リアルにお会いしても、私のブログをずっと読んでくださっている方などは、「意外と普通なんですね。」などと言われます。
何が普通であるのかよくわかりませんが、私自身は人と話をすることが苦手です。
今でも時々は出ますが、赤面症です。
「わかっていること」と「やれること」の大きな違いについては、今までも何回か触れてきています。
(参照:「わかっていること」と「やれること」の違い)
「わかっていること」と「やれること」は直接には結びつかない全く別の次元のものであることがわかっています。
私自身がお伝えしていることは、「わかっていること」が基本であって、その中で実際に「やれること」はごくわずかであると思います。
特にやり方とかノウハウ的なことは、サンプルとしてやって見せることは出来たとしても、決してそれをやり続けているわけではありません。
「知っていること」を「やっていること」と思い違いをしてしまうことは、良くあることです。
自分自身の中でも頻繁に起こることです。
特に何かをやろうとしたときに、「知っていること」が邪魔になることがよくあります。
関係する何かを「知っていること」によって、実際にはやってもいないのに結果を予測してしまうことです。
予測すること自体は、決して悪いことではありませんが、その予測によってあたかも実際にやって結果を得たような気になってしまうことが一番怖いのです。
交渉の場面においては、予測力がフル回転します。
特に事前に相手の出方を想定するときなどは、まさしく予測力や想像力までもが動員されます。
予測力や想像力の根拠は、今現在持っている知識すなわち「知っていること」です。
交渉相手の情報が少ないほど、予測力を働かせなければならなくなります。
結果としてはこれが無駄なことになることがとてもたくさんあります。
交渉は、まずは予測したストーリー通りになりません。
交渉力と言うと、説得力や相手を意のままに動かす力と勘違いすることがありますが、全く関係ないことです。
大切なことは交渉の目的を、できるだけ具体的に設定することです。
販売するための交渉であれば、どんな商品をいくらでどんな条件で販売するのかを設定しておくことが大切です。
こちらの交渉目的以上に大切なものがあります。
それは、交渉相手の交渉目的です。
これを忘れたり、確認しなかったりすることがたびたび起こります。
その結果、一方的な売り込みになってしまいうまく交渉にならないことが起こるのです。
お互いの交渉の目的が近いところにあれば、余分な話は必要ありません。
詳細の条件交渉だけでまとまることになるでしょう。
しかし、通常の交渉において一番確認しずらいことが、交渉相手の交渉目的です。
購入目的があると思って交渉した相手の目的が、新商品の機能についての比較情報収集であったなどということは、日常茶飯事ではないでしょうか。
更には、交渉目的の裏にある相手のニーズに、相手自信が気がついていない場合もあります。
特に購買部の担当者との交渉は、購入価格が相手の交渉目的になりがちですが、会社としてのニーズは違うところにあることが良くあります。
購買部の担当者自身がその商品の購入目的を理解していないのです。
交渉力の基本は、相手の交渉目的を直接具体的に確認することで決まります。
この時に、本音の交渉目的をつかめるかどうかは大きな要素です。
また、交渉目的を確認することによって、相手の持っている本当のニーズを確認することが可能になるのです。
このことを確認できないのに、、交渉のストーリーを描くことは出来ません。
類型化されたプレゼンテーションや説明資料が交渉には役に立たないのは、こんな理由からです。
類型化して、一般化して、抽象化してしまったニーズには誰も共感しないのです。
自分だけの個別のニーズに合致した、交渉だけを求めているのです。
仮に類型化した資料の一部のニーズが自分に当てはまったとしても、それ以外の不要な部分の多さが、焦点への集中を鈍らせてしまうのです。
交渉の目的は、毎回異なるのが当たり前のことです。
先回の目的と全く同じということはあり得ません。
交渉力は、相手の交渉の目的とすることと、こちらの目的とすることをしっかりと確認し合うことに他なりません。
双方の目的が同じことに対しての相反する結果を求めることであることはほとんどありません。
むしろすれ違っていることの方が多いのです。
交渉ごとのうまい人はそのことをよく知っています。
ですから、相手の目的もかなえて、自分の目的もかなえるという結果を手にすることができるのです。
何かを販売しに行くときに、こちらの目的はある条件での販売になります。
そのときによくやってしまっていることが、相手の目的をしっかりと確認していないことです。
その結果、その交渉おける相手の目的を、対象商品に対する販売の条件にしてしまうのです。
相手の本来の目的は、そんなところにありませんので、こちらの目的以下のどんどん厳しい条件を突き付けてくることになります。
大失敗の交渉です。
勝手に相手の交渉目的を、こちらの目的に敵対するところに設定してしまったのです。
実際には、とてもよくある話です。
最初に交渉の目的を確認することは、もしかすると勇気がいることかもしれません。
しかし、交渉を行うのはその目的をかなえるためにやっているので、それ以外の何物でもありません。
また、交渉目的は、初期段階でしか確認することができません。
交渉の途中で目的を確認しようとでもしたら、それこそ大恥をかくことになるでしょう。
交渉や打合せのたびに、今回の目的をきちんと確認する習慣をつけておきたいですね。
有限の時間のなかで、きちんと結果を出していくためには絶対必要なことです。
このことは、「知っている」人はほとんどなのですが、「やっている」人はほとんど見られないことの典型だと思います。
自分では気がつきにくいだけに、常に気をつけていたいですね。
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