話し言葉においては音だけの語感しか伝わりませんが、文章による語感は黙読をされることによって音からも伝わるものがあります。
音による語感の代表的なものは、音韻であったり七五調などのリズムであったりします。
音による語感は、ほとんが意識して作らなければならない意図的なもとなっています。
また、文章による語感である文字の種類や一文の長さなども、意図的に作る場合もありますが、ほとんどの場合は無意識のうちに自分の感覚で語感が出来上がっています。
語感は、経験によって形成されるものであり、決して固定的なものではありません。
さまざまな語感に触れていく中で、素直に受け入れられる好きな語感や意味の掴みにくい嫌いな語感が出来上がっていきます。
また、伝えたい内容によっても理解しやすい語感と理解しにくい語感が出てきます。
個人によっても好きな語感は異なってきます。
お気に入りの作家というのは、内容よりもその人の文章の語感が好みである場合が多いようです。
好みの語感で書かれた文章は、受け入れやすく内容も理解しやすいことになります。
反対に、理解しやすい語感だから好きになっていることもあります。
読む人により理解を求める場合には、扱っている内容や対象読者によって語感を調整しなければなりません。
そのためには、書き上げたものの推敲が必要になります。
誤字や脱字を正すことだけではなく、伝えたい内容と相手にふさわしい語感に整えていくことが推敲することになります。
下書き段階では、自分の書きたいことの思いだけでつづられている文章となります。
書きなれている人や文章のセンスのある人であれば、そのまま読んでもらっても問題ないかもしれませんが、ほとんどの場合は下書きは下書きであり調整が必要になります。
あるレベルになれば、相手の理解を高めることよりも、自分のオリジナルな語感を世に訴えることがあります。
新しい言葉の使い方や言い回し、わざと技術的に普段とは変えて表現した語順などがそれにあたるでしょうか。
これは作家レベルの語感技術ということができます。
私たちが何かを書くときは、ほとんどの場合が相手に理解してもらうことが目的です。
そのためには、相手に受け入れてもらいやすい語感で書く必要があります。
その時のポイントは伝える相手と伝えたい内容において、世間に受け入れられている同様の物はどんな語感ののものであるかを考える必要があります。
相手の好きそうな語感に仕上げたとしても、それが伝えたい内容に合っていなければかえって理解しにくいものとなるかもしれません。
たとえば、何かの学術論文から引用した文章を小学校の子どもたちに説明しようとすると、論文の引用文章自体で拒否されることがあります。
その場合は、論文の必要なところを子どもたちのわかりやすい、もっと言えば興味の持てるような語感で伝えてる必要が出てくるのです。
いくら文章を書いても、語感を意識して書かなければ、表現力はいつまでたっても磨かれません。
いくらアウトプットをしても、相手を動かすようなアウトプットにはならないのです。
より多くの語感に触れるために、様々な書物に触れることはとても大切なことです。
一番いけないことは、同じジャンルの同じ作家のものばかり読むことです。
単なる自分の娯楽としてならば構いませんが、そんな余裕のある人がどれだけいるのかわかりません。
より多くの人の書いたより広いジャンルのものに触れることが大切になります。
理解してほしい相手が理解してほしい内容に対して、どのような語感が適切かどうかはわかりません。
個人的な嗜好にも左右されるかもしれません。
しかし、文章に触れていない人はいないのです。
触れてみて初めて、わかりやすいかどうかがわかるのです。
読み初めてすぐに拒否されては何もなりません。
語感を調整しているときには相手の反応がわかりません。
想像で調整するしかありません。
その時に役に立つのが、借りてきた語感です。
伝えたい相手を対象とした、おなじような内容のものはどんな語感で書かれているのかが参考になるのです。
そのために広い範囲での読書が役にたつのです。
想像で語感を整えると、ほとんどの場合失敗します。
特に書き出しのところです。
常に相手を意識して、内容によっては語感を変えて、より理解してもらいやすいものに仕上げていかなければいけませんね。
ネットの時代は文章が氾濫する時代です。
アイキャッチ的なキラーメッセージがいたるところに出てきます。
ほとんどが個人を対象としたものです。
その割には、訴えてくるものが少ないと思いませんか。
文章による相手と内容に合わせた表現力こそ、ネットの時代の最大の武器ではないでしょうか。
これは感覚でありセンスです。
しかし、相手と内容の組み合わせで考えれば参考になるものもたくさんあります。
ズバリはまるものがあれば、TTP(徹底的にパくる)が一番いい方法です。
少なくとも自分で何かを書く場合には、誰に何をつたたいのかを明確にして、そための語感を探るようにしたいですね。
その積み重ねが、表現のセンスを磨いてくれるはずです。
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