2014年7月10日木曜日

学習するのが難しい言語

ひと言で学習するのが難しい言語と言っても、もともと持っている言語によってそのむずかしさが変わってきます。

英語をネイティブ(母語ではありません)とする人にとって、学習することが難しい言語についての研究が行われました。

アメリカの防衛言語研究所( Defense Language Institute )という機関で研究者によってランク付けが行なわれました。


その結果は4つのグループ分けとして発表されています。

第1グループは習得が簡単な言語群として、アフリカーンス語、フランス語、オランダ語などが挙げられています。

第2グループは、第1グループよりやや習得が難しいものとされていて、ブルガリア語、ドイツ語、ギリシャ語などとなっています。

第3グループは、第2グループよりもさらに難しい言語として、ロシア語、現代ヘブライ語、トルコ語などとなっています。

第4グループは、世界で最も習得が難しい言語群として、アラビア語、中国語、日本語、韓国語の4つが挙げられています。


第4グループに属する言語の共通性は、音声文字だけでできていない言語であることです。

それ以外の言語に使用されている文字は、発音のための記号的な機能となっており、発音を聞きいただけで意味が分かる音声言語となっています。

第4グループの言語については、音だけではわかりにくい部分が出てきます。

また、同じ文字であっても複数の音が出てくるものもあり、文字を認識しないと意味を確認できないものがあります。


アラビア語の場合は、文字の一部に象徴的な部分があり、その部分が理解できないと意味が分からないものがあります。

中国語は、文法は英語よりも単純なのですが、漢字そのものが表意文字であり、なおかつ文字頼みとなっているために、同じ中国語とはいっても多くの方言としての発音が存在するために、音声だけでは理解できないものとなっています。

韓国語は表音文字ですが、その音を示す記号である文字が複雑な構成をしており、理解するのが難しくなっています。

第4グループの言語群は世界のメイン言語である英語との文字、語彙、文法のどれをとっても共通性が少ないために取り組みにくい言語となっています。


いずれにしても、第4のグループにある言語を使いこなすためには、英語をネイティブとする人達にとっては、今までに使っていなかった能力が求められるところがあります。

このことについて、イスラエルのハイファ大学の科学者たちが行なった実験があります。

右脳と左脳が言語によってどのように機能しているのかという実験です。


ネイティブで英語、ヘブライ語、アラビア語を話す被験者グループに音としての言葉を聞かせた時と、文字を見せた時の脳の活動域を確かめたものです。

音としての話し言葉については、どの被験者も同じように左脳の言語中枢が反応していたという結果が得られました。

文字の見せ方は左右のスクリーンに、意味のない単語のつながりの同じ文字を映し出して、片方ずつ見えなくすることを行いました。


英語、ヘブライ語の被験者は、左右のスクリーンに同時に映っていようとも、どちらか片方しか映っていなくとも変わらずにその単語を認識しました。

アラビア語の被験者は、左右の両方のスクリーンに映っている場合は、他の被験者と同じように認識したのですが、どちらか片方しか映っていない場合には、認識できないか、できたとしても両方が見えていた時よりも時間がかかることがわかりました。

これによって、左右の脳の両方が同時に活動していることが分かったと指摘しています。


実際にはもっと詳細な実験であったと思われますが、持っている言語によって脳の機能の仕方が異なることが確認された実験です。

左右の両方の脳の活動が必要な言語を、ほとんど片方(左脳)しか使っていない人が使いこなすことは不可能であるといってもいいでしょう。

反対に、両方の脳を頻繁に使っている言語を持っている人が、言語中枢のある左脳だけで使いこなせる言語を身につけることは、比較的簡単にできることとなるでしょう。


日本語と中国は、世界で唯一の表意言語である漢字を使っている言語です。

漢字は、発音よりもその姿かたちに意味がありますので、文字としての存在意義が大きな文字となっています。

私たち日本人が、日本語の本(漢字かな混用文)を読んでいるときには、脳の両側が活動をしていることがわかっています。


メリカ人が、英語の本を読んでいるときは、ほとんど右目しか使っていないことがわかっています。

右目はメインは左脳に対しての入力器官となります。


文字の少ない、漫画という表現方法において、圧倒的に日本人が世界をリードしている理由もなんとなくこの辺が関係しているのかもしれませんね。

この能力は、持って生まれたものではありません。

これも実験がなされています。

生まれたばかりの子どもは、どこに生まれたとしてもその機能においてはほとんど差がないことがわかっています。

日本人の子どもでも、生まれてしばらくは英語「L」と「R」の区別がつくことがわかっています。


幼児期の4歳頃までにどの言語で育ったかによって、機能が作られてくることが認められています。

いわゆる「母語」によって形作られていくものです。

日本語を持っていることの素晴らしさは、こんなところにも出ているのですね。


そのおかげで、日本語を身につけるためには、他の言語の何倍もの苦労を伴っています。

ロシアでは日本語を学ぶことについて、以下のように言われています。


たとえば、日本では、子どもたちは12年間、学習を続ける。

この12年間の間、日本人の子どもたちの学習の主軸となるのは、主に「数学と日本語」だ。

この12年間のうちに日本人学生たちは、約 1,850個にものぼるヒエログリフ(ここでは、「漢字」という意味だと思います)についての知識を何度もテストされ、それを習得しないと学校を卒業することができないのだ。

日本語の新聞を正確に読むためには、さらに 3,000個のヒエログリフを覚える必要がある。


現在の常用漢字が2,136字ですので、さらに3,000字というのは大げさだとは思いますが、感覚としてはそのように受取られているのだと思います。

始めから、何も意識することもなく親からの伝承言語として身につけた日本語には、自分たちが気付いていない特徴がまだまだ沢山ありそうです。

どうやらそれを教えてくれるのは、海外の研究者たちのようですね。

もう少し日本語についてアンテナを張っていてもよさそうですね。




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