静岡県の川勝知事の発言がニュースになっています。
文科省によって実施される全国学力テストの結果について、下位の学校については校長名を公表すると知事が言い出しました。
客観的に見てみたいとは思いますが、そのためには事実を確認しなければいけません。
どんな状況になっているのか、見てみました。
・学力テストは毎年、小学校6年生と中学校3年生にたいして実施されている。
・実施科目は「国語A」「国語B」「算数(数学)A」「算数(数学)B」の4科目となっている。
・科目の内容はそれぞれAが基礎力、Bが応用力となっていいる。
・静岡県の状況は、2007年のテスト開始時より4科目の総合力の全国順位が下降傾向にあり、
全科目で全国平均ポイントを下回っている。
・静岡県の小学6年の科目別順位は以下の様になっていいる。
「国語A」・・・47位、「国語B」・・・40位、「算数A」・・・36位、「算数B」・・・36位
・今年度の静岡県の小学6年生の県別総合順位は43位だった。2007年度の開始時には14位
だった。
・静岡県の小学6年の「国語A」の正答率は、46位の沖縄県と比べて、0.6ポイント低い57.7%で、最下位だった。
・静岡県の中学3年の科目別順位は以下のようになっている。
「国語A」・・・17位、「国語B]・・・14位、「数学A」・・・13位、「数学B]・・・5位
・静岡県の中学3年の全科目はすべて全国平均を上回っている。
・現在の中学3年生が小学6年の時の科目別順位は、19位~37位だった。
以上のことを踏まえて、川勝知事は県内小学校のなかで「国語A」の成績の悪い学校の校長名を公表して、奮起を促すとしています。
これに対して教育委員会が文部省の「学力テストの結果についての学校名の公表はしない」という方針を盾に反対をしているところです。
テストを受けた生徒個人に対する結果報告である個人票の「国語A」の説明には以下の内容があります。
国語では,「話すこと・聞くこと」,「書くこと」,「読むこと」,「伝統的な言語文化と国語の特質に関す
る事項」に関する内容について学習します。
国語Aは,基礎的・基本的な問題です。学習した内容であるので,しっかりと身に付けるようにしましょう。
これを見る限りは、すべての教科並びに子供たちを育てる一番の基礎になる科目として「国語A」を取り上げることは間違いではないようです。
実際の問題を見てみると、本当にその通りかどうか疑問はありますが、一つの目安にはなるのではないでしょうか。
時間の割には問題量も多く、最後の問題には手が付けれれていない場合もあるようです。
それも含めて正答率となるのでしょうが、「?」は残りますね。
字の下手な人が増えています。
美文字が人気になっています。
小さいときに、時間に追われたテストを繰り返していると、字が汚くなります。
本来ならば人に読んでもらいために書く文字が、自分しか理解できない暗号文字のようになってきます。
記述式問題の減少は、採点するほうは楽になりますが、文字を書く機会をへらしていますね。
今回の問題は文科省の方針の扱い方です。
「学校名の公表はしない」と言っているわけですね。
文字通りそれを捕えて、それならば校長名なら問題はないだろうと言うわけですね。
思わず十年以上前のアメリカの話しを思い出しました。
洗った猫を乾かそうとして、電子レンジに入れて殺してしまった事件です。
裁判の好きなアメリカでは説明書に「生き物を入れてはいけない」と書いていないということでメーカーが負けて賠償をしました。
このとき、日本では事件にすらならないことだろうと思いました。
電子レンジの使用目的そのものを考えたときに、また説明書を見たときに、少なくとも言外にある前提が感じられるはずです。
英語ではそれが無理なんだろうなと感じたことを覚えています。
学校名でなく校長名なら構わないだろうというのは、言葉のみを捕えた子供の遊びのようなものです。
何のために学校名を公表しないとかという、本来の意図が無視されてしまいます。
もちろん、知事がそんなことがわからないはずがありません。
昨今の教育現場の問題に一石を投じようと、学力テストの結果を材料として、わざと投げかけたと思われます。
それに対する教育委員会の対応がお粗末なようです。
せっかく、「国語A」に目をつけて、これだけ注目を集めたのですから、より良い国語の基礎力育成のために考えてほしいものです。
指導要領の一番先にも国語科の目的として「話すこと、聞くこと」が挙げられています。
せめて、ちゃんとした「話すこと、聞くこと」ができるようにして卒業させてほしいものです。