2013年9月19日木曜日

語感と五感

語感を補助するのに五感を刺激することが効果があることはすでに述べてきました。

単に話すことよりも、スライドや映像の視覚による効果を取り入れたほうが、印象がずっと強くなります。

言語は基本的に2つの感覚でしか感知することができません。

話し言葉を感知する聴覚と、文字を感知する視覚です。



かつての情報媒体は、そのどちらかでしか発信できませんでした。

ラジオ、録音テープ等による音声情報か、新聞、雑誌等による文字情報でした。

これがテレビの登場によって、映像・文字と音声が同時に伝えられるようになりました。

それまでの写真や映像は「物言わぬ情報」として、情報媒体としては文字情報の補助的な位置づけでした。

それが、音声が同時に加わることによって、今までの価値を一変させます。

具体的な物はそのものズバリや同じようなものを使用することによって、文字情報以上のものを瞬時に伝えることができます。

文字情報を順番に伝えていくよりも、瞬間的に画像で理解させることができます。

現実として存在する物のリアル感は、映像表現の最も効果的な物です。


反対に映像表現の最も難しいものが、人の感情や自然の情景です。

瞬間的に理解させることは大変難しく、意図した感情や情景を伝えるためには長い映像が必要になります。

その中でより正確に意図を伝えようとすると、映像の中に文字の情報が必要になってきます。


普通の人であれば、五感のうち一番多くのことを感知しているのが視覚です。

2番目が聴覚、3番目が触覚ですね。


通常、話し言葉だけで行っている内容に、視覚に訴えるものを加えると面白い変化を見ることができます。

情報の受け手側にとっては、自然な状態でいると視覚情報の方が聴覚情報よりも優先されます。

話し言葉だけで行っていた時と、受け手側の印象のポイントが変わってくるのです。

伝えたい側が意図したポイントに対して、適切な視覚情報が提供されていれば、効果は大きいで

すが、そうでないと意図しなかったポイントが強調されてしまいます。


視覚を集中させようとする研究は長いこと続けられてきており、その成果は一般社会でいたるところで利用されています。

書き文字としての見せ方も、本や雑誌だけでなく、内容や場面に応じて様々な見せ方ができるようになっています。

その見せ方だけで成り立っている職業もたくさんあります。


人の思考は言語でなされます。

決して映像ではなされません。

まずは言語で伝えること、聴覚に訴えることが基本でしょう。

それを補うための視覚効果ですが、こちらの方が感知力が高いことが問題です。

上手く使わないと、視覚の情報に引っ張られてしまうことがあることを覚えておきましょう。


触覚や臭覚、味覚を使って伝えることはあまり機会がないと思います。

しかし、他の感覚を一緒に使っているときは、後で思い出す時にきっかけとなることがよりたくさんあることになります。

美味しい食事の時や極端に暑かった時、寒かった時の内容は思い出しやすいものですし、記憶として残りやすいものです。



自分の伝えたい内容を、語感をうまく使って、五感に響く環境で訴えられたら、印象深く記憶に残ることでしょう。

語感を磨いて、まずは聴覚と視覚でしっかり伝えたいですね。