内容としては、「本契約に定めのない事項については、誠意を持って協議し決するものとする。」的な項目ですね。
英文の契約書では、争いの対象となりそうなことまで規定していますので、基本的には上記のような項目はありません。
文字・文章として書かれていることがすべてであり、それ以外のことは契約の対象になっていないと言う解釈です。
むかし、アメリカの裁判での判決の例で本当にあったものとして、日本との文化の違いを如実に表すものがありました。
ご存知の方も多いと思いますが、猫を電子レンジに入れて乾かそうとしたら死んでしまったと言う事件です。
日本では訴訟にもならないと思われることですが、メーカーの取扱説明書に猫を入れてはいけないということが書いてなかったために、メーカーが敗訴したといった内容だったと思います。
伝達すべき内容はすべて言葉として提示されることを前提として成り立っているのがアメリカの文化です。
契約書の厚さは見られたことがあるのではないでしょうか。
想定されるあらゆることが規定されていると言っても過言ではないと思いますが、それでも想定外のことが起こることもあります。
更に契約書が厚くなっていくことになります。
そして、契約書の内容は厳格に当事者を縛ります。
日本の場合は、双方が合意した契約書であっても、場合によってはその場の判断で内容が柔軟に変更されることがあります。
更には、定めなき事項については別途協議となっています。
自動継続の契約内容でも、長い間には契約内容そのものが変わってしまっているものがたくさんあります。
また、扱いとしては契約書であるにもかかわらず、覚書などというものまで存在しています。
もともと、「阿吽の呼吸」や「空気を読む」、「行間を読む」文化の日本において、文書ですべてを伝えきることは不可能です。
書かれていなくとも、書いてあることのための前提条件や必然の状況は、共通認識として持っていることが前提となっているのです。
それが、海外企業や業界が全く違う相手との契約となるとその前提まで規定しておかなければならなくなります。
どこまで規定すればいいのかは、契約の専門家でも業界によってわからないくらいのものとなっています。
生活がどんどん多様化して、海外の生活そのものまでが取り入れられるようになると、世界としてのスタンダードは日本の感覚から大きく離れていることに気が付きます。
アメリカの言っているグローバル化とは、アメリカのスタンダードの押し付けでしかありません。
既に言語においては公用語としての英語として、ほぼその目的を達しつつあります。
郵便や海図と言ったフランス語がスタンダードだった分野が縮小していく中で、航空というこれからも大きな役割を担っていく分野では英語が国際標準語となりました。
ロシアが加盟したことによって、ロシア語で行っていた航空運行が英語になったとたんに事故が頻発したのは記憶に新しいところです。
池上彰さんよく使うことですっかり有名になってしまった、「いい質問ですね。」はもともと英語では頻繁に使われていた「good question」そのものです。
言葉ですべてを伝えなければいけない彼らは、伝えきれないことを指摘してくれることを本心から感謝しているのです。
自分の言葉では足りなかったことを補うための機会を与えてくれたと感じているようです。
日本では、前提となっている当たり前のことを改めて説明することに抵抗があります。
そんなわかりきったことを敢えて説明するなんて、馬鹿にしているのかという感覚があります。
反対に、説明する方としても、失礼にあたるのではないかという感覚もあります。
多少なりともビジネスで英語を使うことがある人は味わったことがあると思います。
こいつらは、こんなわかりきったことをくどくど説明して馬鹿にしてるのかという感覚です。
彼らはわかりきったことを共有することから論理がスタートするのです。
それから自分の意見を述べて、その根拠を示すのです。
そして自分の意見の正当性を論理立てて証明しようとするのです。
彼らが見つけ出したメソッドは、そのまま日本語に訳して導入すると、論理はとてもわかりやすく理解がしやすくなっています。
しかし、運用の段階になると、日本人にとっては回りくどくて理屈っぽくなってきます。
その中で、論理に合った枠にはめようとすることが明らかなのです。
マネジメントやコーチングなど彼らが編み出したものは、すべてがそうなっています。
だから最後の運用のところで日本人に合わなくなるのです。
日本人は論理では動かないのです。
理解はしても行動には移らないのです。
彼らの使う「I think」は自分の意見です。
日本人の使う「思う」は、たぶん~だろうです。
言葉からもいろいろな違いが見えてきますね。
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