2013年10月29日火曜日

英語圏の言語戦略

現在の世界標準語と言えば英語ということになると思います。

英語圏の国はアメリカ、イギリスを中心として、世界共通語によるメリットの享受を維持しようと様々な戦略を駆使しています。

母語話者の数では中国語が13億人を越えて圧倒的です。
英語は約5億人と言われていて第二位です。

参考までに日本語は1億強で第9位に位置し、ロシア語(8位)とドイツ語(10位)の間に位置しています。

第2次大戦後の日本の経済的発展は、英語圏に彼らの絶対的優位を脅かす危機感を与えました。

彼ら(特にアメリカ)は日本を研究しました。
学ぶためにではありません、日本をコントロールし自らの優位を維持することに利用するためにです。



その中で1990年以降にアメリカにおいて言語学上の日本語の特徴が確認されてくると、その言語戦略は目に見えて変化してきました。


想像も含めて、日本語の優位を検証しながら、英語圏の言語戦略を見ていってみましょう。

その国の最高学府の最先端の講義がどんな言語で実施されているかは、その国の文化度を測る指標と同時に、将来の文化発展の可能性を示します。

理想は最高学府の講義が母国語で行われていることです。
そこでの資料が母国語で書かれていることです。

これができている国は、ヨーロッパの文化的な歴史ある国々とアメリカ・日本くらいのものです。


経済新興国はどんなに歴史がある国でも、その国の最高学府の最先端の講義はみんな英語で行われています。

英語圏国家は、これをさらに拡張すべく、文化交流や国家戦略として各国への講師派遣や提供を積極的に行っています。

自国の優位を脅かすような、世界をリードするような独自の理論や技術の開発を抑えるとともに、その開発を援助することによって、結果として彼らがコントロールすることを狙っているからです。


そこで行われている講義のやり方も、様変わりしてきました。
特に自国以外おける英語教育が大きく変わってきました。

TOEICの試験を見ていると分かるのではないでしょうか。

彼らの戦略に乗せられて、日本などは教育指導要領すら改定してしまいました。

非英語圏における英語教育が読み書きから会話に大きくシフトしました。

これは日本の影響が大きかったと言われています。
とくに2000年以降のノーベル賞の授賞者数が影響していると言われています。

自然科学の3分野(化学賞、物理学賞、生理学医学賞)での受賞者数の1位は、ぶっちぎりでアメリカですが、原国籍がアメリカでない人がたくさん含まれていることはご存じのとおりです。

第2位は日本なのです。
しかもその数(13人)は全ヨーロッパの合計よりも多いのです。



英語教育の中心が会話に変更された理由は、征服者と被征服者との関係で簡単に説明がつくことです。

征服者にとっては話し言葉で命令・説明したことを、そのまま被征服者が理解して実施することが理想です。

その時に、被征服者が自分たちにも難しいような書物による歴史や論理に基づく反論をしてきたらどうなるでしょうか。
そのような知識は、征服者にとっては危険きわまりないものです。

そのためには被征服者には自分たちの言語の話し言葉のみを教え込み、読み書きについては学ばせないことが重要になります。


言語上の優位を保っていることによって「我々の言い方では、そんな言い方はしない。」という、どんな素晴らしい内容であっても完全否定できる切り札を持ち続けることができるからです。

中国、インド、韓国などは完全にこの戦略の餌食になっており、さらに喜んで最高学府における協力を推進しています。

日本では、学校教育の英語が会話中心へ大きく舵を切られました。
この時の学校の会話中心教育への変更については政治的、文化的、経済的な相当な圧力があったと言われています。

「10年も英語を教育をしてきて会話ができないとは、教育の仕方が間違っている。」という世論を作ってしまいました。
そのおかげで
書物を読んで、書くことによって本質を理解するという、日本本来の学習の仕方が薄れてきました。

英会話をできる人は大量に増えていますが、英語圏と本気で渡り合える人は激減しているのが現状です。

物理的ではない、経済的な文化的な植民地化がどんどん進んでいます。


各国の最高学府を抑えていることは、その国の最先端研究を抑えることになります。

可能性のある技術や人材は本国の役に立つように囲っていきます。
時には本国に連れて来たり、国籍を与えたりもします。


このように集めてきた世界の技術や知恵を研究してきた結果、言語が思考に大きな影響を与えることがわかってきました。
しかも、
後天的な言語ではなく幼児期に身につける母語が、脳の機能構築に影響していることもわかってきました。

最近では個人を識別するときに、母語は何語か?、第一言語は何語か?、第二言語は何語か?について調べることができるようになってきました。


今までの研究では、日本語を母語にした場合には、明らかに英語や他の言語を母語とする場合と脳の機能が違うことがわかっています。

自然の音や虫の声などについての脳の認知感覚が異なります。
これは、
親の言語に関係はなく、個人が母語として習得する言語によるところだそうです。

つまり、両親が英語話者であっても、本人が母語として日本語を習得すればそのようになるということが確認されています。

日本人だからではないんですね、母語が日本語だからなんですね。


言語についてはまだまだ新しい発見がたくさんありそうです、楽しいですね。