目の正月という言葉があるのをご存知でしょうか?
正月がめでたいもの、楽しいものであることから言われるようになった言葉のようです。
目の保養とほとんど同じ意味になるようです。
美しいものや、珍しいものを見て楽しむことの例えです。
「目正月(めしょうがつ)」という言い方もあるようです。
正月という言葉が定着しているからこそ、成り立つ言い方ですね。
正月という言葉は音だけで聞くと、漢字の音読みですので、漢字を思い浮かべないと意味が分かりにくい言葉となっています。
「ショウガツ」と聞いてすぐに「正月」を思い浮かべることは、以外と難しいことです。
まずはしっかりと「ショウガツ」を聞き取らなければいけません。
「う」の母音は聞き取りにくいですから、「ショウガ」と聞こえることがたびたびあると思います。
「ショウガツ」を聞き取ったあとで、アクセントと前後の文脈から漢字の「正月」を導き出します。
すぐに「正月」に結びつかない理由の一つとして、「ショウ」と読む漢字の多さがあります。
その数はざっと考えただけでも、50や60ではないと思います。
「ガツ」と読む漢字は少ないですね。
ところが、ここで頭に「お」を付けるとどうなるでしょうか?
聞こえる音としては「オショウガツ」となります。
すぐに「お正月」に結びつきませんか?
最後の音の「ツ」が聞き取りにくくても、「オショウガ」まで聞き取れれば、最後は「ツ」であろうことは簡単に想像ができます。
接頭語としての「お」や「ご」は、単に簡易な丁寧語としての使い方だけではなさそうですね。
特に音読み漢字で同音文字が多くある場合には、その区別として「お」「ご」の役割が大きいのではないかと思います。
文化財を期間限定で開示する「開帳」という言葉があります。
音読みの「カイチョウ」ではいろんな言葉が想像されます。
「カイ」も「チョウ」もたくさんの漢字があります。
「カイチョウ」だけでも候補は10くらいは出てくるでしょう。
ところが、「ゴカイチョウ」と言われれば「ご開帳」にしか結びつかないのではないでしょうか。
酒の徳利のことを銚子と言います。
音読みは「チョウシ」ですね。
「チョウシ」で変換してみても10個以上の候補が出てきますね。
「オチョウシ」でやってみるとどうでしょうか。
PCで変換してみてください。
ほとんど一発変換で「お銚子」になるのではないでしょうか。
音読み漢字でも候補となる漢字が少なくて、頻繁に使われている言葉であればすぐに置き換えができます。
ところが同じ音読みの漢字はかなり沢山あることが多いです。
このことが、話し言葉だけでのコミュニケーションにおいては理解不足を生む原因の一つとなっています。
これを少しでも解消するための手段として、丁寧語にする必要のない言葉であっても敢えて「お」や「ご」を付けるように工夫したのではないでしょうか。
凄いですね、日本人!
日本語も凄いけれども、これを使いこなし変化させている日本人も凄いですね。