2014年9月6日土曜日

日本語の行方

日本語の特徴を見てくると、世界の言語のなかであらゆる面で孤立した言語であることがわかってくると思います。
(参照:気づかなかった日本語の特徴

現在において、日本語を日常的に使用している国は日本しかなく、日本語の母語話者の人口も日本の人口しかいません。

世界中で、日本語を日常的に使っているのは日本人だけです。


他の言語においては、公用語として定められている言語も多くあり、世界の10大言語と言われる言語のなかで、孤児と言われるのは日本語だけとなっています。

母語話者としての人口の多さが、言語の持つ影響力としては一番のものになりますが、公用語としての影響力も見逃すことはできません。

どの言語を母語に持っていたとしても、母語で考え母語で意見を述べることが一番自然に伝えることができます。

特に国際間において、異なる母語話者同士の交渉においては、共通語が必要となります。


交渉ごとにおいては、母語を使えることが圧倒的な優位を持つことになります。

異なる母語を持つ者同士の交渉であっても、それぞれの母語と異なる共通語をわざわざ設定することはめったにありません。

どちらかの言語での交渉となり、通訳がつくことが一般的になります。

国際機関の公用語においては、熟練した通訳が就いていますので、公用語となっていることの意義は大きなものがあるといえます。


上の票は、主な国際機関や地域機関における公用語を調べたものです。

どこを見ても日本語はありません。

公用語である限りは、機関の側で通訳を用意する必要があります。

そのために公用語の翻訳者は常に用意しておかなければなりません。

常に誰かが翻訳を学んでいなければならないので、言語に対しての研究が途切れることはありません。


一方、どんな機関においても公用語でもなく、自国民だけしか使用していない言語は、その存続が危ういものとなっていきます。

世界的に見たら、敢えて交渉をする場合、しかもこちらが下位の立場で交渉する場合にしか、公用語ではない相手の言語を使用する可能性がないことなります。

更に、その言語が身につけるにはとても面倒な言語だとしたらどうでしょうか。

ますます存続の危機が強まるのではないでしょうか。


日本が世界に対して誇れるものがたくさんあり、世界中の国から日本へと人がやってくる状況であれば、彼らにとって日本語を身につける価値は大いにあることでしょう。

今の日本に、海外から人を呼び込むことができる技術やサービス・商品はどれだけあるのでしょうか。

呼ぶ込むことよりも、海外に出かけていっての交渉の方がはるかに多くなっていないでしょうか。


日本の人口が減っていくということは、日本語を使う人が減っていくことです。

日本語の特徴で見てきたように、日本語は人の知的活動を行なうためのツールとしては最高のものです。
(参照:思考するための最高の言語:日本語

文字のない時代よりの言葉を受け継ぐ言語として貴重な言語となっています。

世界の言語のうち、10以上の言語が毎年消滅していっていると言われています。


他の国で使用されることがない、公用語として認められることのない言語としての日本語は、私たち日本人が意識して残していかないと守っていけない言語です。

海外と接する機会は、ますます増えていくことでしょう。

自分では意識しないうちに海外と接触していることもあるでしょう。

日本の文化伝統や精神文化はすべて言語がベースとなっているものです。

そのことを知ったうえで、日本語の素晴らしさを、世界に対しても理解してもらう必要があるのではないでしょうか。


日本語について研究をしてきた海外の学者の中には、言語としての能力の高さに惚れ込んでしまい、自分の子どもの母語を日本語として育てた人もいるくらいです。

文化的な機関が望ましいと思いますが、アジアで日本語を公用語とする機関が設立できるといいですね。

そこからの発信が、世界中の注目を集めるようになれば、日本語に対する関心も広がっていくのではないでしょうか。


英語はもはや、世界の公用語といってもいいものです。

英語で理解してもらえることは、国際交渉上では必要なことになっています。

しかし、日本語を母語に持つ私たちは、基本的には英語で思考することができません。

あくまでも日本語で思考したものを、英語に翻訳する行為が必要になります。


英語に翻訳するための日本語の表現があります。

通訳を立てても、日本語の感覚だけしかない人が伝える日本語は、英語の感覚にはなりにくいものです。

英語の特徴を分かったうえで、英語に翻訳したときに理解しやすい形で日本語表現することは可能なのです。

中途半端に自分で英語を使うよりも、このようにして通訳に入ってもらった方が、はるかに現実的なのです。


本当に相手に理解してもらおうと思ったら、相手の言語で表現しなければなりません。

そのためにはしっかりした日本語が身についてから、日本語で英語の感覚を理解できるようになってから英語を学ばなければなりません。

そうなると、中学生くらいからが理想的となるのでしょうね。


幼児期に英語を教え込むことは、日本語を失うことにつながります。

貴重な日本語をわざわざ自分から失わせる必要はないと思います。

知的活動のための最高のツールをしっかり身につけてから、英語の感覚を学べばいいのですね。


日本語を母語に持つ人は、他の言語の習得において圧倒的な短期間で身につくそうです。

言語としての日本語がとても大きなものだから、それに比べたらどんな言語であってもに身につやすいということのようです。

せっかくの日本語です、これからは存続についても考えていかないといけないですね。



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