的な強制の場から、協議の場へと変化していきました。

問題を解決するための場として、問題解決に際して当事者が何らかのメリットを得ることができるようにする場となっていったのです。


上下、主従の関係から、並列の関係としての議論や交渉となっていったのですが、この並列という関係が日本人にとってはとてもの居心地が悪いものとなっているのです。

インプット教育で常に比較されてきた日本人は、歴史的に見ても相手との関係において、全人間的な評価が優先してしまい、アウトプットとしての結果を評価することがとても苦手です。

本来は、全人格的な人間そのものはそれだけで敬うものであり、評価の対象となるべきものではありません。

評価はあくまでも、その人が行なったアウトプットに対してなされるべきものであります。

日本人の傾向として、このアウトプットに対する評価が極めて苦手となっており、アウトプットの評価をしているつもりがその人の全人間的な評価に置き換わってしまうことが頻繁に起こります。

その結果、評価としては全人間的な評価としての優劣となってしまうのです。


学校の成績は、ほんの一握りのインプットの比べっこですが、これで人間そのものの順位や上下関係が築かれてしまいます。

企業の規模とポジションで、個人としても自然と序列ができてしまいます。

それが、議論や交渉の場でも反映されますので、対等の立場での協議とはなりにくくなってしまうのです。


立場の強い方が一方的に、自分たちの問題を解決するための条件や方法を相手に要求します。

かたや、メリットを確保しようとなんとかその要求をはね返そうとします。

ほとんどの場がこのようになっているのではないでしょうか。


また、議論や交渉の当事者にとってはどうしてもテーブルの上に載っていることについての交渉事に集中してしまうために、もともと持っていた問題解決の目的が見えなくなってくることがあります。

議論や交渉事を自分たちの有利にまとめあげることが目的になってしまい、手段が目的に置き換わってしまうことが起きます。

特に解決したい問題のニーズを抱えた当事者が参加していないような場合には起こりやすいことです。


購買部による交渉では、購買する目的がわからずに取引条件だけを決めることが目的となってしまうことがよく起こります。

いい取引条件を獲得したのですが、本来の目的のニーズは解決されていないことは思っている以上に存在しています。

ニーズを抱えている当事者が参加していない議論や交渉は、結果として問題解決につながらないことが多くなります。


平行線の議論が続くことが多い日本の交渉ごとにおいては、「なかを採って」「痛み分け」などの結論がよく見受けられます。

これは、不毛の議論の末に落としどころを作らなければいけないための妥協の産物です。

結論の出ない交渉に時間をかけた結果は、責任者による一言で終了となることがほとんどです。

決定権のない当事者同士の交渉が何の役にも立たないことは承知の上で儀式的にやっているのです。


伝言ゲームによって、実態からどんどん離れていってしまいます。

組織が大きくなるほどよく見られる現象ですね。

交渉の場においても上下の関係を築きたがります。

交渉の当事者が上下の関係のなかで、交渉にあたっているわけですから仕方がないと言えますね。


利害関係が一致したり、利害関係がない場合の協力の仕方において、日本人は無類の強さを発揮します。

しかし、ひとたび利害関係で対立の構図ができてしまうと協議することがとても苦手になってしまうのです。

問題解決という共通目的をしっかり持てるかどうかで、議論や交渉のスタンスそのものが決まってしまうのですね。

その前提の「共通認識領域」をしっかりと作っていくことが改めて大切になりますね。





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