ほとんど日本語しか使いこなせない私が、日本語について語ってもそれが特徴にあたるのかどうかは、比較対象がないと特徴として位置付けることは出来ません。
今までは、日本語の特徴を印象付けするために、比較対象とする言語を使い分けてきました。
しかもその対象言語を明確にせずに、一般的に「他の言語に比べて」としていることも決して少なくありません。
日本語が世界でも言語界の孤児となっていることは何度も確認してきました。
また、日本でしか通用しない(正確には日本語の母語話者にしか通用しない)、他の言語との共通性がほとんどない言語であることも確認してきました。
私たちが外国語と言った時に真っ先に思い浮かぶのは英語でしょう。
また、実社会で一番触れていく機会の多い外国語も英語だと思います。
それは英語圏の国々の戦略によって、英語が先進文明国の間では共通語・公用語としての地位を獲得しているからです。
他の外国語との比較において、日本語の特徴を見てみても実際の役に立つ機会はほとんどないでしょう。
英語との比較において、日本語の特徴を確認することによって、初めて実際に役に立つ特徴として把握できるのではないでしょうか。
私たちは日本語を母語とする日本人です。
したがって、他の国や他の言語から見た英語やアメリカ人を知ったところで、ほとんど役に立ちません。
私たち日本人から見た英語やアメリカ人を知った時に、初めて役に立つものとなるのではないでしょうか。
そのためにも、何回かにわたって日本語と英語の比較によって、それぞれの特徴を見てみたいと思います。
世界の言語の代表として英語を対象とすると思っていただいていいのではないでしょうか。
そこには、言語の周りにある知的活動や精神文化も視点となってくると思います。
言語は文化の具体的な象徴です。
日本語と英語を比較することによって、日本語の特徴をより鮮明にするとともに、日本語の感覚から見た英語との付き合い方も見えてくると思います。
まずは、話者数です。
日本語の母語話者数は、実質的には日本人だけですので、約12,500万人になります。
母語話者数としては、ロシア語に次いで第9位となっており、ドイツ語よりも多い数となっています。
対して、英語の母語話者数は、約51,000万人とされいて、母語話者数としては中国語に次いで第2位となっています。
言語の影響力を考えた場合には、公用語としている国を考慮しなければいけません。
英語を公用語としているのは、2014年現在で58の国と21の地域となっています。
英語を公用語としている国の大多数は、かつてのイギリス帝国の領地だったところが多くなっています。
また、日本語を公用語としている国や地域はほとんどありません。
唯一、パラオ共和国・アンガウル州の憲法では、現在も日本語を「公用語」として定めていますが、実際には使われていません。
日本のみでしか使われていない言語と言ってよいでしょう。
次に、国際機関における公用語を見てみましょう。
国際連合、国際オリンピック委員会、ヨーロッパ連合などの主要な国際機関においては、すべて英語が公用語となっており、英語に次いでいるのはフランス語となっています。
英語は、あらゆる機関において公用語となっています。
日本語が公用語となっている国際機関は見つかりませんでした。
国際機関は、意見を述べ議論をする場ですので、言語に対する理解は日常生活よりもさらに正確性が求められます。
そこで必要なのは、公用語によってきちんと説明できる表現力と、相手に理解をしてもらえる能力です。
それは、単なる会話力とは次元の違うものだと言えるでしょう。
英語を母語として持っている者は、自分の持っている言語でそのままの感覚で国際舞台で表現できます。
方や、日本語はどこに行っても日本の国内の日本人にしかわからない言語であり、国際舞台で通用する言語ではありません。
したがって、日本人同士で日本語でコミュニケーションをしているうちは何の問題もありませんが、ひとたび日本の外で活動するとなった時には、日本語では何もできないのです。
これが英語を母語とする者との一番大きな違いです。
母語を習得するときに、知的活動のために必要な機能が母語を使用するための機能になって発達していきます。
知的活動は母語によって行われるのが一番性能がいいのです。
一番深い思考や知的活動は母語でしかできないと言ってもいいと思います。
母語でしっかりと考えたことを、公用語で相手に分かるように表現しないと世界では通用しないのです。
自分の母語が公用語になっているメリットは計り知れないものがあります。
そのためにのみ、英語を身につける必要があるかもしれません。
これだけですと、日本語 vs 英語は英語の圧勝になってしまいます。
日本語には、英語にはない特徴もたくさんありますので、これから少しずつ見ていってみましょう。
英語は世界の公用語(共通語)だから、学ぶ必要があるのかもしれませんと言っています。
その意味では、アメリカ英語でもイギリス英語でもかまわないことになります。
敢えて身につけるとしたら、国連英語ではないでしょうか。
ただし、ひとたび母語として日本語を身につけた以上、日本語で思考活動を行なうことが一番いいのです。
日本語で知的活動を行なうために各器官が作られてきているからです。
紙と鉛筆一本で、ノーベル賞を取った日本人の能力は世界も認めているところです。
第一回戦は、英語の圧勝ですが、これら少しずつ挽回していきますよ。
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