2014年6月20日金曜日

幼児期言語と母親のかかわり

幼児期に習得する言語である「母語」が生涯の言語習得・言語活動における基礎になっていることは何回か触れてきました。

今回は幼児言語の習得における母親の役割ついてみてみたいと思います。


幼児期における言語の習得は、個人差もありますがおよそ以下の4段階に区別できるようです。

0~18ヶ月(1.5歳)
19~36ヶ月(3歳)
37~54ヶ月(4.5歳)
46~72ヶ月(6歳)


0~18ヶ月(0歳~1.5歳)

このころはほとんど言葉を話せない時期です。

早い子供ですと幾つか言葉を話し出す子もいますが、言葉の噴火(爆発)と言われる一斉にいくつかの言葉を話し出すタイミングの前になります。

お母さんのそばから離れられない授乳期でもあります。

この時期にしっかりした授乳ができていないと、今度は離乳が難しくなってしまい、指しゃぶりなどがずっと残ってしまうことになるようです。


言語的には、母親の一方的な呼びかけや囁きが大切な時期です。前言語期などと呼ばれる時期となっています。

子どもは自分では言葉を発することができなくとも、母親の言葉と感触によって、その感覚を感じ取っています。

音声として発することができるようになってくるのは、6~10ヶ月ころです。

1歳を過ぎたころになると、はっきりとした言葉を発することはできなくとも理解している言葉はたくさん持っていると言われています。

四六時中そばにいる母親が触れながら語りかけていることが、その後の言語習得に好影響があるとされています。

無理に赤ちゃん言葉を話す必要はなく、自分の言葉で語りかけてあげてださい。


また、1歳半の検診時には指差しができるかどうかを確認します。

使える言葉も少なく(15~20語程度)、言葉だけでははっきりした欲求表現ができない時期ですので、指差しが大きな表現手段になります。

はっきりした言葉にならない言葉を発しながら指差しをしますので、それに対して反応して答えてあげることがより言葉の習得を助けることになります。


19~36ヶ月(1.5歳~3歳)

2歳前に言葉の噴火(爆発)と言われる現象が起きて、一気にたくさんの言葉(200語程度)を発するようになります。

それまでも理解している言葉はたくさんありますが、言葉の発し方がうまくできなかったのです。

しっかりとした発音にはなっていませんが、一言ずつの言葉として理解できる言葉を発せられるようになります。


歩くこともできるようになっており、伝い歩きから、手つなぎ歩き、一人歩きへと肉体的にも目に見えて発達していく時期です。

言葉についても、噴火以降はあっという間に話せる言葉が増えていきます。

2歳頃には二語文である「マンマ、ほしい」「パパ、あっち」などが使えるようになってきます。

動作と同時に「ちょうだい」が得意になってくるのがこのころです。


このころには一気に、脳を始めとした各器官の発達が進んでいって機能が形成されていく時期です。

声帯の発達や聴覚の発達は、聞いたり話している言葉である「母語」を使用するのに最適な機能が発達していきます。

各機能を統括する脳も幼児期言語としての「母語」を使用するのに最適な機能が発達していくことになります。


2歳半を過ぎるころには400語程度は話せるようになります。

一生懸命に話そうとしますので、しっかり反応して答えてあげることです。

話しができる相手は、自分の活動エリアに入ってきた人だけになります。

祖父母や兄弟とも話ができるようになります。

それでも、言葉を身につける基本は母親との会話であり、母親が使っている言葉が中心です。


自分の名前を呼ばれたときに返事ができるようになります

また、3歳近くになると自分の名前が言えるようになります。

だんだんと動詞が使えるようになってきます。


幼児期に習得する言語が伝承言語であるとされるところは、母親の言語が子どもに伝えられるからです。

この時期は新しく使えるようになる言葉のほとんどが、母親から受け継いだものです。

他の人から得た言葉であっても、ほとんどの場合は母親との確認の行為が行われています。

そこで母親と確認された言葉を自分の言葉として使えるようになっていきます。

積極的に自分から話しかけるようになってきます。


37~54ヶ月(3歳~4.5歳)

