事前のプロモーションが大当たりの要因だと思われます。
特に、お子さんのいる家庭ではいち早くDVDを購入し、鑑賞会が毎日のように行われているようです。
youtubeに以下のような動画がありました。
25か国語の「Let it Go」を集めたものです。
日本語バージョンは本編で、松たか子さんが唄ったものが採用されています。
まるで、一人の人が言語を変えて歌っているかのように聞こえます。
実は、日本語が選ばれているところが、例の一番初めのサビの始まりの「ありの ままの・・・」なんですね。
この曲のキモのフレーズではないでしょうか。
誰がこのような編集をしたのかはわかりませんが、既に3,300万回を超える再生回数となっています。
コメントをいくつか拾い読みしてみたのですが、自分の国の言葉が入っていないと怒っている者や、自分の国の言葉が一番いいと言っている者がいるのは当たり前でしょう。
実は、国を問わずに日本語のパートに対する評価がすこぶるいいのです。
中には、日本語の松たか子さんのバージョンのリンクを張り付けて紹介してくれているアメリカ人もいるくらいです。
曲の全体のなかで、日本語の選ばれたパートはとても印象的なパートであることは確かです。
作った人の意図もあるのではないでしょうか。
たしかに、「ありの ままの・・・」(1:12~1:20)はわずか8秒足らずのパートですが、曲の変化と相まってその瞬間からガラッと雰囲気が変わった感じがするのは私だけではないと思います。
これを見た、聞いた多くの人が、理屈抜きに自分の好きなパートはここだと書き込んでいます。
松たか子さんの声が、とても響く可愛いい声として評価されていることもあると思います。
歌のうまさで言ったら、もっとうまい人がたくさん登場していますね。
あのパートに日本語を持ってきたこと自体が、編集者も何かしらの思いがあったのではないかと感じられます。
日本語が外人にとってはどのように聞こえるのかについては、いろいろな報告がされていますが、定説はないようです。
当たり前だろうなと思います。
もともと持っている母語によって、日本語に対する捉え方も変わってきますので、一概に外国人にどう聞こえるのかと言っても統計の取りようもないわけです。
母語で言語感覚を養ってきて、その感覚を当たり前の物だと思っている人にとって、他の言語がどのように聞こえるのかは持っている母語によってみんな異なってきます。
ましてや、母語は伝承言語で極めて個人的な要素の強い言語ですので、厳密に言えば一人ひとりその言語感覚は異なっているということができます。
つまり、日本語がどのように聞こえているかと言うことは、一人ひとり聞こえ方が異なっているということができるのです。
きき方としては、二通りのきき方があります。
外人のほとんどは、日本語そのものが理解できませんので、言語として日本語を聞くのではなく、音楽としての日本語を聞くことになります。
この時は、言語中枢としての脳の中の言語野はほとんど活動していません。
一般的には、言語野は左脳にありますので、音楽については右脳で聞いていることになります。
(参照:脳の機能から見た日本語)
日本語を理解できて、その意味を聞き分けようとするときに初めて左脳が活動します。
したがって、ほとんどの外国人は日本語が理解できませんので、言語としてではなく音楽の楽器の一つとして日本語を聞いていることになります。
日本人が、海外音楽の全く理解できない言語の歌詞を聞いているのと同じことが起きているわけです。
それでも日本人と一部のポリネシア語を話す民族は、音楽や自然の音の中に言葉を聞くことができているようです。
意味が分からなくとも、意味が分からない言語の歌詞を、自分の持っている言葉で聞き、表現することができるようです。
この時には左脳が活動していることがわかっています。
音楽やリズムを言葉で表現することを、私たちは当たり前のようにやっていますが、彼らには考えられないことなんですね。
日本語とポリネシア語の共通点は、両方ともにほぼ完全母音言語に近い言語であることがあります。
母音は自然音から成り立っている、人が自然に発生しやすい音です。
更に、日本語の基本母音の5音はとなり合う母音同士がほぼ等間隔で響きの違いを持っているために、とても美しく耳に響くようです。
「ありの ままの・・・」に続く歌詞は「すがた みせるのよ」までが使われています。
見ていただければ分かるように、漢字の音読みが一つもありません。
すべてひらがなの読みだけでできています。
「やまとことば」と同じ響きを持っている言葉になります。
歌詞は、文字で補うことがしにくいものです。
音だけで聞かせたいのが、作る方の意図です。
しっかりと話し言葉として伝えるためには、素直に受け取ることができる言葉を使います。
自然と、ひらがな言葉が多くなっていくものです。
「Let it Go」のすべての歌詞を見ているわけではありませんが、音読み漢字も使われているのではないでしょうか。
この曲の一番象徴的なパートに日本語が使われ、そこにはひらがな言葉だけによる「やまとことば」の響きが伝わっていることになります。
また、世界の国を越えた人たちが、そこに何かを感じてくれています。
日本語の言葉としてのチカラは、まだまだ見えないものがたくさんありそうですね。
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