方向を示す言葉として副詞の「に」と「へ」があります。
日本語を習っている外国人の人にはどちらを使ったらいいのか、使い分けがとても分かりにくいようです。
学校へ行く/学校に行く、東京へ行く/東京に行く、どちらも普通に使っていますよね。
専門家の説明でも、絶対的な決まったものはなく揺れている内容ですね。
いくつか見てみましたが、なかなかすっきりしたものはないようです。
方向を示す副詞の「に」と「へ」についての問題は、格助詞の「は」と「が」の問題と同様に典型的な例のようですので少し考察してみたいと思いました。
「に」と「へ」について
同じ副詞ですがその機能が異なると思われます。
あえて言うならば「に」は最終到達点(目的)を示すものであり、「へ」は場所や方向(~の方)を示すものとすることができると思います。
いい例が挙げられていました。
山へスキーに行く。
山という場所へ、スキーという目的のために、行くと言う内容ですね。
これも、「山へ行く/山に行く」とどちらでも使いますよね。
日本語は省略の言葉です。
会話者同士の意思の疎通が進めば進むほど、言葉が省略されていきます。
業界用語に省略形が多いのも、ただの便利さからだけではない理由があります。
「山へスキーに行く」を例にして「①山へ行く/②山に行く」を見てみたいと思います。
①山へ行く = 山へ(スキーに)行く
②山に行く = 山(へスキー)に行く
どうでしょうか、何となく見えてきませんか。
①は山へ行く目的である「スキーに」が完全に省略されています。
つまり、目的がわからないけど山(のほう)へ行くというイメージが持てると思います。
これに対して②は「に」があることによって「へスキー」が省略されても「〇〇のために」と言うニュアンスが残ります。
つまり、単に山という方向や場所に行くのではなく、そこで何かをするために行くというイメージになると思います。
同じことを例を変えてみてみます。
①休みに学校へ行く
②今日も学校に行く
①の「学校へ行く」は休みの日に学校にという場所に行くことだけを表現しているのであって、そこで何をするのかの目的は関係ありません。
②の「学校に行く」と言う表現の中には「に」があることで、(勉強のためにと言う)目的が込められていることがイメージできないでしょうか。
これが先生が言った言葉であるならば(勉強を教えるためにと言う)先生としての学校へ行くための一番自然な目的が込められていることになります。
①は休みという学校本来の勉強をするという目的がない日に行くわけですから、本来は「休みに学校に行く。」というのはおかしいはずですね。
ただし、休みには学校では勉強がないので、休みには学校は遊びに行くものとして子供たちが共通な意識をもっていたら「休みに学校(へ遊び)に行く。」は成立することになります。
どちらもともに具体的な行為としては同じことをします。
行ってからの目的が異なるだけです。
この区別はとてもつきにくいと思います。
いづれはどちらを使ってもいいという日が来る気がしますね。
次回は格助詞の「は」と「が」について見てみたいと思います。