問題解決力がその筆頭に挙げられていますが、具体的な能力のひとつとして国語力としての「行間を読む力」があげられています。
つまりは、企業の現場において新入社員たちは「行間が読めない」と感じられていることから出ていることだと思われます。
「行間を読む力」を定義することはとても難しいことです。
ただし「行間が読めない」と言っている状況は、簡単に理解することができます。
情報の送り手である年上の上司からの、言葉が通じないことや言っている内容が通じないことに対して、理解力がないと感じている状況を示すものに他なりません。
自分の言っていることがわからないのは、相手の理解力がないからだと決めつけているのです。
何と恥知らずの行為でしょう。
行間など読まないですむ明晰な文章や言葉で伝えることが求められている今にあって、学生たちに「行間を読む力」を求めるのは見当違いであると言えます。
「行間が読めない」とは、主として送り手の論理の省略を、受け手が補うことが出来ない状態のことだと考えられます。
その原因としては、受け手が受取った情報をもとにして行う、論理的な理解力や推論する能力に欠けていることがあげられます。
そして、さらにそれ以前に、求められる基本知識に欠けていることも考えられます。
受け手に求められる基本知識には、一般常識や社会通念はもとより、送り手の持つ大前提などが含まれることになります。
つまりは、空気を読み腹芸や根回しによる日本だけでしか通用しない商慣習のなかで生きることしかできない能力を身につけろと言っているのです。
対等の関係にあるパートナーとしての行動になじみがない日本の商慣習は、上下(主従)の関係を明確にすることによって成り立っているものです。
主の側は多くを語らず、従はあらゆるホスピタリティによって主の求める条件を探り出して対応するものです。
環境によって、主としても従としても振る舞うことを要求され、相手との主従の関係を早くに見つけることが大切になります。
世界の主要な言語は、ドイツ語や英語を筆頭として言語で表現したことのみを正確な情報として受け取ります。
言語になっていない情報は、漏れているとわかっていても、考慮に入れないことになります。
つまりは言語として表現されていることがすべてであり、行間を読む必要がありません。
これが世界の標準です。
その代り、表現した方が漏らした情報によって仮に不利になろうとも、表現されていない以上そのことについて検討されることはありません。
日本人同士の場合は、契約書に書かれていない事柄でも、あるいは契約書の内容に反してでも実際の行動においては再検討や修正されることがたくさんあります。
主従の関係においては、暗黙の裡にすべての内容について主が決定権を持ちます。
従は起きたことや内容についてお伺いを立てることしかできず、主の判断を待たなければなりません。
したがって、より多くの場合を想定したり、内容を確認することは従の役割となり、それを怠ることは自らの首を絞めることにつながります。
この関係は、企業対企業であっても、役所対企業であっても、個人であっても同様に存在し続けているのです。
行間を読むのは、常に従の側であり、主の側は明確な規定をすることで自らの首を絞めることを避けようとするのです。
文学や芸術の世界では、行間を読むことは新たな世界を広げてくれることになります。
個人的なものですので、どこまでも行間が広がっていっても何の問題もありません。
行間を読むための前提など存在しなくていいのです。
ビジネスにおいては全く異なったことになってしまいます。
行間を読んではいけないのです。
共通の行間の読み方をさせたいのあれば、言語で表現しなければいけないのです。
そうすれば行間ではなくなるのです。
主の側は、あいまいなことを表現して、従の側が行間を読んでくれれば、仮に法に触れるようなことがあったとしても、主の側は責任を回避することができます。
主の側は、いつでも責任を回避できるように「行間を読め」と言って、明確な特定できる表現を避けようとします。
そして、思い通りの理解を得られない場合は「行間が読めない」といって否定をするだけで、自らの責任を果たしていないのです。
行間を読む立場にいる日本人は、世界的に通用するビジネスマンですが、行間を読ませる立場にいる日本人は、世界において日本の恥をまき散らしていると言えます。
行間を読ませなくても済む、論理と言語による明晰な表現をできることこそ、経団連が求めるべき能力ではないのでしょうか。
回答をしてる側が、行間を読むことによって成り立ってきた以上、次代にもそれを望むのは仕方のないことなのでしょうか。
行間を読ませなければいけないことを、恥と思える環境が早く来てほしいものと思います。
文化芸術について、思い切り行間を読んで楽しめる能力を磨きながら・・・
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