2014年6月13日金曜日

梅雨でなんで「つゆ」と読むのだろう?

梅雨と書いてどうして「つゆ」と読むのか気になったので少し調べてみました。

そもそも「つゆ」という言葉が「やまとことば」として存在していたのかどうかもよくわかりません。

「やまとことば」は漢語の入ってくる前から話し言葉として存在していたと思われる「古代やまとことば」と、漢語導入後の新しい文化のなかで生まれてきた「やまとことば」がありますが、その区別は明確ではありません。

名詞としての「やまとことば」は新しい文化に触れるたびに増えてきたと思われますが、基本的な動作を表す動詞は単純な動きを表すものほど古くからあった言葉だと思われます。


そのような観点から「つゆ」を眺めてみると、なんとなく見えてくる言葉があります。

現代の「潰す(つぶす)」のもとになった言葉の「ついゆ」(潰ゆ)です。

水分を含んでつぶれてぐしゃぐしゃになった状態を表す言葉です。

「露」の語源となった言葉です。


梅雨と書いて「つゆ」と言い出したのは江戸時代以降になってからのようですが、梅雨という言葉自体は平安時代の漢詩集の中にも登場します。

一般にはそれほど広まっていた言葉ではなかったようです。

中国からは「ばいう」として伝わったと言われています。


中国では、梅の実が熟してつぶれる時期に降る長雨のことを指していたようです。

この時期の長雨の現象は東アジアの広範囲においてみられる独特の気象現象となっています。

「つゆ」と言われるようになったのは「露」との関連が強いと思われますが、そのもとには「ついゆ」があったと思われます。

定説がなく、複数の説が取り上げられることが多いですが、決定打がないことも確かですね。


歳時記によれば夏を表す季語として梅雨が挙げられており、六月(旧暦の五月)を示すものとして、「此の月、淫雨ふる、これを梅雨(つゆ)と名づく」となっています。

季節を表す言葉は、中国から伝わったものが多く、旧暦(太陰太陽暦)に沿って表現されています。

日本においては、明治5年12月3日をもって新暦(グレゴリオ暦)の明治6年1月1日とすることになったため、それ以前に使われていた季節の言葉は、現実の季節感と1ヶ月程度のズレを持っていることになります。

梅雨のことを別の言い方では五月雨(さみだれ)と言ったりしますが、このように言われていたころの五月とは今の六月に相当することになります。

五月雨の言葉が転じて、梅雨時の雨のように物事がだらだらと続いていることを「五月雨式」と言うようになりました。


五月を使った言葉はほかにもありますが有名なところでは「五月晴れ」でしょうか。

明治の暦の変更を受けて、使われ方が変わってきた言葉の一つですね。

元の意味は、五月雨の合い間にのぞく晴れ間のことですので、梅雨の合い間の晴れ空のことを表したものです。

現在での使われ方は鯉のぼりの頃の、新暦の五月の晴れ渡った空のことを表す言葉となってしまいました。

そのおかげで、天気予報等でも梅雨時の晴れ間のことを「梅雨の合い間の晴れ」と呼ぶように決めています。

「五月闇(さつきやみ)」「五月晴れ」「五月雨」などの五月は、すべて旧暦の五月を表したものです。


現代の私たちは、世界的に共通な西暦の中で生きていますが、暦の中で使われている名称はそのほとんどが旧暦に基づいてつけられているものです。

さらにそこには新暦になってからの明治以降に作らた表現も、何の区別もなく存在しています。


「風薫る五月」という言葉があります。

もともとは「薫風」と言う漢語から来た言葉ですからかなり古い言葉だと思われますし、藤原良経や松尾芭蕉・与謝蕪村の句などにも登場します。

初めのころは、花の香りを運んでくる春の風を表していたのですが、芭蕉や蕪村になってくると明らかに初夏の風としてはっきりとした季節を表す言葉として使われていきます。

「風薫る」という古い言葉が初夏の季節を表す言葉として定着してから、明治期以降に「五月」がつけられたと思われますので、この五月は今の新暦の五月のことになります。


「風薫る」と言う言葉が漢語から来た古い言葉であるだけに、それと並んだ五月は旧暦の五月のことではないかと思ってしまいそうですね。

現代の使い方から言うと、「五月晴れ」や「風薫る五月」は今の5月になりますが、「五月闇」や「五月雨」は今の6月(旧暦の五月)に相当することになります。

同じ五月という言葉であっても、表す時期が異なってしまっているのですね。


さて、五月と言えば触れないわけにいかない言葉がありますね。

そうです、五月のハエですね。

「五月蠅い」と「五月蠅」では意味が異なるのをご存じだったでしょうか。

「い」が付くかどうかだけなのですが、付いた方は形容詞ですし、付かない方は名詞です。

しかも、季節も異なるんですね。


「五月蠅い」は「うるさい」と読みますね。

この読み方を作ったのは、有名な話で夏目漱石です。

小説のなかでこの言葉に「うるさい」と読み仮名を振ったわけですね。

新暦になってからのことのです、今の五月のことになります。

確かに、五月のハエはうるさいですね。(いつもうるさいかな?)


「五月蠅」は実は日本書紀に出てくる言葉です。

「五月蝿有り集まりてこりかさなること十丈、大空を飛んで信濃坂を越え、・・・」として登場してきます。

旧暦もかなり古い時代のことですね。

この「五月蠅」は「さばえ」と読みます。

これはミツバチのことです。

ミツバチという言葉がなかった時代のことですね。

群れてブンブン飛ぶミツバチを蠅に例えたのですね。


たった一つのひらがな「い」が付くと付かないとでは、これだけ違ってしまうんですね。

やっぱり日本語は面白いですが、日本語を使えない人から見たら訳が分からなくなってしまうんでしょうね。

わかる私たちは、思い切り楽しみたいですね。




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