2014年3月6日木曜日

アルファベットと漢字

文字としての漢字を持っている言語は、その音に対しても同じ文字であるならば同じ音か近い音を持っています。

その意味で漢字を使用している言語は、文字に書いて発音をすれば、大概の意味が通じます。

世界で一番多い言語で使われている文字はアルファベットです。
アルファベットという呼び方は、ほとんどラテン文字と同じ意味で使われます。


アルファベット使用言語としては、英語、フランス語、ポルトガル語、イタリア語など読みも綴りも異なり、相互理解は漢字使用言語ほど共通性は見られません。

漢字が表意言語であり文字を見れば意味が分かることに比べると、アルファベットは表音文字で読み方しか表していないからです。
しかも言語によって、アルファベットの読みそのものが異なりますので、単語として似たような綴りのもの以外は理解しにくくなっています。

アルファベットの現在での基本字はラテン語の23字にJ,U,W,を加えた26文字となっており、英語ではすべての文字を使っています。


アルファベットの起源はイタリア半島に住み着いたラテン人(のちのローマ人)が、やはりイタリア半島中部に住み着いていたエトルリア人とギリシャ人から文字を取り入れたことにあると言われています。

現在のアルファベット26文字に落ちついたのは17世紀の半ば過ぎではないかと思われます。

色々な民族から部分的に文字を持ってきましたので、ひとことにアルファベットと言っても言語によっては使用してる文字の数が違っていたりします。

また、基本文字以外の符号文字(É,Ò,Â,Ÿ,Õ,など)を使用したり、別の文字(Ç,Ę,)や合成文字(Æ,Œ,)を使ったりしている言語もたくさんあります。

 ラテン語使用国

近代以降では、文字を持たなかった言語が新たに文字を持って書き方を定めるときには、ほんどラテン文字(アルファベット)が採用されました。

その中でも旧ソ連の諸国ではキリル文字(К,и,р,и,л,л,и,ц,а,など、現在では33文字)を使用しました。
ソ連でも初期のころはラテン文字を用いていました。

ソ連崩壊後は再び、ラテン文字への切り替えが進んでいます。

また、既に文字を持っていたにもかかわらず、ラテン文字に切り替えた言語もあります。
代表としてはインドネシア語、ベトナム語、トルコ語、などがあります。

西洋列強による植民地化やキリスト教の宣教師による活動が大きな要因だと思われます。

独自の文字を使用する言語でも、ほとんどはラテン文字による表記法が確立されています。
借用語や略語などでもラテン文字を用いることが多くなっており、今後ますます広がっていくことだろうと思われます。


アルファベットに次いで使用者が多い文字が漢字です。
中国が含まれているから簡単に10億人以上となってしまいます。

文字としてのアルファベットと漢字は両端に位置するものということができます。

現存使用文字としては世界で唯一の表意文字(最近では表語文字という言い方がされていますが、意味が分かりにくいのでここでは表意文字を使用しています)が漢字です、方や典型的な表音文字がアルファベットです。

アルファベットは一文字ずつの使用文字は共通性が高いですが、その一文字ずつに与えられている音が言語によって異なります。

表音文字は発音して初めてその意味が明確になる文字ですので、同じ綴りであっても音が異なれば違う意味になってしまいます。

共通の理解のためには、音を変えるわけにはいきませんので共通の綴りの単語を増やす以外ありません。





世界での活動がボーダーレス化していることは、言語も同じことが言えます。

共通理解のためには共通言語が必要です。
人は第二言語で思考することはできません。

母語(通常は第一言語と同じ)で思考されたものを第二言語に頭の中で翻訳しなければなりません。

訓練をすれば、簡単な思考は第二言語でできると言われていますが、複雑な思考や深い思考は母語でしかできません。

お互いが第二言語でコミュニケーションをしなければならない環境は、双方の持っている力を大きく制約することになります。


話す言葉としての共通性を持つことはとても難しいことです。

母語としての言語を持っている者は、母語を話すために適した発声構造になっており、母語の音にない音の発生は非常な困難を伴います。

聴き取りについても同じことが言えます。
母語の音を聞き取るために適した聴覚構造にには、母語にない音を聞き分けることは至難の業です。

話し慣れない音を、聞きなれない音で受け取るわけですから、正しく伝わるほうが少ないくらいでしょう。


書き文字としての共通性としてのアルファベットの略字は、どんな音であろうとも見た目で伝わります。

その意味するところについては、それぞれの言語においてきちんと定義されていればいいわけです。


漢字の持っている語彙数はアルファベットの比較になりません。
アルファベットが言語を越えて持っている共通の綴りに比べると、無限にあるということもできるでしょう。

言語としての話し言葉を変えることはとても難しいことです、これからますます文字の価値が高まっていくことでしょう。

文字そものに意味があり、文字を書くことが芸術の域にまである漢字は、今後その価値をより高くするのではないでしょうか。