2013年5月15日水曜日

物流と情報システム

サプライチェーン・マネジメント(SCM)が幅を利かせています。

物流という言葉に代わってSCMが使われてきています。

しかも、物流・ロジスティクスに直接かかわったことのない人間ほどこの言葉を使いたがります。


同じような状況が2000年ころにありました。

情報システムの処理能力があっという間に累乗的に発展してきたときに、物流の世界にも一気に

システム化が押し寄せてきました。

始めは在庫管理システムという名のもとに物の出入りをデータとして入出力して管理するものでし

た。

むかしの倉庫にある商品の受け払い表を入力したものにすぎませんでした。

システム化が進んでくるとそれをもとに管理することが増えてきます。

そして一見もっともらしい倉庫での業務を系統だてた、入庫から出庫までの物の動きを追いかける

情報システムが導入されます。

倉庫内の物の動きを追いかけ検品をしますから、スキャニング、ラベリング、マッチングの技術が

進化します。

どこかで導入されるとこれをパッケージ化した倉庫管理を一括する倉庫管理システム(ウェアハウ

ス・マネジメント・システム=WMS)なるものが入ってきます。

日本で個別に作られて標準化したものや、輸入されてカスタマイズされたものなど様々なものが出

てきます。

導入コストも下がってきます。

システム化だといって飛びつく企業も出てきます。

ところがどっこい、物流の業務は会計・経理とは違います。

法律で縛られた処理の仕方・管理の仕方なんかありません。

物流業務の内容は扱う商品のカテゴリーによって大きく異なります。

加工食品と雑貨と飲料では全く異なるといってよいでしょう。

それぞれに専門の業務・設備が必要であり、同一倉庫内で設備を共有しての業務は基本的に不

可能です。

それぞれの企業で業務の内容は大きく異なります、そこいらじゅうでシステム屋と物流現場の衝突

が発生します。



物流のことをよく理解している経営者は決して多くはありません。

それまで見えなかったものが見えるようになれば、経営者としては大助かりです。

システム化の大流行の中で、システム屋のほうがより経営に近い立場にいました。

そんな環境の中でシステム屋主導の一気通貫の倉庫管理システムによって、それまで個別の業

務で築き上げられたやり方・技術が効率化の名のもとに追いやられました。


早めに大規模な情報システム化に取り組んだ企業はほとんど失敗しました。

それもかなり大きな失敗もしました。

システム化したのに想定通りに出荷できない、徹夜しても間に合わないようなことも起きました。

しかし、この失敗によってどうやったら失敗するかを学びました。

そして同じ失敗を繰り返さないようシステム化についての経験を積んできました。

資金力のある企業ほど数多くの経験ができたことは言うまでもありません。


その結果、在庫管理システムは実際の業務を規定してはいけないことがわかってきました。

「この在庫管理システムを導入するから入荷業務のやり方をこのように変えてください」はやっては

いけないのです。

在庫管理システムは物が動いたときにデータが吸い上げられればそれだけでいいのです。

倉庫の業務を効率化・コントロールするためには別の仕組みでやるべきことに気が付いたのです。

それが倉庫業務システム(ウェアハウス・コントロール・システム=WCS)です。

WMSは在庫管理と倉庫の業務管理の両方をやろうとしたので失敗したのです。

在庫管理システムはSAPを代表とする様々なERPに付帯しています。

それで十分なのです。

必要なデータはWCSからすべて提供できるのです。

WCSは倉庫の物が動く業務単位に存在します。

業務上手で入力してもいいわけです、完全自動化でコンベア+ラベリング+スキャニングでもいい

わけです。

自動倉庫でもいいわけです。

それぞれの業務に対して一番効率の良い方法を模索し、その結果をデータとしてとらえられれば

いいのです。

そしてWCSによって倉庫管理者は業務ごとの生産性を把握することができます。

人の配置を変えたり、作業量を調整したりすることによって倉庫の業務管理をするのではなく、業

務のコントロールをするのです。


よほど遅れている企業を除いてほとんどの企業はこの段階にあると言えます。

もちろんいまだにWMSの導入を検討している企業があることも事実ですが。

物流センター・倉庫の効率の良い安定した運営は物流の基本です。

物流センター・倉庫を中心に物流が動いています。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)という日本になじまないシステムに躍らされることなく、この

先の選択を誤らないでいてほしいと思います。

たぶん投資力のある企業が同じようにSCMに取り組んで、いろいろな経験をもたらしてくれると思

います。


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