2013年5月9日木曜日

失敗の許されない物流部

物流の業務に携わっている人たちが一番やりたくないことは何だと思いますか?

一般の会社では物流部に所属している人でも、自分で最後まで商品を届けることを仕事と

して行っている人はほとんどいません。

最後のとどけるという仕事は運送屋まかせがほとんどです。


自分の手の届かないこの運送屋まかせのところでおきたトラブルが原因で、頭を下げなけ

ればならなくなることが一番やりたくないことなのです。


直接自分がコントロールできる業務は限られていますが、最後の配送が完了し受領が確定

するまでには様々な業務があります。

そこには委託している業務も入ってきます。

委託している業務についてもその管理責任や結果責任はついてきます。

直接自分がしでかしてしまった失敗はすぐ謝ることも可能でしょう。

そうでない場合はいかに仕事上のこととはいえかなりのストレスになります。

そこで 何が起こるでしょうか?


過去からのわかりきっている業務内容で誰がやっても同じようにできる業務、さらにはその業務経

験者が複数いるという環境を壊したくないのです。

まったく初めて物流部門を立ち上げるとき以外は、すでにある業務をいじったり変更したりしたくな

いのです。

何かの失敗が出たときの他部門や顧客からの物流部門に対する突き上げは大変なものです。

物流現場で発生する問題を物流現場内で自分たちが解決しているときはほとんどうまくいきます。

しかし、外部から指摘された問題や業務の流れが変わるような問題については途端に頑なになり

ます。

これを力ずくでやろうとすると結果として部門総入替えがベストの策となりかねません。


もう一つ物流部門が抱えている以外に気付かれていない歴史的な弱点があります。

むかしの倉庫番が物流の走りですね。

配送はお客と接しますので店の看板ですからいわゆる営業が自分でこれをやっていました。

その倉庫番は誰がやっていたでしょうか?

「読み書きそろばんができないんだから倉庫番でもやっていろ」が倉庫番でした。

それでもよかったんです。

この時の倉庫番は倉庫の開け閉めと出入りの見張りが主な仕事でしたから。

最後の商品点検と鍵は店の責任者・番頭が行っていました。

いわゆる倉庫番・物流について一段下に見ていた歴史的な社会環境がありました。

また倉庫番・物流の担当者は他の業務、特に営業系に対して劣等感がありました。

いまだに物流部門への転属は左遷的なイメージを持たれることがあります。

そのために彼らは閉ざされた物流という世界(失敗さえしなければ他部署との接触はほとんどなく

て済む)でそこの業務についての専門職的なスキルを磨いてきたのです。

設備・マテリアルハンドリング・システム的な発展によって人的能力以外のものが物流の世界に入

ってこなければ、いまだにかかわったこのある人しかわからない世界だったかもしれません。

その物流がいまや企業の命運を左右する基幹業務として位置づけされるようになりました。

せいぜい15年程度でしょう。

まだまだ残っている引き継がれている物流ならでは感覚って結構ありますよ。


ヤマトや佐川の宅配便は消費者向けのきれいなところだけを集約した新しい物流です。

物流関係者にはまだ歴史を背負っている人がたくさんいます。

トップダウンがうまくいかいのもわかる気がしますね。