「私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する」-ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン(1889-1951 オーストリア生まれ、ケンブリッジ大学の哲学者)
私の大好きな言葉です。
どのように解釈するのかは、それこそ個人の持っている言語にゆだねることになると思います。
私はこの言葉に二つの意味を重ね合わせます。
一つ目目は、自分の知らない新しい言語をどんどん取り込みなさいという意味です。
自分の知らない世界を知るということになるのではないでしょうか。
何事に対しても好奇心を持って、今まで持っていた言語(知識)に頼ることなく飛び込んでみるという解釈をしています。
もう一つは、飛び込んだ先からもう一度自分の限界を見直してみるということです。
新しい言葉を知ることによって、自分の世界の限界がどう変わっているのかを確認することです。
言語は文化そのものです。
文化は人によって造られ、人によって継承されていくものです。
継承されていく過程で変わっていくものもあれば、そのまま継承されていくものもあります。
言語が違えば文化が違います。
同じ言語を使っていても、一人ひとりの持っている言語は異なります。
つまりは、文化は一人ひとり異なるものとなっているはずです。
自分の持っている言語が固定化されてしまった時に、人としての文化が止まってしまうことになります。
固定化された言語からは、固定化された行動しか生まれません。
変化は起こらないことになります。
成長は変化することからしか生まれません。
たとえ目先の変化がマイナス方向への変化だと思っても、とにかく変化することが大切です。
マイナスだと思えた変化も、観点や軸を変えたら見え方が変わってくるのです。
新しい言語と触れ合うことはもちろんのこと、今まで持っていた言語に違った解釈を与えたり違った表記を与えることは、それ自体が言語の大きな変化です。
人の知的活動のすべては言語によってなされています。
変化がなくなれば知的活動をする必要がなくなってしまうのです。
知的活動ができなくなった人は、人である意味がありません。
だから人は常に新しい言語を取り込むようにできていると思われます。
一種の本能と言ってもいいのではないでしょうか。
言語としてのカテゴリーでは日本語と呼ばれるものであっても、あなたの日本語と私の日本語は異なったものです。
日本語を使っている人は、すべての人が異なった日本語を使っているということができます。
文化の進んだ国では、義務教育として生きていくために必要な最低限の知識とルールを、共通語である国語を使って身につけていきます。
しかし、社会生活の経験が長くなってくると、持っている三つの言語(母語、国語、生活語)の境目がわからなくなってきます。
これはどんな言語を持っている人についても同じことです。
言語と文化は、個人に属しているものです。
ある言語を持っている国の一般的な文化を知るためには、その言語の共通語である国語を学ばなければなりません。
その国の義務教育で教えられている国語を学ばなければならないのです。
社会生活が長くなるほど、個人の持っている言語(生活語)の異なりは大きくなっていきます。
同じカテゴリーの言語を持っている人同士でも、持っている言語の差は大きくなっていくのです。
小さな世界で言えば、親兄弟であっても持っている言語が異なりますので、世界が異なることになります。
言語としてのカテゴリーが異なればなおさらその違いが大きくなるでしょう。
この違いを受け入れ取り込んでいくことによって、相手との共通の世界や文化の領域が広がっていくのです。
新しい言語や見知らぬ言語の受け入れを拒否することは、自らの世界を限定するとともに変化を拒否することとなります。
つまりは、成長とは常に新しい言語を取り込んでいくことに他ならないのです。
新しい言語を取り込んでいくことによって変化が生まれます。
その変化に対応することによって初めて成長が起こるのです。
文化は言語によってしか継承されないのです。
絵画、遺跡、芸術など様々な文化的なアウトプットがありますが、それらを理解するのはすべて言語によってでしかできません。
アウトプットの形はいろいろなものがあります。
非言語的なアウトプットもたくさん存在します。
しかし、そのアウトプットを理解するのは言語によってしかできないのです。
何気なく使っている言語ですが、、そのチカラはどれだけのものがあるのかしっかりと考えておきたいですね。
世界には約8,000の言語があると言われています。
そのうち文字を持っている言語は、20%程度だと言われています。
世界の10大言語の中に日本語が含まれています。
言語の世界での孤児と言われ、他の言語との共通点がきわめて少ない日本語の特徴を知ることが、世界の中での日本を再認識するいいきっかけになるのではないでしょうか。
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