2014年9月7日日曜日

戦争と言語

戦争によって言語が受ける影響は、決して小さいものではありません。

ましてや、戦争に負けたりしたら、言語そのものも戦勝国の言語に変わってしまう可能性すらあります。

何よりも、軍隊における指示命令において、言語の果たす役割はとても大きな役割があります。

短い言葉で、誰もが同じ行動がとれるようにならなければなりません。


同じ行動をとるときにも、一言で伝わる場合と二言・三言で伝わる場合では、極端な場面では生き死にの分岐点になることすらあります。

そのめに、軍隊においては指示命令に使われる言葉は、厳格に一つの言葉に一つの意味が決められています。

そのために誰が発しても、誰が受けても、誤解がないように、使用できる言葉も限定されたものとなっています。


どんな言語であっても、戦時の軍隊における言葉は同じような性格を持ったものとなっています。

徴兵制度のある国では、ほとんどの男子が一定期間軍隊に所属することになりますので、一般言語の中でも軍隊用語がよく見ることができます。

特に、企業経営や現実の組織運営においては、理想的な組織として軍隊を想定することも多く、言葉にしても軍隊用語が多く使われています。


少しでも早い作戦展開行動のための徹底的に効率化された軍隊は、企業の活動のための組織の見本とされていることがよくあります。

そこで使用される軍隊用語は、組織への従事者にとっては業務命令として徹底されることになります。

組織に属している人間のすべての人が、一言で全く同じ行動を採ることができるものです。


一つの言葉に一つの意味しか持たせないということは、言葉に対しての誤解がないということになります。

起床、洗顔、整列、敬礼、番号、朝礼、行進、、、


戦後は、軍隊経験者がほとんどのなかで、軍隊用語による企業経営が行なわれました。

その効率の良さは大規模製造業において大きな効果を発揮しました。

軍隊に近い組織階層が形成され、決まった行動の中での効率を高めることに適していたからだと思われます。


戦争を経験し、軍隊が力を持つと、言葉が短くなり正確さが求められるようになります。

日本語においては、先に見たように音読み漢字の二文字熟語が氾濫することになります。

「ひらがな」のもっている優しさや広い意味とは反対の正確さのある言語が求められます。


軍隊での用語は、それぞれの国の言語で存在していますが、効率化された軍隊の行動はどこの国の軍隊でも大きな違いはありません。

使っている言葉こそ異なっていますが、そこで伝えられている命令の中身はほとんど同じようなこととなっています。

帝国と名をはせたような国々における軍隊の行動レベルは、どこの国であってもほとんど変わらないものと言っていいのではないでしょうか。


しかも、軍隊用語は一言葉に一意味で対応していますので、間違えようがありません。

戦後しばらくは、海外との交渉においてわかりにくいことがあれば、軍隊用語を使うとお互いに理解しやすいと言うことがあったそうです。

国には違っても、軍隊における活動はほとんど同じような事だったことから、共通語的な役割を持っていたと思われます。

文化や経済や歴史や言語は違っていても、軍隊としてはほとんど同じようなことをやっていたということになります。


現代では、軍隊経験は一般社会では役に立つようですが、国が違うと軍隊のレベルが違いすぎるので共通言語とならないことの方が多いようです。

細分化された組織と高度に発達した電子技術によって、国による軍隊のレベル差は、一般社会における文化や言語の差よりはるかに大きなものとなっているのです。

むしろ、一般社会よりもはるかに多くの専門用語が使用されている組織となっています。


二度の世界大戦を経験した世界は、戦後の対応においても、勝った側においても敗けた側においても、同じような環境が大きな部分を占めており、それが戦後の立て直しの原動力となりました。

特に軍隊という組織と経験は、言語の面でも決して悪いことだけではなかったと思われます。


言語戦争と言う言葉を聞いたことはありますか?

一つの国のなかで、使用言語のグループがいくつかあることによって、政治的・社会的に対立している関係のことです。

国の一部が植民地化されていたりするとあることが多いようです。


カナダはフランスの植民地として開拓されてきましたが、その後英仏戦争によってイギリスに譲渡された歴を持っている国です。

英語話者とフランス語話者という二大グループを抱えていることになります。

国レベルでは両方の言語を公用語として認めていますが、州としての公用語は各州に任せられています。

フランス語話者の多いケベック州では、公用語はフランス語のみとなっていて、今でも分離独立の運動が続いています。


自分の国の問題ではない、宗主国同士の勝手な領地の譲渡や売買で、言語が消えていったところもたくさんあります。

植民地を含めて戦争による言語の影響は、とても大きなものだったと言うことができます。

悪いことばかりではなく、戦争が言語の与えた良い影響もあったことにも目を向けておきたいですね。




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