2013年10月18日金曜日

人を動かす言葉

人前で話すことが増えてくると、慣れもありますが、一人一人の反応がよく見えてきます。

100人近い人の前で話していても、一人一人の反応は思った以上に見えるものです。


ボディランゲージというとらえ方があります。

感情が態度に現れるというものですね。

一般的な動きもありますが、同じ感情であっても態度への現れ方は一人ひとり異なります。

この動きをすればこの感情を持っているという、動作から感情を読み取ろうとするやり方は、一般的な統計的には言えるかもしれませんが、特定個人に対しては当てはまらない場合が多いです。

リラックスして人の話を聞いている場合は、感情が動作に出やすくなりますね。



大勢の人の前で話をしていると、会場全体を包む波が出来上がることがわかります。

ほとんどの人が興味をもって前のめりで話に食いついている場合と、飽きている場合では明らかに場の雰囲気が違います。

瞬時に変化することもありますね。


論理的なことや事実の説明をしているときには、場の変化が起きにくいことがわかってきました。

どちらかというと、盛り上がりもあまりなく淡々と流れている感じがします。

メリハリをつけるために強い言葉を入れてみたりしますが、場の雰囲気はあまり変化を感じたことがありません。

絶対に、厳格な、強調すると、極小の、極端な、最高の、などの言葉を使ってもあまり変化しません。


どんなに珍しい事実や極秘の内容であったとしても、事実や論理の説明の内容ではあまり変化しないのです。

ところがその説明の後で「私は、この事実を知った時、震えました。」と加えると、俄然その場の空気が動くのです。

そして、その説明にたいして「分り易く、言い換えると・・・」と進めると、どんどん食いついてくるのを感じることがあります。


分かっていたことですが、人は事実や論理では動きません。

人は感情で動きます。

人は人の感情に触発されます。

事実や理論に対して自分がどう感じたのかを表現すると、聞いている人の感情が動きやすくなります。


人の感情を動かすのは脳です。

脳の判断基準はきわめて単純だと言われています。

「快か不快か」だけです。

快も不快も感じない対象に対しては感情が生じません。

その対象を快と思うか不快と思うかは、個人によって異なります。



万人に共通の「快」と感じることがあります。

それは他の人が「快」と感じている対象に触れることです。

触れた結果、本人が「快」と思うか「不快」と思うかは関係ありません。

いわゆる好奇心です。


ある事実を説明した時に「これは本当に素晴らしいことで、思わず嬉しくなりました。」と加えてみてください。

自分自身の「快」であることを「嬉しい」という言葉を使って、感情表現しているのです。

すると、聴いている人はその対象である事実に触れることが「快」となって来て、話に食いついてくるはずです。

それとともに、あなたの「嬉しい」という感情に触れることによって聞いている人自身の感情が動きやすくなるのです。


話のうまい人、洗脳的な話の得意な人は相手の「快か不快か」の対象を見つけるのがとても上手です。

そして「不快」に大きく振っておいて居心地の悪い雰囲気を作っておいてから、「快」に持っていき一気に引きつけます。

すると、大したことのない「快」であっても、とんでもなく大きな「快」であると勘違いしてしまいます。



セールスは相手に買ってもらうという行動を起こしてもらわなければいけません。

商品説明や特徴だけでは人は動きません。

欲しいと思う感情を生み出さなくてはいけないのです。

その商品の特徴の何が、相手に対して「快」を感じさせることができるのかを見つけなければいけません。


この感情を表す言葉のほとんどが「現代やまとことば」です。

漢字を使っているのであれば訓読みで表現される言葉です。

基本はひらがなで表現される言葉です。

もちろん漢字の熟語で音読みで表現される感情を表す言葉もありますが、数としてはとても少ないです。

人に動いてもらうときのキーワード「現代やまとことば」。

上手に使いたいですね。