2013年6月23日日曜日

幼児教育と母語の継承

今回は母語の継承において一番大切な時期と言われる幼児期(2歳から5歳)の教育について述

べてみたいと思います。

この時期は脳の大きさが一気に大きくなる時期です。

つまり脳細胞の分裂(発達)が一番活発な時ということになります。

外から見える大きさの変化よりも、頭の中ではずっと大きな変化が起きています。

もともと頭蓋骨に対してかなりの隙間を持っていた脳が、一気にその隙間を埋めながら頭蓋骨自

体も大きくなっていくのです。

一説によれば2歳から5歳の間で脳の容積は約4倍になっているそうです。

この時期の教育(育て方)の大事さはあらゆる方面で認識されており、かつてはこの時期に習いご

とを始める英才教育がもてはやされたこともあります。

ある特定分野の能力を高めるためにはこの時期に習得することを開始すれば図抜けたレベルまで

行くことがわかっています。

ただし、その結果としていわゆる生活していく上での一般的な能力が犠牲になっていくことも分かっ

ています。

後天的な能力のすべては母語を介して行われます。

母語の基本は幼児期に身につけることがわかっています。

その後は母語を磨きながら、母語によってさまざまなことを学習していきます。

一般的な母語の習得は10歳程度までかかるといわれています。

母語の習得は一番身近で、一番愛情を持って接してくれる者(基本的には母親)から自然に行わ

れます。

そして様々な失敗を繰り返しながら形成されていきます。

正しい母語というのはありません。

母親が持っている言語が愛情とともに注がれることによって、その母語を継承していくのです。

言語学的には母語のことを継承語ということもあります。

家族とともに過ごしながら、時には幼稚園のような集団で数々の経験を通じてその子の独自の母

がが発達していきます。

厳密に言えば母親の言葉が一人ひとり微妙に違うように、継承される母語も一人ひとり異なりま

す。

もちろん、すべて日本語というくくりの中での差異ではありますが。


無理に教え込もうとしても無理です。

経験の伴わないものは身につきません。

成功体験は習得の助けとなりません。

数々の失敗の経験から五感において何かが違うと感じたものを排除していくだけです。

正しいといわれることをいくら教えようとしても身につかないのです。

それを反復によって無理に身につけさせようとすると、どこかで拒否反応が出ます。

あらゆるものに対して興味を持ち、五感で確かめようとするのです。

子供に正しいことを身につけさせようとするには、そのことができたときに心の底から喜んで態度で

示してあげることです。

触れてあげることです。

叱ったり恐怖による抑制は、すべてのことに対して開かれている興味の触角を委縮させることにな

ります。

なるべく避けていきたいことです。



この段階での外国語教育たとえば英語の教育は注意を要します。

あくまでも母語の中の言葉として英語での言い方に自然に触れるようにしなければなりません。

つまり英語を学ばせるのではなく母語としての日本語の一部としての英語的な言い方に触れるよう

にすることです。

言語としての大きさは日本語のほうが英語よりもずっと大きいものです。

母語としての日本語が身についてからのほうが英語の習得は簡単なはずです。

英語を母語とした場合には、母語レベルでの日本語の習得は不可能と言えるでしょう。

思考は母語でしかできません。

自分を中心におかない、周囲との関係において自分を位置づける日本語の思考はこれからますま

す重要なものになってくると思われます。

通達手段としての言語の壁は近いうちに瞬間翻訳技術によって取り払われることになるでしょう。

その時に一番大切なのは思考です。

日本語できちんと思考でき、それを表現できることが最も大切になるはずです。

誤った翻訳をされないためにも、きちんとした表現を身につけなければいけませんね。




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