2014年9月9日火曜日

個性とは?

個性という言葉に、どこか尊敬に値する響きを感じるのは私だけでしょうか?

個性という言葉に付帯する表現方法にもよるのかもしれません。

「個性が強い」と言うと、どちらかと言うと否定的な意味合いが強く出ている感覚にとらわれて、「やりすぎ」や「あくが強い」というようなニュアンスになります。

「個性がある」という言い方になると、肯定的な感覚が強くなって、いい意味で人と違っていたり秀でていたりするニュアンスになります。


人と違っていることは当たり前であり、その当たり前のことをとらえてわざわざ個性とは言わないと思います。

個性という言葉自体がとても抽象的な言葉ですので、人によっていろいろな解釈や意味付けがなされているのではないでしょうか。


文章のなかでの使い方によって、同じ個性という言葉であっても持たせている意味が異なっているようです。

私の持っている感覚から意味づけをすると、「個性が強い」の個性は道を外れたという感じがあります。

身につけておくべき当たり前のことをないがしろにしているような感覚があります。

「個性がある」の個性は、当たり前のことを乗り越えた上にある、凡人の域を超えた独自性という感覚があります。

定石の習得を完了した先にある、その人ならではのものと言ったところでしょうか。


四代目の市川猿之助が、亀次郎から猿之助を受けた後に、さらに歌舞伎のことがわからなくなったと言っていたことを思い出しました。

彼にとっての個性とは、歌舞伎において真似をし切った後に自然と生まれてくるものだそうです。

この話を聞いた時に思わず、亡くなった中村勘三郎がしていた「型破り」と「形無し」の話を思い出しました。
(参照:「型破り」と「形無し」


伝統芸能の世界では、あらゆるところに「型」が存在しています。

すべてがこの「型」を学び身につけるところから始まります。

「型」が身についたかどうかは、自分ではわかりません。

自分よりもレベルの高い人たちにしか評価できないことです。


師がいるうちは指導を受けることもできますが、やがては自分で「型」を追い続け磨いていかなければならなくなります。

万人が見て、「型」が身についていると思える人が、敢えて新しい試みをすることが「型破り」であり、そこには確かなものに裏付けされた安定感と安心感があります。

「型」が身についていない人が、「型」と違ったことをするのが「形無し」であり、そこには奇をてらった醜さがあります。

「型破り」とは限られた人にのみ許されたことであり、評価ではないでしょうか。


猿之助の歩む道は、いわゆるスーパー歌舞伎です。

古典芸能としての歌舞伎と現代劇との融合です。

聞こえはいいですが、一歩間違えたら、鳥でも獣でもないコウモリとして居場所のないものになってしまう恐ろしさが常に付きまといます。

特に歌舞伎から見たら「形無し」とみられる可能性を常に持っているところです。

それが「型破り」であると評価されるためには、基本にあるのは古典芸能としての歌舞伎である以上、誰よりも歌舞伎役者でなければなりません。


猿之助の覚悟の言葉がありました。

自分でできることを、敢えて真似て学ぶことができるかどうか。

そして、この真似に対して絶対に納得しない勇気を持ち続けることできるかどうか。

そこからしか何かが生まれることがないと言い切っています。


ここで言う納得とは、私たちの言葉で言うと妥協と言うことになるのではないでしょうか。

さらに猿之助は言います。

「自分の演技に自信はないが、歌舞伎という芸術・芸能には絶対の自信がある。」

自分の歩んでいる道に対してのゆるぎない自信と誇りがあるからこそ、ただひたすらにその道を歩み続けていくことができると言うことではないでしょうか。


歩んでいることだけで自信と誇りを持つことができる道を歩んでいることが、何物にも代えがたいモチベーションになっているということではないでしょうか。

だからこそ、ひたすら歩み続けることができるのですね。

途中で納得して歩みを止めてしまうことがないのですね。


自分が歩んでいる道に絶対の自信を持つことができれば、その道を歩むことにブレや不安が生じることはありません。

ただひたすらに歩むことに専念できるはずです。

やがていつの日か、その道の上で自分の個性を見ることができるかもしれません。


どんな道を歩むかは、すべてが自分の意志で決められることです。

あれこれいろんな道を少しずつかじっては、途中で妥協することばかりであった自分に、新しい指針が見えた気がしました。

伝統芸能の大名跡を継ぐ覚悟と言うものは、生半可なものではないようですね。

限られた人間にしかできないことですが、そこから学ぶことも多いですね。


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