2013年11月14日木曜日

できそうでできない、見方を変えること

できそうでできないことに見方を変えて考えることがあると思います。
これがすっとできる人は、切り替えることの経験をかなり積んできた人だと思われます。
本人が意識してきたかどうかは別問題です。


私は見方を変えて考えることが、きわめて苦手です。
理由もわかっていますが、環境を作ったりしても相当の労力を使います。
結果として、できない時もたくさんあります。

これからの社会で生き残っていくための大切な能力の一つが、見方を変えて考えることができることです。
これができないと、経験上で作ってきてしまった価値観から離れられなくなりますね。
自分の生活環境や仕事環境が変わった時に、対応できなくなってしまいます。


私の社会人生活は物作りの会社ばかりでした、しかも他社の同等品と比較しても、市場を作ってきたリーダー的な優位性を持った商品がほとんどでした。
物作りの会社は作ったものを販売することで成り立っています。
携わっている人間すべてが売ることの立場から物事を考えています。
営業の部署であれば四六時中、売ることしか考えていないと言ってもいいでしょう。

トレーニングなどで顧客の立場から考えることをやっても、最後の結論と発想は売る立場からのものとなっており、それが当然のことと受け取っていました。
むしろ、顧客の立場からの思考は、売る立場にとって都合の良いことのみを結び付けていた気がします。

売る物の形があった時はまだよかったです。
物の機能の説明、他社製品との機能比較、価格比較、付加機能の価値などが説明できました。
ところが、独立して自分の経験に基づく技術を売ろうとしたとき、売り方が全く分かりませんでした。
今でもわかりません。

経験してきたことは言えますが、それがどんなレベルにあるものなのか、世間的に売り物になるのか、何ができるのかが分かりません。
調べようがありません。
売るべき立場にある者が売る物を分からないのです。
売るものを評価できないのです。困ったものです。

どこに行って誰に何を売り込めばいいのかが分からないのです。
売る立場からの思考しか身についていないから、買う立場からの思考ができないのです。
買う立場ならまだいいですね、見込み客となる立場からの思考すらできないのです。

何度もやってみました、誰かがその業務を頼もうと思った時、自分自身がどう見えるのか。
何度やってみても、途中で売る方の立場になってしまうのです、自分で持っている経験の方に向かってしまうのです。
買う方の視点をそこにもっていってしまうのです。

それまで販売をしていた時に、いかに買い手を見ていなかったか、物だけしか見ていなかったが分かりました。
買い手の立場を勝手に売り手にとって都合のいいように考えていたことがわかりました。
同じデータを見ても、売り手に都合のいい見方しかしていなかったことがわかりました。
売り手にとって都合のいいものを、客観的な顧客や市場の意見だと決めつけていたことがわかりました。

分かったところで、どうしようもないのです。
買い手の立場からの思考しかできなくなっているのです。


どんな人でも、仕事以外のときは一般の消費者です。
買い手以外の何物でもありません。
それなのにどうして売り手側からの思考しかできないんでしょうか。

私自身は物を作る会社において、販売や商品企画のためのトレーニングとしてユーザー思考を指導したこともあります。
それでも、売る立場からの内容になっていたんですね。


このことは、人と何かをやろうとしたときに決定的な欠陥になることがわかりました。
何かをやろうとするからには、自分としてはそれなりの考えを尽くした結論を持っています。
結論に至るまでの時間と思考過程が長いほど、その結論へのこだわりは強くなります。

したがって、少しでも批判的な話になりそうになると、相手の話をさえぎって説得にかかります。
自分の中で根拠に乏しかったり、論理的に結びにくかったりしていると感じているところほど極端な反応として出てしまいます。
言葉は決してきつくなくても、相手を説き伏せる行動をとっているのです。

こうなると、その結論自体が変化することはあり得ません。
単なる押し付けとなります。
何のために人と一緒にやるのかが分からなくなります。


ここを打破すべく、今になって意識していることがあります。
自分と同じように技術的な物で独立して成り立っている人たちを、じっと観察しています。
幸いにも、周りに何人か見つけることができています。

同じような癖を持った人もいます。
反対に次から次へと、小さなジョイントを作り上げて商売にしている人もいます。

私から見て、うまくいってそうに見える人たちに言えることがあります。

まずは、速いです。
起きる時間、行動、レスポンス、判断から結論、これらが速いです。
即断、即決、即レス、即行動です。

次に、自分の意見にこだわりがありません。
信条はこだわりますが、意見にこだわりがありません。
結論を結論と思っていません、仮説だと思っています。
だから、説得をしません。
判断から結論が早いですから、自分の意見を変更したり捨てることを躊躇しません。
常に、持っている仮説をブラッシュアップしようとアンテナを張っていますので、そこに触れるとどんな人の話しでも真剣に聞きます。
完成した結論ではないので、反対する必要もありませんので、人の話をじっくりと聞きます。

もう一つは、とにかくアウトプットをています。
昼も夜も、ほとんど誰かと食事をして話しをしています。
ブログやSNSを使って、自分の意見を発信しています。
仲間を増やす工夫をしています。
話す機会や書く機会を積極的に利用しています。
懇親会の席では、自分で動き回り仲間作りをしています。


買う立場からの思考になりきることは、理屈の上ではわかっていても、やり切れることではないことが分かってきました。
しかし、これができないとこれからの社会で生き抜いていけないこともわかっています。
部分的に見方を変えるレベルではできないこともわかってきました。
買う可能性があるかわからない人になりきって、その人がどう考えるのか、何を欲しがるのか、どうしたいのかを突き詰めていかないと見えてこないことです。

言葉使いも変わってくると思います。
自分としては、見方を変えるためのきっかけになるような、言葉が見つかるといいなと思っています。

何かを持っていて、それを役立たせたいと思う自分から、相手の欲しいことなりたいことに、素の自分が手伝いたいと思えるまでの変化が必要だと思います。

始まったばかりですが、いいきっかけになる言葉が見えだしたら、シェアさせていただきます。