2014年1月12日日曜日

気づかなかった日本語の特徴(5)

日本語の特徴の5回目の今回は、世界の最先端の文明を取り込んできた言語であることです。

始まりは中国文明の導入であり、文明開化の明治維新では当時の最先端のヨーロッパ文明を取り入れ、太平洋戦争後は新興最先端のアメリカ文明を取り込んできました。

そのあたりのことが言語に及ぼした影響を中心に見ていきたいと思います。


日本語の特徴
  1. 世界のどの言語体系にも属さない孤立言語
  2. 文字のない時代の言葉をそのまま受け継ぐ言語
  3. 自然の音を「言葉」として受け取る感覚を持つ言語
  4. 比類なき多彩な表現力を持つ言語
  5. 世界の最先端文明を取り込んだ言語
  6. 使いこなすことが世界でも最も難しい言語のひとつ
5.世界の最先端文明を取り込んだ言語
縄文・弥生時代を経過した日本に、原日本語としての話し言葉があったことは間違いのないことです。
地理的にもアジア大陸との隔たりは、今ほど大きくなく往き来もある程度はあったと推察されます。

一番身近で巨大な文明として中国文明があり、その影響を大きく受けたことは様々な史実により確認ができることです。


法体系として国を運営する基本としての律令を中国から持ってきました。
国として人心を治める思想としての仏教も持ってきました。

これらのものを遣唐使・遣隋使を通じながらも、基本としては書物で持ち込んだのです。

文字の無かった日本に漢語を導入し、その漢語を文明を伝え広げるための媒体としたのです。

この漢語が国としての正規の記録用の言語として用いられるようになります。
政治の分野と仏教の分野においては漢語が公用語として定着していきます。

この漢語を使って、原日本で文字のない言語である「古代やまとことば」に文字としての仮名を発明しました。
中国文明は漢語として、また古代よりの日本独自の文化は仮名として、混在することが可能であったと思われます。

漢語による文明は政治や仏教の及ぶ分野に限られ、一般的な生活にはそれほど深く浸透していかなかったのではないかと思われます。

皇族・貴族や政治の世界であってもすべての言語が漢語で行われたわけではなく、歌を中心とした普段の生活の言葉は「やまとことば」であったであろうと思われます。



その後、開国による明治維新までは海外との交流は限られた者だけの特権であり、国を挙げての文化の導入までには至りませんでした。

ヨーロッパ列強が産業革命を終えて世界に植民地を広げていく環境の中で、対応せざるを得なかった日本の開国は、一面では被植民地化への危険性を孕んでいました。

列強の植民地としての草刈り場にならないためにも、早急に国力を付けなければならなかったわけです。

富国強兵の名のもとに、あらゆる分野でヨーロッパ列強へ追いつくための競争が発生しました。

当時の世界最先端の文明はヨーロッパです。
遣欧使節団を通じながらヨーロッパの文明を、ほとんどは書物を通じて吸収していきました。

一部の政治家や文化人たちからは拙速の批判を受けながらも、信じられないくらいのスピードで国体そのものを変化させていきました。

政治制度、憲法・法律の制定、教育制度など、国の根幹の仕組みはほとんどがヨーロッパの文明を取り込むことで作り上げられていきました。

言語として、スペイン語、オランダ語、ドイツ語、英語など様々な国の言語に対応することになります。


この時に大活躍したのが漢字です。
極めて造語能力の高い漢字の性格によって、日本語への翻訳がものすごいスピードと量で行われていきました。

新しい概念や日本語になかった言葉を、次から次へと漢字に置き換えていきました。
漢字で追いつかないものは、音だけを捕えて原語に近い音でカタカナへの置き換えも行われました。

現代の私たちが使っている漢字のほとんどは、この時に編み出されたり、新しい意味を与えられたものです。

漢字とカタカナで新しい文明の導入に対応したために、「ひらがな」で表現できる日本古来の文化・言語は完全に残すことができました。

古来の文化を「ひらがな」で伝承しながらも、新しい最先端の文明を漢字とカタカナで対応することによってみごとに取り込んでしまったのです。

巨大な文明を取り込む時には、結果として言語そのものが大きな文明の方に取り込まれてしまうというのが定説です。
世界中には数えきれないほど例があります。

新しい文化に対応する言語と、古来の文化を伝承する言語を分離し、かつ両方が日常語として存在するという離れ業を成し遂げたのです。



太平洋戦争後は、日本語消滅の大きな危機でした。

戦勝国による分割統治によって、各国へ併合される危機でもありました。
そうなれば、日本語は消滅していたでしょう。

結果として、日本語は残りました。
それまでの教育の成果としての識字率の高さが、日本語の存続を決定づけたと言われています。

占領国としての方針や施策を徹底させるためには、識字率の高さを利用することが有効であると考えられたことから、日本語による戦後教育が推進されたのです。

ここでも、戦後のアメリカ文明への対応は漢字とカタカナを中心に行われました。
更には、アルファベットによる対応も身につけ、日本独自のローマ字まで生み出すに至ります。

戦後のアメリカは世界最先端を走る文明です。
これを、ものの見事に取り込んでいくのです。



大きなレベル差のある文明を取り込んだ時には、大きな文明の言語に今まで持っていた言語が取り込まれてしまうのが自然の流れです。

日本語は「ひらがな」で古来の言語を継承してきています。
漢字、カタカナ、アルファべットでそれぞれの時代の世界最先端文明を取り込んできました。
世界でも類を見ない奇跡的な言語なのです。

文化・文明の表現はいろいろな形でなされますが、その基本となるものは言語です。
表現をするための言語にこれだけ沢山の種類を持ったものは、日本語以外にはありません。

新しい文明を取り込んだ時に、それまでの伝統文化を書き換えることなく、書き足すことで対応・成長して併存しているのです。

現代日本語の基本表記は漢字かな交じり文です。
日常表現の中に色々な文化が混在しているのです。
そこに必要に応じてカタカナ、アルファベットが入ってきます。
私たちは意識しなくとも、平気でこれらの使い分けを行っています。

日々使っている言語の中に、古代からの独自の感性と世界の最先端の文化と知識がそのまま使われているのです。
新しい言葉は日々生まれています。

今現在も、常に新しい言葉を加えている日本語は、「ひらがな」という古代からの言葉を伝承しながら進化を続けているのです。





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