2015年2月19日木曜日

デジタル言語とアナログ言語

言語の特徴を表す視点の一つとして、デジタルとアナログという考え方があります。

この視点から見ると、日本語の特徴がさらに鮮明になってくるのではないでしょうか。

言わずもがなではありますが、英語はデジタル言語となります。

そのために、コンピュータ言語として使用するのに適しているともいうことができます。


それに対して日本語は典型的なアナログ言語ということができます。

デジタル言語を母語として持つ者から見ると、その曖昧さや感情よりの判断は不正確さにつながり不快なものとなります。


デジタルとアナログは決して対極にある反対の概念ではありません。

それはデジタルという概念が生まれてきた背景を考えてみればわかり易いことではないでしょうか。

デジタルという概念は、人の持っている基本的なものの見方の中から生まれてきたものであり、基本的なものの見方そのものではありません。

つまりは、アナログという概念や言葉が存在しなかった中で生まれてきた、Yes or Noの概念がデジタルです。

デジタルという概念が生まれたことによって、それまでのものに対する概念としてアナログという言葉があらためて再定義されたのです。


つまり、批判を恐れずに言ってしまえば、デジタルはアナログの概念の中のから生まれてきた、アナログの一部であると言うことができます。

アナログ側からはデジタルを理解することも受け入れることは可能ですが、デジタル側からは不可能だということができます。


デジタル言語においては、明確な論理と正確さが求められます。

何らかの基準においてYes or Noをはっきりさせなければなりません。

状況によって選択の結果が変わるような場合であれば、その変化する元となる状況をすべて拾い出して条件設定する必要があります。

そうしなければデジタルにならないからです。

デジタル言語を母語として持つ場合は、言語そのものがこれらの感覚を持っていますので、意識せずに行われているものとなっています。

そして自然にデジタル言語によって表現されていくものとなっています。

そこでは、どんな条件下においても必ずYes or Noで選択できるものに対して評価を置くことになります。


アナログ言語においては、表現そのものに無数の表し方が存在します。無限と言った方がいいかもしれません。

更には、表現されていないものまでが言語感覚として存在することになります。

そこにはデジタル的な要素もたくさん含まれており、デジタル的な表現をすることも可能となっています。

ただし、持っている感覚としてデジタルに寄りすぎた表現には不自然さや違和感を感じるようになっていると思われます。


アナログ側からはデジタルを理解することができますし、表現することができます。

アナログ言語とデジタル言語がぶつかる場合においては、アナログ言語の側がデジタルに合わせる方が上手くいくのはこのためです。

デジタル言語でなされた表現は、わかり易い論理と正確性に満ちていますので、理解することにおいてはとても優しいものとなっています。

ただし、アナログ言語を母語として持つ者にとっては、理解しやすと受け入れやすさとは異なったものとなっていますので、理解したから受け入れるとはならないのです。


アナログ言語の感覚では、確立した個ではなく、変化し続ける環境条件のなかで適応するために変化し続けている個が存在している感覚となります。

デジタル言語の感覚は、環境も自己も含めてある瞬間を切り取ってそこで固定したものとして捉えています。

それによって正確さを求めています。

変化流動し続けている環境や対応のある場面を切り取って対象としているのがデジタルの感覚ではないでしょうか。

したがって、その瞬間における固定されたものとして明確な論理と正確性を追求することができます。


アナログ言語の感覚は、常に変化し続けている環境や対応を意識していると思われます。

瞬間を切り取ったものに対しても評価の視点としての価値は認めていますが、本来の姿は常に変化しながら流れていくものという感覚があります。

決して瞬間を切り取ったものがすべてではなく、ほんの一部にすぎないことを感覚として持っていると思われます。


完全なデジタル言語も、完全なアナログ言語も存在しないと思われます。

デジタル言語の感覚で言ってしまえば、すべての言語をこの二つで分類できるということになるのでしょうが、アナログ言語である日本語の感覚で言いますと、よりどちらかの特徴を強く持った言語であるかということなります。

その中でも、日本語はかなりアナログ側に寄った言語であり、英語はかなりデジタル側に寄った言語であるということができるのではないでしょうか。


歴史の長い言語がアナログ言語であるかと言うと、決してそうではないこともわかります。

中国語は現存する言語の中で最も歴史が古いものとして、ギネスブックにも掲載されているものですが、感覚的にはかなりデジタルに寄った言語となっていると思われます。

その中国語を導入して作られた日本語が、かなりアナログに寄った言語であることも面白いことではないでしょうか。

それだけ日本語は独自性と特殊性を持った言語だということができるのでしょうね。




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