2014年10月8日水曜日

日本語 vs 英語(4)・・・音の違い

日本語の音は、他の言語話者からするとタンタンタンと抑揚がなく、とてもせっかちに聞こえるそうです。

また、日本語は「ん」を除けば、すべての音が母音で終わっているために、同じ音が続いてとても周波数を計測しやすい音となっています。

その結果、子音言語となっている他の言語よりもずっと正確に、言語の音として使用している周波数が計測されています。


それによれば、日本語の音で使用されている周波数は、125Hz~1,500Hzとなっており、他の言語に比べるとかなり低い周波数帯にあることがわかっています。

一般的に、人間の可聴域は20Hz程度~20,000Hz程度と言われています。

また年代的にも、聞き取れる周波数帯に変化が生じてきており、20代を過ぎると個人差はあるもののどの周波数帯に対しても聴力が落ちてくると言われています。

最終的には、老人性難聴と言われる症状になると言われていますが、それでも低周波数帯については高周波数帯に比べて落下が少ないと言われています。


英語の周波数帯は、イギリス英語とアメリカ英語でかなり大きな違いが出ています。

イギリス英語だと、2,000Hz~12,000Hzとされていますし、アメリカ英語では、750Hz~5,000Hzだとされています。

同じ英語でこれほど違うとは思いもしませんでした。


もっとも、子音言語である英語は子音の音が圧倒的に多いわけですが、その周波数を測定するのがかなり難しいようです。

子音の発音は瞬間的な音が多く、日本語のように同じ音が長く続かないために、一定の時間における空気の振動としての波を計測している周波数の測定には向かないものとなっています。

そのために振れ幅の大きなもののどの部分を採用するかによって、周波数がかなりのズレを持ってくることになります。


それでもこのデータを信用すると、日本語はイギリス英語とは使用している音域が、全く重ならないということになります。

人の感覚器官は、すべてが母語によって機能開発されて、母語を使ったり聞き取ったりするのに一番適した発達をしていきます。

日本語を母語として持っている人は、125Hz~1,500Hz程度の音を言語として聞き取りやすいようにできていますので、イギリス英語は言語としてはとても聞き取りにくいものになっています。

アメリカ英語の方が聞き取りやすく感じるのは、ちゃんとそのわけがあるのです。


言語におけるすべての基準は、自分の持っている母語です。

どの言語を母語として持っているかによって、他の言語に対する見方も変わってきます。

日本語を母語として持っている人が見る英語と、ドイツ語を母語として持っている人が見る英語は、見る基準が違いますので同じ英語を見たとしても、受け取る感覚が異なります。

日本語を母語として持っている人にとって、ドイツ語が聞き取りやすく感じるのは、ドイツ語の持っている周波数が日本語に近いからだと思われます。

更には、日本人の馴染みのない、子音言語独特の瞬間的なもので、音にならないような風を切るような息で作られた音が少ないからだと思われます。


日本語の音の数は、先進文明の言語の中ではかなり少ない方です。

ひらがな清音45音に濁音・半濁音を加えて68音です。

ちなみに、文字数はひらがな46文字に濁音・半濁音を加えて71文字になります。
「お」と「を」が同じ音であり、「じ」と「ぢ」・「ず」と「づ」が同じ音になっているので文字数よりも音数の方が少なくなっています。

全ての音を加えても100そこそこと言ったところでしょうか。

日本語には多様な文字があり、複数の言葉が同じ音であったとしても文字にすることでその違いを明確にすることができます。

いわゆる、同音異義語がたくさんあるのが日本語です。

会話から日本語を学んでいく外国人にとっては、この同音異義語がとても厄介なものとなっています。


これは表意文字である漢字のおかげで文字にすることで意味の違いを理解していることになります。

現在、世界で使用されている文字のなかで唯一の表意文字が漢字だと言われています。

文字そのものに意味がありますので、書くことによってその意味するところをより明確にできるものです。

英語は、表音文字であり口頭言語です。

音の違いによって意味の違いを区別しているものです。

そのために、多くの音を必要としています。


子音+母音の単純音ではカバーしきれないので、母音にしても多くの音がありますし、子音だけの音もたくさんあります。

音でカバーしきれない分については、アクセントや強弱などで音についての違いを付けようとします。

日本語を母語とする者にとっては、これらの違いを聞き取ることが難しいのです。


同じ漢字を使っている中国は、代表的な方言だけでも10くらいはあります。

口頭表現だけでは子音をたくさん持っているので、意味の通じない方言同士もたくさんあるようです。

それをカバーしているのが、表意文字としての漢字になります。


日本語の漢字は、訓読み音と音読み音を持っているものが多くあります。

訓読み音は、ひらがなの清音や濁音が使われていることがほとんどで、昔ながらの「やまとことば」の音を継承しています。

音から意味が読み取れる言葉となっています。

音読み音は、いわゆる中国語読みで小さな「や、ゆ、よ」を含んだりや子音に近いものが多く、同音異義語の宝庫となっているものです。


漢字の二種類の音とひらがなで構成される和漢混淆文は、日本語の表記の標準形式となっています。

音としての理解と文字としての理解の両方から確認することができるものです。

表意文字と表音文字のそれぞれの特徴を生かした使い方ができれば、最高の組み合わせになるものです。

使い方が悪いと、かえって間違い生むもとになる可能性もあるものとなっています。


口頭言語のみに頼る英語に比較すると、日本語の口頭によるコミュニケーションは文字による助けを前提としているためにどうしても正確さに欠けることになります。

そこに、歴史的な伝統文化の感覚として、多くを語らずや行間を読むなどが加わると、口頭での表現における丁寧さは英語とはほど遠いものとなってしまっています。


イギリス英語に感じる難しさは、クウィーンズ・イングリッシュとしての格調高さだけではない、音としての聞き取りにくさも手伝っているようですね。

アメリカン・イングリッシュの方が日本人にとっては取り組み易いようです。






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