2014年5月22日木曜日

子どもを持つ前に見直したい日本語

人のコミュニケーションの大部分が言語によるものであることは疑いのないことでしょう。

社会で自力で生き抜いていくために必要な、一番基礎的な能力がコミュニケーション能力だと言われています。

一人で生きていくことができない以上、間違いのないことだと思います。

したがって、人が社会で生き抜いていくために必要な基礎力は言語能力であると言うことができるでしょう。


個人の言語は次の三つの言語から出来上がっているようです。

  1. 母語・・・幼児期に主に母親から伝承される言語
  2. 学習言語・・・知識を身につけるために必要な共通語、国語
  3. 環境言語・・・所属する社会で使用されている専門的、一般的言語

それぞれの言語の習得時期を見てみましょう。

母語・・・生まれてから5歳頃まで
学習言語・・・6歳頃より義務教育期間(基礎は10歳頃までに習得)
環境言語・・・学校以外に属する社会が定まってきたころ

きれいに段階としてステップがあるわけではありませんが、次のようなことで区切りがつけられるのではないでしょうか。

学習言語(国語)を学び始める前の幼児期言語、
辞書・辞典等を使って自分で学習できるようになるようになるまでの学習言語習得基礎、
学習言語の強化とそれによる知識習得のための学習言語後期、
学習言語による知識習得後の社会生活言語。

両親が日本人であり日本語でずっと育ってきた人にとっては、こんなことは考えたこともないことだと思います。
社会に出て海外との交流・交渉の必要でもでてきた時に、初めて言語に興味を持つくらいではないでしょうか。


それぞれの国において、それぞれの国語で教育が行われ、それぞれの母国語で社会で生きていけていた時には、母語を意識することなどなかったと思います。

他の国の情報や言語に触れる機会がどんどん低年齢化し、自国の言語以外の言語を使う可能性が高まってきました。

場合によっては、幼児を連れて自国の言語以外の環境での生活をすることも出てきました。

義務教育から等しく始まる国語の学習において、それ以前に身についている言語の影響の大きさから発見されたのが母語ではないかと思います。


ですから、母語に対する警鐘は国内ではほとんど見ることができません。

海外生活を送る幼児の親に対しての警鐘が、メインとなっています。

リンク先の海外子女教育振興財団のパンフレットがその典型と言えるでしょう。
(参照:母語の大切さをご存知ですか? 海外子女教育振興財団)


このパンフレットを読むと、海外での母語習得のための環境に気をつける内容で書かれていますが、同じような環境が日本国内でも起きているのではないかと思います。

しかも、子供の将来のために良かれと思い込んで、親が使えもしないのに英語の環境を作ったりしています。

母語については、新しい発見やアイデアが出るたびに触れてきていますので、その特徴についてはここまでわかってきた「母語」で確認してください。
(参照:ここまでわかってきた「母語」


母語の習得で一番大切なのは母親です。

母親の持っている言語が、母語として伝えることができるMAXです。

子どもが生まれてからの母親は、人生で一番大変な時間を過ごします。

その期間が、母語の習得機関とダブってしまうのです。


育児をしながら、考えながら母語を伝承していく余裕なんかありません。

よほど周囲の理解とサポートがなければ、ストレスから解放されることはほとんどない日々が続きます。

自分の使っている言葉に気を使っている余裕なんかありません。

不平、不満に対する愚痴や文句は思わず口に出ることでしょう。

赤ちゃん言葉で子どもに愚痴を言ったりすることもあるでしょう。

その言葉が子どもに伝わり、母語として子どもが身につけていきます。


幼児に言葉の選択なんかできません。

母親の語りかけを、普段の言葉を、母親が誰かと話している言葉を伝承していきます。

これが母語となって、その子の生涯の基礎言語となっていくのです。


子どもができてから、母語のことを考えても対応は難しいです。

子どもができる前に、日本語について興味を持っておくことが大切ではないでしょうか。

そして、母語について知っておくことが大切ではないでしょうか。


私が母語という言葉に出会ったのが約7年前です。

少ない資料のなかで理解を深め、周りに母語について語り始めたのが3年位前からです。

その頃に幼児を持たれていて、私の話を聞いていだいたお母さんの子どもが小学生になっています。

この先はまだわかりませんが、国語は好きなようです。

それ以上に、言葉に興味を持っていろんなことを聞いてくるそうです。

言葉と物が一致してくる頃であり、何でも確認をしたがる頃ではありますが、ほかの子どもに比べていろいろなことに対する好奇心が強いようです。


お母さん自身が幼児期の母語について知ったことによって、安心して幼児期を送れたことを喜んでいました。

幼児教育で余分なお金を掛けないですんだことも喜んでいました。

そして、できれば子どもが生まれる前から知っていたら、子どものためにもっと良い環境を作ってあげられたとも言っていただきました。


わかっていても実際に子どもを持ってからの日々は、毎日が大変なことになります。

その前に、お母さんになる予定がある人が日本語に興味を持ってもらうことが一番大切なことだと思います。

その中で母語について知っていってもらうことが、この世界に誇る素晴らしい言語を継承していく道ではないでしょうか。


わたしの今までの母語についての発信は、幼児の母親に対象を絞りすぎていたと反省しています。

もっとより積極的に広く、日本語に対する興味と母語に対する理解を深めてもらえるような活動をしていきたいと思います。

一声かけていただければどこへでも言って話そうと思っています。

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