2013年12月24日火曜日

素晴らしきかな日本語

日本語の素晴らしさについては断片的に何度も書いてきました。

時々、日本語にはどんな特徴があるのか聞かれることがありますが、その都度ダラダラと話している自分に気づきました。
自分の頭の整理を含めて、一度その特徴についてまとめておきたいと思います。



何かの機会にもっと適切な表現や特徴が見つかる可能性がありますが、現時点でわかっていることで表現してみたいと思います。
  1. 世界の他の言語のどれとも系統を共有しない孤立した言語であること。母音を主体にした言語としてはポリネシア語が唯一の仲間と言える。(母音語族)
  2. 日常の使用言語に表意言語(漢字)と表音言語(かな)が混在する。
  3. 2000年の伝承された言葉を含む、日常の使用表記文字が4種類(ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット)もある。
  4. 日常使用の語彙数が世界で最も多く、最も表現方法の多い言語である。
  5. すべての分野を通して翻訳本が一番多い言語である。
これらの特徴が現実的にはいろいろなことに現象として表れています。

それぞれに具体的にどんな影響を与えているのかを見てみたいと思います。
こちらの方がわかり易いのではないでしょうか。

1.は幼児期の専用の言語(母語)として日本語を選択した時からその特徴が表れてきます。
他の言語の子音言語族と比べて、幼児期から日本語を身につけることによって脳の感知機能が異なってきます。

風の音や虫の声といった自然の音に対して、言語として感知する脳の機能を持つことになるのです。
これに近いのは同じ母音語族のポリネシア語だけであり、他の言語では風の音や虫の声は機械音と同じ雑音として感知します。

日本人の自然現象に対する感覚が、他の国の人たちとことなるのは、ここにも原因があるのかもしれません。



2.の表意文字と表音文字が混在する言語は日本語以外には存在しません。
そもそも文字を2種類以上もつ言語自体がほとんどありません。
身近なところでは、韓国(漢字とハングル語)くらいでしょうか。

表意文字は、書いた場合にはその意味するところが明確になり文字としての優位性が際立ちます。
表音文字は、話し言葉として使用される音を表記したもので文字としての意味はありません。

通常言語はどちらかの特徴に偏りますが、日本語においては話し言葉でも書き言葉でも同じように伝えることができる機能を持っているのです。

表現の多様さはこんなところからも来ているのですね。


3.の表記文字の多さは、その時々の最先端の文明を独自の文化に取り込んできた歴史を示すものです。

特筆すべきは、漢語による中国文明を取り込んだ時に、その言語をもとにしながら独自言語として存在していた「やまとことば」を表記する「かな」を生み出したことです。

結果として、独自言語を「かな」で維持伝承しながら、中国文明、ヨーロッパ文明、アメリカ文明を「漢字」、「カタカナ」、「アルファベット」で取り込んできたのです。

世界のあらゆる最先端の文明を取り込みながらも、それによって独自の言語を消滅させていない唯一の言語と言えると思います。


その結果が4.5.に表れています。

4.の日常の使用語彙の多さは他の言語に比べてずば抜けています。

ネイティブ同士の会話の90%を理解しようとすると、フランス語では2,000語、英語では3,000語を理解で出れば可能だというデータがあります。
同じ条件で日本語を理解しようとすると10,000語が理解できていないと不可能だとされています。

結果は、日本語を使いこなせるようになるのは大変難しいということになります。
話す言葉については「ひらがな」と一部の「漢字」さえ覚えれば、何とかできるようになりますが、書かれたものを読みこなせるようになるには、日本人でも大変です。

日本語が会話は難しくないが、読み書きになった途端に世界でもとんでもなく難しい言語になってしまうと言われる理由がここにあります。


5.の翻訳本については、世界中の最先端の文明を取り込んできた歴史の賜物です。
日本は地理的な問題もあって、ほとんどの文明を書物で導入し、それを読み解くことによって吸収してきました。

あらゆる分野にわたり、専門性の高いことから一般的なことまで膨大な量の翻訳本が存在します。

インドや韓国の学生が日本語を学びたい動機の中に、世界中の翻訳本の多さがあります。
彼らの国では最高学府の一部の人しか触れることができない資料が、町の本屋の棚にあふれているのが日本です。

向学心に燃える彼らは、はるか遠くのアメリカやヨーロッパではなくて、日本において現実的な世界の最先端の文化・技術を学べることを知っているのです。


以上みてきたように、これらの日本語の
特徴は見方によっては決してメリットだけではありません。
他の言語と比べた特にデメリットとなるものもあると思われます。

しかし、
4.や5.で見てみたように、日本語の特徴によって得られるメリットを求めて、わざわざ難しい日本語を勉強して身につけようとしている人たちがたくさんいることも事実です。

ある実験データがあります。
日本語を母語として持ち、日常言語として使いこなしている者は、他のどんな言語でもきわめて短い期間で使いこなせるようになるそうです。
年齢は全く関係ないそうです。

大概の場合は、必要に迫られて毎日その言語を使わなければならない環境にあれば、3ヶ月程度で基本的な対応は出来るようです。

反対に、他の言語話者が日本語を使いこなすことは15歳を過ぎた場合には、生涯かかっても無理だと言われています。


他の言語話者の基本言語習得はほぼ6歳までに完了しています。
それ以降は学校教育でも、表現することや議論することの言語技術の習得が中心になっています。

日本では、基本言語習得は10歳くらいまでかかっています。
文字だけで4種類もあるのですから仕方ないですね。

そのあとは、受験戦争まっしぐらですので、基本的に言語技術を学ぶ機会はありません。

せっかくの優秀な言語を持ちながらも、交渉が下手くそなのは、言語技術を学んでいないからですね。

最近、いろいろな人の話の中に言語技術に関連することを聴くことが増えてきました。
多くに人が気づき始めていることなんでしょうね。

もう少し言語技術に目を向けただけで、何かが大きく変わるような気がしているのですが・・・