2015年3月17日火曜日

お母さんになるための日本語(3)・・・日本語の感覚

子どもが生まれてから、子どもに伝える言葉に気を付けようとしても、日々の育児の多忙さのなかで言語を意識して使うことはほとんど困難なことになってしまうのではないでしょうか。

どうしても日常的に使っている言葉が出てしまうことになります。

しかも幼児期は、母親の言葉を聞き分ける力が本能的にありますので、直接の語りかけや触れ合いだけでなく、離れたところであっても母親の言葉を聞き分けてしまいます。


そのためには、子どもが生まれる前から日常的に、子どもに伝えるべき言語を意識して使って習慣化しておかなければなりません。

生まれてから、このような言語を使おうと思っていても、実際には普段使っている言語しか使えなくなってしまいます。

育児の多忙さは、精神的にも大きな負担となって母親にのしかかってきます。

子どもとの直接的な触れ合いは、そのほとんどが母親の役割となりますので、それ以外の家事に関することなどで家族のサポートを得られるようにしておきたいものです。


母が日々心穏やかに暮らして子どもに接することが、子どもの安心安全の状況のためには一番大切なことになります。

母親が心の平静を失っている場合には、子どもはそれを感覚として受け止めてしまいとても不安定な状態になってしまうのです。

心穏やかな状態を維持して子どもに接することで、絶対的な安心安全の環境を初めて作ることが可能になります。


子どもの健全な発達のためには、何と言っても母親との間のこのような信頼関係が大前提となります。

その次に、大切になってくるのが五感を使ったあらゆるコミュニケーションです。

その中でも、直接的な触れ合いと語りかけは最たるものとなります。


言語による特徴は、その言語を使う人において現れます。

そしてその特徴は、4歳までにどの言語で育ったかによって決定してしまうことが半世紀以上も前には解明されています。

その言語が母語と言われるものなのです。


日本語は、他の言語と比べた時に直接の言語以外の感覚を多く求められるものとなっています。

人を理解することにおいて、「一を聞いて十を知る」や「行間を読む」「以心伝心」など、非言語による理解を前提としていることもある言語となっているのです。

そのためには、日本語が持っている基本的な感覚までも言語を通じて伝えていかなければならないのです。

日本語の持っているこの感覚は、日本語話者でなければわからない感覚であり、歴史文化のなかで「古代やまとことば」より受け継がれてきた感覚ということができます。

つまりは、その頃より受け継がれている言葉や文字にその感覚が多く含まれていることになります。


海外の新しい文化や技術を取り込んで作られた言葉や外来語には、日本語の言語外の基本的な感覚があまり含まれていないことになります。

そうは言っても、明らかな外来語はさておき、日本語に翻訳されて定着した言葉と昔ながらの言葉との区別は簡単には尽きません。

そのために、先回も指摘した「現代やまとことば」として、ひらがなと訓読み漢字による表現を心掛けていただきたいのです。


ひらがなは、漢字から生まれたものですが、そのもととなる音は文字のない時代から存在した「古代やまとことば」から受け継がれているものです。

「古代やまとことば」を文字として表すために、漢字の音を利用してひらがなが生み出されたのです。

新しい文化や技術は、ほとんどが漢字の音読みの熟語として作り出されたものです。

したがって、音読み漢字の熟語を本当に理解できているかどうかは、その言葉をひらがなと訓読み漢字で言い換えることができるかどうかですぐに分かります。


試しに、身近な言葉でやってみてください。

自分では理解していたつもりでも、いざとなるとなかなか出来ないものがたくさん出てくるのではないでしょうか。

特に、明治維新以降に造られた和製漢字と呼ばれるものは、当たり前に使っていますが、ひらがなで言い換えるにはとても難しいもののとなっています。

例えば、権利、義務、自由、保障、検証、哲学、論理、などはひらがなにうまく言い換えられますか?

すんなり、ひらがなで言い換えることができる言葉は、しっかりと自分の言葉として理解しており人にも説明できるものとなっている言葉です。

どんな言葉でもひらがなで置き換えるためには、その言葉が持つ感覚までも理解することが求められるのです。


狭い国土の中でも人が住めるエリアは本当に限られた部分しかない日本は、どこにいても生きていく環境がほとんど同じようなものであり、その感覚においても、侵略されたことのない単一民族として言語同様にかなりの共通性を持っています。

同じ言語を使いながらも、あまりにも広い地域に分散して生活環境も大きく異なっており、数多くの侵略によって生命の危機を繰り返してきた中国のような国では、言語に対する感覚も地域によってかなりの差が存在してしまいます。

同じ中国語とはいっても、その言語の感覚による違いが方言に現れており、方言の数は数えきれないほどとなっています。

日本の方言とは異なり、方言が異なるとほとんど意味が通じない状況となっています。

文字にした時に初めて通じるものとなっているのです。


また、「現代やまとことば」はひらがなと訓読み漢字で構成されますので、音としてはすべてがひらがなになります。

ひらがなは、日本語の共通語として国語の最初に身につける、日本人であればだれもが同じ理解ができる言語です。

ひらがな言葉で表現をし理解をすることが、日本語としての一番基本的なものとなるのです。


幼児との会話においては、誰でも自然とひらがな言葉が多くなります。

一方で赤ちゃん言葉となってしまうものもあります。

無理に赤ちゃん言葉に合わせる必要はないのです。

母親が「現代やまとことば」で語り掛けてあげることが、子どもに日本語の基本的な感覚を伝承していくことになるのです。


ぜひ、子どもが生まれる前に「現代やまとことば」に慣れていただきたいと思います。

出来るならば、「現代やまとことば」で日記などを書いていくといい習慣ができるのではないでしょうか。

わずか、3~4年の間で子どもの知的活動の基本が決まってしまいます。

せめて、できる限るのことはしておきたいですね。



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