2014年1月21日火曜日

日本語を基準に外国語を学ぶ

日本語の特徴については、ここ何回かで触れてきました。
(参照:気づかなかった日本語の特徴(1)~(6)

では、その素晴らしい言語である日本語と、世界標準語である英語との関係はどのように持ったらいいのでしょうか。

日本人が海外で活動することが当たり前になり、ビジネスそのものもボーダーレスになってきました。

そのためには、英語は不可欠です。



日本語の持っている感性は、英語の感性と大きく異なります。
特に、日本語は言語としては世界的にどの系統にも属さない孤立した存在と言われています。

英語はインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に属します。
これに属する言語はドイツ語、オランダ語、ノルウェー語などがあり、他の言語と比較すると文法がきわめて簡素化されています。
また、
語彙としては同じインド・ヨーロッパ語族であるイタリック語派に属するフランス語の影響を大きく受けています。

英語は世界中の言語の中に仲間がたくさんいます。

他の言語の母語話者からすると、比較的馴染み易い言語となっています。

おそらくは、日本語が一番遠いところに位置する言語ではないでしょうか。


日本人が、どんなに他の言語を操ろうとも、認識や思考は母語として身につけた日本語独特の感性から逃れることはできません。

それだけ、幼児期にどの言語で母語を身につけたのかは決定的なものです。

第二言語としてどんなに使いこなせるようになっても、認識や思考についてはすべて母語で行われています。

結果として第二言語に翻訳をしていることになります。

したがって、どんなに第二言語としての英語が使いこなせても、英語による認識や思考はできないのです。


このことが素晴らしいことなのです。

母語としてのアイデンティティがしっかりと確立されているのです。
日本語話者(日本人)としての認識や思考に特徴が出るのです。

日本語は、世界のどの言語に比べてもとんでもなく大きな言語です。

日常語として使用している文字の種類だけでも、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットの4種類を使い分けしています。

どの文字種も、その一種類だけで独立言語として成立するものです。
単純に考えれば、4種類の言語を使い分けしているのが日本語と言えます。

語彙の豊富さと自然や心情描写の豊富さは、他の言語の及ぶところではありません。



言語の持つ感性は、文化そのものです。
言語を使いこなすこなすことは、その文化を使いこなすこととなります。

日本人同士の会話においては、多くの言葉が省略されます。
同じ文化と言語を共有する者同士の会話として、きわめて少ない言語で意志の疎通が可能です。

これをそのまま外国の人が受け取ると、なんといい加減な曖昧な伝達手段であるかと思ってしまいます。

これは日本語の持つごく一部の特徴なのです。

日本語に翻訳された専門書などの評価は全く違います。
原著者自身が、自国語の自分の論文よりもはるかに正確に自分の思ったことを論理立てて説明できていると賞賛するほどです。

日本語はとても懐の広い言語ですので、相手の言語の特徴を理解できれば、同じ日本語であってもそれにふさわしい表現にいくらでも対応できるのです。

同じ内容でも、日本人同士での会話と英語に訳すための表現との使い分けが簡単にできるのです。

相手が英語だけではありません。
世界中のあらゆる言語に対して、この対応が可能なのです。


母語話者として日本語を持つ者は、いつからでも他の言語を母語話者同様に使いこなすことが可能だと言われています。

また、他の母語話者は、どんなことをしても母語話者同様に日本語を使いこなすことは生涯不可能だと言われています。

せっかく日本語を母語として身につけることができる環境にいるのです。
母語は幼児期にしか身につきません。

自分の子どもに、しっかりとした日本語を母語として身につけてあげることこそ、世界を相手に活動できる基本ではないでしょうか。

外国語は使う必要ができてから身につければいいのです。
いくつになってからでも短期間で身につける方法はいくらでもあります。

言葉は生きています、毎日変化していますので今の言葉を身につけなければ意味がありません。
日本語は毎日使っていますので、自然に上書きができています。

すぐに使う予定のない言語を学んでも、実際に使う頃には役に立たないものがたくさんあるのです。


日本語は世界から注目されています。
日本語独特の認識や思考は、世界のあらゆる分野での注目の的です。

まずは、日本語をしっかり使いこなして、日本人として恥ずかしくない認識や思考を身につけなければなりません。
日本語がしっかり使えない者が、身につけた外国語は意味がないのです。

日本語の基本を身につけるべき大切な時期は、おおよそ0歳から10歳です。
特に母語を身につける大切な時期が、2歳から4歳だと言われています。

この時期に他の言語との接触が増えると、日本語そのものがおかしくなります。
基本的な日本語の習得に欠落が起こります。

普段の生活で自然に外来語や外国語に触れることは避けられません、他の言語を教え込むことが一番いけないことです。

幼児期の言語教育による教え込みは、例えそれが日本語であってもとても危険なことです。
絶対に教え込んではいけないのです。

子どもは、生まれた時から(生まれる前から)自然と母語を取得するようになっています。
待つことが大切になります。
より多くの種類の日本語に触れる環境を整えてあげて、じっくりと待つことが母語習得のための理想です。

世界で最も優れた言語を持つ日本人が、なんで幼児期から他の言語を学ぶ必要があるのでしょうか。
それも、世界最高の言語を犠牲にしてまで行う必要があるのでしょうか。
もったいないことだと思います。