2014年6月12日木曜日

数字の読み方に見る暗算能力

数字の読み方は言語によってかなりの違いがあります。

基本が1~10の読み方であることに変わりはありませんが、11~20の読み方に言語による特徴が出ています。

さらに数が大きくなるほど、読み方が複雑になる言語があったり、規則正しい読み方を継続していく言語もあります。


日本語の数字の読みは、漢語の呉音(ごおん)の読みを残していますので、現代中国語の「イ、アル、サン、スウ・・・」とは異なっています。

また、音が似ている数字を区別するために正確さを求める時には、呉音のの読み方ではなく「やまとことば」としての読み方が顔を出すことがあります。

それが「4」と「7」です。

それぞれの数字を単独読むときには、素直に読むと「よん」と「なな」となります。

ところが、「イチ、ニイ、サン、・・・」と順番に詠んでくると「4」は「シイ」となり「7」は「シチ」となります。

これが呉音による数字の読み方なのです。


口頭による数字の伝達においては精度の高さが要求されます。

そもそも数字で表現していること自体が、精度の高さを求める証しなのですから、聞き間違えはあってはならないことになります。

無線電文に使われる数字の読み方も「4」は「数字のよん」、「7」は「数字のなな」となっています。

また、「0」については「ゼロ」が聞き取りにくい音となっていますので、「数字のまる」となっています。



暗算についてみてみましょう。

数字を記憶しなければいけません。

暗記(記憶)は言葉でなされますので、数字の読み方の長さが影響することになります。

また、表記数字と音声数字が規則正しく連携していることが数字の覚えやすさを助けます。


基本数字の1~10の読み方を、主な言語で比較してみます。

音節数で比較してみると、日本語の場合ははっきり発音しても二音節までです。

長母音を使えば一音節のものもあります。(2:ニー、4:シー、など)


英語も子音音節を入れても三音節までで読むことができます。

ドイツ語、フランス語もだいたい三音節以内で読むことができます。

このことは頻繁に使う数字については短い音で正確に伝えられるようになっていると思われます。


11~20を見てみましょう。

2種類に分かれます。

1~10と関連性の薄い別の読みを持っているグループと、10と言う読みに対して1~9の読みを繰り返すグループがあります。

別の読みを持っている典型が英語、ロシア語です。

読みの綴りとしては一ケタの数字が出てくるところもありますが、11~20にも規則性がなく別の読みが与えられています。


10の読みに対して1~9の読みを繰り返すものは、ドイツ語、フランス語、中国語、日本語などです。

その中でも11、12については別の読みを持っている者がドイツ語、フランス語などです。

10の読みが前につくものと後ろにつくものがあります。

10の読みが後ろにつくものはアルファベットを使っている言語に多い様です。


10の位の読み方も、20、30、40と日本語のように「2」と「10」、「3」と「10」と読むところは中国語くらいで、決して多くありません。

つまり、日本語と中国語では、1~99の99種類の数字を1~10の音の10種類ですべて言い表すことができるのです。

さらには100(「ひゃく」)と言う読み方を一つ加えただけで、1~999の999種類の数字を11種類の音で言い表すことができる、世界でも珍しい言語なのです。


しかも、聞き取った音の順番に筆記していけば、桁と数字を間違うことはありません。

英語などで「16」を言い表すと「sixteen」となって一ケタ目の「six」が先に出てきますので、間違えやすくなります。


フランス語においては「70」を言い表すのに「60+10」と言って表します。

「70」を表す読み方がないのと同時に、1桁の「7」の読みはどこにも出てきません。

「80」においては「4つの20」と言い方をして、同じように1桁の「8」にあたる読みは出てきません。


フランス語においては「276」を言葉で表現するときは大変な言い方となってしまいます。

簡単には想像できないですね。


数字の言葉による表現は、暗算の能力に大きく影響を及ぼします。

海外で買い物をするときに、3桁の暗算による加減算がスラスラできる日本人は驚異の対象に映るそうです。

特に買い物による、1000からのマイナスについては瞬時に間違いを訂正できるのは日本人だけのようです。


一つずつの数字をきわめて短い音で区別することができ、言葉によって桁の単位が明確にわかる表現は暗算の能力と大きく結びついているのですね。

その読み方とそろばんの使い方が合わさった時に、電卓の上を行くスーパー計算機となるのですね。

中国から持ってきた数字がきわめて規則正しく読まれていたことが原点です。


歴史が古いほど、11からの読み方がシンプルになっていることは理解しやすいことです。

11~20の数字の読み方が複雑なほど、20までの数字を意識してきた新しい時代の言葉であることがうかがえます。

1~10までの手で使える数字しか必要としていなかった時代の言葉が原点であることを感謝しなくてはいけないですね。

どうやら日本語は、世界で一番正早く正確に数字を言葉で伝えることができる言語のようです。

数学や物理学を考えた時に、このメリットは計り知れないものがあります。

数字との関係が多い自然科学分野における日本人の活躍は、こんなところにも原因があるのかもしれないですね。


凄いですね、日本語は。





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