2014年6月17日火曜日

ホスピタリティ考

最近しばしば聞く言葉に「ホスピタリティ」があります。

オリンピック招致のプレゼンですっかり有名になり、流行語にもなった「おもてなし」以来注目されている言葉です。

どうやら「おもてなし」を英語にする時に一番ふさわしい言葉がホスピタリティになるらしいです。

「おもてなし」が出てくると必ず思い出す駄洒落があります。

「いやだなそれ、腹黒い奴ばかりだろう。」
「どうして、そんなことないだろう。」
「どうしてって、ウラばっかりなんだろう。」
「なんで、そう思うの。」
「だって、おもてがないんだろう。」

「おもてなし」(表無し)でした。


ホスピタリティ産業と言う区分も現れており、ホテル業、宿泊業、旅行業、などを示し、広義的には教育、医療、福祉などを指すこともあります。

主に人に対しての単なるサービスの提供ではすまない業種のことを指すことが多いようです。

その意味でサービス業とは一線を引いているようです。


よく、サービスとの違いがはっきりわからないと言われており、いろいろな解釈がなされています。

似たような言葉には、サービスのほかにマナーなどもあり、日本語の概念ではその違いが明確にできないために一般的にはあまり広がっていない言葉となっています。

衛生管理や接客業では当たり前のように使われている言葉ですので、オリンピックを前これから広がる可能性は十分にあると思います。


今、ビジネスの世界においてこのホスピタリティが注目され始めています。

どんなことなのか少しのぞいてみようと思います。


まずは、マナー、サービスと比べて何が違うのかを見てみます。

マナーは日本語にすると、行儀作法や礼儀などという言葉で表すことができるようです。

それぞれの環境において様々な作法や礼儀が存在しており、それを破ると嫌われたり仲間として認められなかったりすることになります。

相手に対して失礼になるということから思いつくのは、その社会への通行券とでもいうことができるのではないでしょうか。


サービスは、無償または有償にて提供する物品以外のものであり売買の対象となるものと言うことができるそうです。

主に経済用語として使われているからこのような解釈になるのでしょうね。

サービスについては、受ける者と提供する者の立場が明確であり、奉仕という言葉が示すようにそこには主従の関係を見て取ることができます。

売買の対象とすることによって、買い手と提供者という関係において成り立つものであるようです。

産業分類としても一次産業(農林漁業)や二次産業(製造業)以外を表す三次産業と同義語として使われており、サービスという言葉自体もそれ自体を明確に表す概念は存在せずに、○○以外として規定されていることが多くなっています。

したがって、サービスは一定の条件が整った時の提供を約束するものであり、その提供をしないと不履行として責めを追うものとなるようです。


一方、ホスピタリティとは、一般的には「(心からの)おもてなし」などと解釈されている、対等な関係における相手に対する気遣いのことだそうです。

相手の喜ぶことが自分の喜びと感じられる者による、相手の希望・ニーズを先取りした気遣い行為であると言えます。

したがって、すべてが提供者の思いが発露となっていますので、やってもやらなくとも両者の関係においては何も変わりません。

ホスピタリティの場合は提供とは言いません、発揮するという言い方がなじんでいますので、提供する側が自らの意志として行う行為であり、提供される側には提供される用意も準備もないことになります。

その、突然性を含めてある種の驚きと喜びの感情を相手に味わってもらいたくて行うことがホスピタリティとなるようです。


したがって、マナーやサービスのように提供する形や内容が事前にわかっているものではありません。

この場面だからこれがホスピタリティですというものはありません。

刻々と変化する相手の希望やニーズに常に関心を持ちながら、どのタイミングでどんなホスピタリティを発揮すればいいのかを考えていなければなりません。

周りの人すべてに対してホスピタリティを発揮することは、とてもできることではありませんし、心から喜んでもらいたいと思う相手もそんなにいるわけではないでしょう。


ビジネスの世界で注目を集めている点は、変化する相手のニーズに常に関心を払っているところです。

しかもそれを提供する側の理屈やスキルを抜きに、どう実現したらいいかを自分のこととして考えていることです。


簡単なこと、当たり前のことのように思われるかもしれませんが、ビジネスにかかわる人のほとんどの人ができていないことです。

反対に、これができている人しか成功していないと言うこともできると思います。


自分を振り返って下さい。

顧客のニーズを確認するときに、無条件で顧客になりきっていますか。

売り込みたいものを持って、そのものを必要とするようなニーズだけを探そうとしていませんか。

提供するサービスがあって、そのサービスを必要とするためのニーズをだけを探そうとしていませんか。


ホスピタリティの基本は、常に変化する相手のニーズに対して、その時の一番急いで解決したいニーズに対応することです。

食事を作りたくて調理をしていましたが、包丁で指を切ってしまいました。

食事のニーズよりも指の出血を止めるニーズが優先します。

大切なお客様でしたら、食事も手配しなければいけません。

一番急いで解決したいニーズは、瞬間で変化するのです。

それを、瞬時にかぎ分ける能力が必要になります。

さらに、それぞれのニーズの深さや優先度合いも感じ取ったうえで、今対応するにふさわしいホスピタリティを発揮するのです。


傍から見ていると、おそらくその場しのぎに見えるのではないでしょうか。

また、すべてのニーズにこたえることも不可能ですので、対応する内容はもっともそれが効果的な場面を選びますし、瞬間対応の場合もあります。


売るものを先に持っている場合には考えもつかないことです。

自信のある商品やサービス、技術を持っていると必ずと言っていいほどニーズの押し付けは起こることです。

ターゲットのニーズを調べる場合でも、頭の中に自分の商品がありますので、それに関連するニーズしか見ることができなくなっているのです。

場合によってはターゲットすら定めず、技術比べで勝っていることだけで打ち出そうとすらしています。


ビジネスの基本は、ターゲットが抱えているニーズです。

そのニーズが深刻なほど、金を払っても解決したいのです。

時間や環境によってニーズの深刻さが変化するのです。

ホスピタリティの達人はこのことがよくわかっており理解していなくとも、体で実践しているのです。


自分の持っているものをすべて捨てて、何の先入観や固定概念もなくして体で他人のニーズを感じることは簡単にはできません。

ましてや、他よりも優れていると思い込んでいる何かを持っている場合には、まず不可能であると言えるでしょう。

結果として、ニーズの把握を間違えるのです。

自分の思い込みを顧客のニーズだと思ってしまうのです。

これではビジネスはうまくいくわけがないのです。


ビジネスの基本は、ターゲット顧客のニーズを解消することです。

こちらの持っているものを押し付けることではありません。


大きな企業はどんどん大きな商売に向かっています。

小さなニーズを解消するビジネスがたくさんできてきて成功しています。

ニーズが解消できればそのためのものは何でもいいのです。

物でもサービスでも情報でも構わないのです。

ホスピタリティの感性はこれからますます必要になってきます。


我欲なくして相手の喜びを自分の喜びとして感じられる感性が、本当のニーズを探し当ててくるのでしょう。

本当に大切な人の本当のニーズをあなたはわかっていますか。

本人に確認しなくても確かめるすべはいくらでもあるんですね。

それも含めてホスピタリティなんですね。


元来の資質が求められそうですが、自分でできる限りのホスピタリティは意識しておきたいですね。




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