使える言葉が800語程度にまでなってきて、三語文が使えるようになってきます。

集団の中で自分の名前を呼ばれたときに返事ができるようになってきて、名前と自分がつながってきます。

単語の羅列だった文に、助詞の「が」「の」「と」などが加わり始めます。

始めのうちは、助詞についてのおかしな使い方が多いので、言葉がおかしくなったと感じることもあるようです。


活動範囲が広がり、母親と一緒にいない時間が増えてきます。

母親がいないときにあったことを、一生懸命に母親に話して共有しようとします。


この時期に基本的な言葉はほとんど習得できています。

そして、その言葉(母語)言語を使うための各器官の基本機能の決まってきている時期になります。

「どうして」「なんで」をたくさん繰り返すようになります。

原因や理由を探しているわけではありません。

記憶は数日間の保持ができるようになっていますが、思考することはほとんどできない状況です。

「どうして」「なんで」を使うといっぱい話してくれたり、褒めてくれたりすることがうれしくて使っているんですね。


母親を離れての行動が増えて来ますが、必ず母親との確認行動が行われます。

その時にしっかりと会話をして聞いてあげることが大切になります。

新しい言葉をたくさん覚えてきますが、母親との確認行動に基づいて身につけている言葉がほとんどです。


この時期の終わりごろか5歳頃に大きな現象が起こります。

注意してみていないとわからないのですが、幼児期健忘と言って数週間のうちにそれ以前の幼児期の記憶がリセットされる現象です。

この時期には記憶したものが保持される期間は、数日間と言われていますがそれでも幼児期の記憶があります。

その記憶がリセットされます。


数週間という時間をかけてリセットされていきますので、新しい記憶に置き換えられていることすらが傍から見ているとほとんどわかりません。

言葉については、毎日のように使っている言葉が新しい記憶として残っていき、赤ちゃん言葉については記憶から消えていきます。

幼児期言語の初期の言葉のほとんどを記憶から失います。


しかし、幼児期言語を使うために機能が発達した各器官や脳においては、その言語を使うための言語感覚として刻みこまれています。

新しく記憶されていく言葉とともに、母親から伝承された言葉によるきわめて個性的な言語として身についていくことになります。


46~72ヶ月(4.5歳~6歳)

この時期は身についた「母語」としての言語を磨いていく時期となります。

思考する活動はほとんどできませんが、その場での会話においては大人とでもきちんとできるようになります。

母親から伝承された言語で成り立っている自分の「母語」をできる限りいろいろな環境で使ってみることが大切になります。


活動範囲も広がっていきますが、一方では幼稚園と家庭の往復という決まりきった活動にもなってきます。

この時期に、様々な経験をしていろいろな人と会話をすることが、「母語」の強化とともに、のちの言語習得に於いてもとても大切になってきます。


買い物にも一緒に行きながら、お店の人や近所の人との会話をすることがとても大切です。

旅行やお出かけを一緒にしながら、見知らぬ人やお年寄りなどと会話することがとてもいい経験であり、言語の強化になります。

色々な環境で、さまざまな人と会話をすることが、基礎言語の強化になって、その後の言語習得や言語技術のための大きな力となります。


家に一緒にいる時は、絵本の読み聞かせが大きな効果を発揮します。

小学校に行くようになると学習言語としての「国語」を習得しなければいけませんが、その基礎中の基礎である「ひらがな」は読み書きを入れても合計で24時間程度しか学校での学習時間がありません。

この時期にしっかりと「ひらがな」を身につけておくことは、大きなメリットになると思われます。


小学校の一年生から「さんすう」があります。

「さんすう」の教科書の文章は、日常の言葉や文章とかなり異なっています。

特に「国語」の習得が進んでいない小学校の低学年の教科書は、進んでいない「国語」に合わせて他の教科書の文章が書かれていますので、大人が読んでもわかりにくくなっていたりします。

絵本を通じて、いろいろな表現に触れておくことは学習言語の習得において、さらには学習言語によるいろいろな教科の知識習得においてとても大切なこととなってきます。


この時期は基本的な幼児期言語の習得が完成しており、その言語によってさまざまな場面での言語体験を必要としている時期になります。

ここでの言語体験の豊富さが、学習言語による知識の習得に影響して、ひいては良く言われる頭の良さにつながるものとなります。

特に、普段の家庭や幼稚園と異なる環境における、普段と異なる年齢の人たちとの会話は言語強化のための最高の経験となります。

絵本による、いろいろな表現との触れ合いと一緒に覚えておきたいことですね。


小学校入学までの子どものとのかかわりの中心は母親です。

そこまでの子どもの言語は、母親から伝承されるものです。

その伝承された言語を元に、子どもは育っていきます。

しっかりした日本語を使えていきたいですね。




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